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その畑のおじさんが先に三角形の板みたいな物がついている棒を貸してくれた。
この尖ったところで土を削って、溝をつけるらしい。
「ほうほう……」
とりあえず少し離れた場所でやっている人の様子を見ながら真似してみるけど……うまくいかない。
真っ直ぐ溝をつけないといけないのに、うねうねと曲がってしまう。
真っ直ぐになるように直しながらやるので、全然進まない。
「チヒロさん……。農作業のお手伝いは、難しそうですね……」
溝をどうにか1本つけ終わったところで、ロイズさんが困ったような顔をした。
「そ、そ、そうですね……」
棒を支えにしてゼェハァ言いながら答える。
中腰で移動し続けるだけで、こんなに疲れるとは……。
おじさんは「じゃあ種まきしてみるかー?」と言ってくれたけど、アタシは丁重に断った。
……駄目だ、こんな有様じゃ、アタシなんかはお荷物になるだけで助けにはならないよ。
仕事としてお金を貰う訳にはいかない……。
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