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槍を突きつけられ、腕を掴まれているアタシを見るなりフジサキが動いた。
体勢を低くして、素早くアタシを拘束する騎士に走りよって相手が反応するより速く、その顔にさっきまで身に付けていたジャケットを投げつけた。
突然の目くらましに騎士はアタシの手を離した。
ジャケットを剥ぎ取ろうとしている内にフジサキは懐に潜り込む。
下から突き出されたフジサキの右掌が相手の顎を正確に打ち込む。
強烈な一撃にバランスを崩す騎士の足を払ってさらに体勢を崩すと、がら空きになった片腕を後ろに捻って突き飛ばした。
唐突の攻撃に反応し切れなかった騎士は無様にその場に転がった。
フジサキはいつの間にか取り返したジャケットを身につけると、そのままアタシの前に立ち、庇うように腕を広げた。
いつになく真剣なその横顔を、アタシは凝視した。
カ、カッコいい!! 凄いぞ、フジサキッ! いつの間にそんな技を覚えたんだ。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 技 】を手に入れました。
※【 Key word 】がMAXの25個だった場合は、もっとも古い【 Key word 】を破棄し、【 技 】を入手して下さい。
「マスター、お怪我はございませんか?」
「う、うん。ありがとう、フジサキ」
「こんなこともあろうかと、先ほどソール様からマスターや村の人々を魔物からお守りできるよう、簡単な護身術をご指南していただきました。実践するのは初めてですが、相手の無効化に成功致しました」
「さっきソールさんと話してたのはそれだったのか。助かったのは良いけど、何か不味い雰囲気が……」
「何者だッ! 貴様もスパイの一味か? 抵抗するなら、容赦せんぞ!」
転ばされた騎士……区別が付かないから仮に騎士Aとしておこう――が立ち上がった。
無事だったもう一人の騎士Bも警告を発しながらこちらににじり寄って来る。
どちらも、素人にでも分かる殺気を放っている。
ひぃい、ヤバイよ。火に油注いじゃったよ。ロイズさん家の庭に血の雨が降りそうだ。
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