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アタシは「変な服」と言った小さな女の子の前にしゃがみ込むと、ニコッと笑いかけた。
「こんにちは」
「! ……こ……こんにちは……」
少女がビクッとして母親の影に隠れる。
でも、挨拶はちゃんとできる子なんだな。よしよし。
「お姉ちゃんの服、変かな?」
「…………」
女の子はこくりと頷いた。
……おう、ビビりながらもいい度胸やないかい。
「でもね、これ……すごく気に入ってるんだよね~」
「……えっ……」
女の子が驚いたように目を丸くしている。
悪いこと言ったのかな、と思ったのが、すぐにわかった。
「ほら、お姉ちゃんに謝りなさい」
手を引いていたお母さんが女の子を促す。
女の子はちょっと頷くと、じっとアタシを見上げた。
「お姉ちゃん、指差してごめんなさい」
「お、良い子だね。……気にしてないよ」
頭を撫でてあげると、女の子は嬉しそうに笑った。
アタシが立ちあがると、お母さんが小さく「すみません」と言って頭を下げ、そのまま歩いて行った。
うむうむ、何か良いことをした気分だ。
「……マスター」
「何よ」
「そんなに傷ついていたのですか」
「……ちょっとね」
「さようでございますか」
フジサキが何かを納得したように頷いた。ロイズさんは「ほっほっほっ」と何だか楽しそうに笑っている。
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