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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
187/777

2-≪ 63 ≫

≪ 63 ≫


 旅立ちの時。

 アタシは、ゆっくりと振り返った。

 そこにはテレサさんとその肩を抱くロイズさんがいた。

 2人とも笑顔だった。だから、アタシも精一杯の笑顔を浮かべた。


「フジサキもお2人にお世話になりましたと、お礼を言っていました」

「いやいや、フジサキさんには仕事を手伝って頂いて本当に助かったよ。ロイズが礼を言っていたと伝えてください」

「はい、必ず伝えます」


 そこまで会話が進んだところで、テレサさんが何かを思い出した様に『あ!』と小さく呟いて、口に手を当てた。

 その姿は、何だかお転婆な少女のようで可愛らしかった。


「そうそう。渡す物があったのにすっかり忘れる所だったわ!」

「?」


 テレサさんがそう言って、エプロンのポケットから何かを取り出した。

 アタシはそれに見覚えがあった。テレサさんに差し出されたそれを受け取る。


「これって……」

「今の私達にはこんな贈り物しかできないの。ごめんなさい」


 それは、前にアタシがピスタさんのお店で見ていた小箱だった。

 二人は、アタシのために購入してくれていたらしい。

 それをギュッと抱きしめて、アタシは頭を横に振った。


「とんでもないです。アタシには勿体無いくらいです。大切にします」

「チヒロさん、お身体に気をつけて。いつでも、どんな時でも私たちは貴女の無事を祈っております」


 ロイズさんが優しく微笑みながら、そう言ってくれた。

 アタシは強く頷いて、一歩下がると二人にお辞儀をする。

 そして、大きな声でこう言った。


「ロイズさん、テレサさん。アタシ、行ってきます! いつか……ううん、絶対に! 絶対に会いに来ますから!」



 こうして、アタシはローナ村を去った。

 向かうは『城塞都市マルトゥス』――。

 一体、何が待ち受けているのか。

 

 アタシの長い長いグラン・パナゲアでの旅が幕を開けようとしていた。





                        ~ 8th Scene End ~


  第2章「アタシと、ローナ村」≪ 完 ≫





 これで、チヒロの2つ目の冒険は終了です。

 お疲れさまでした。

 このまま、「第2章 あとがき」へ進んでください。

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