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沈黙が痛くなってきた頃、老人はふと穏やかな口調で再び口を開いた。
「巫女様ではない……それでも貴方様は村を危機から救ってくださった恩人。むげには出来ませぬ。何か事情があるご様子ですし、服も濡れてしまっています。乾かした方が良いでしょう。そのためにも我らの村にお越しください。お話はそれからでも宜しいでしょう?」
その言葉にアタシは老人を見つめた。目じりに皺を寄せて微笑んでいる。
とても優しい目だ。
良かった。この異世界で初めて出会った人がこのお爺さんで。
胸の奥がほんのり温かくなった、そんな気がした。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 温 】を手に入れました。
「はい、ありがとうござ……へッ、へっくしょい!」
いい雰囲気の中で、心から言おうとしたお礼がくしゃみで台無しになった。
アタシの馬鹿野郎……。
~ 1st Scene End ~
★チヒロの【 Key word 】を必ず記録しておいてください。
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