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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
162/777

2-≪ 38 ≫

≪ 38 ≫


「あの、フランツ副隊長さん。一つだけ、お願いがあります。ここを発つ前に、居候させてもらっていた村長ご夫妻だけには、お礼とお別れを言いたいんです。……駄目でしょうか?」


 駄目と言われるのを覚悟で聞いてみる。

 するとフランツ副隊長はふぅと小さく息を吐いて、


「実を言うとね、村長さんがここに来たんだよ」


と意外な事実を語った。


「え、ロイズさんが?」

「この陣に1人でいらっしゃったんだ。無実の若い女性に大の男が寄ってたかって何事だ! 恥を知りなさい! チヒロさんを今すぐ連れて帰る! ……って。大変お怒りになってね。隊長が何とか説得して。、やっと帰って頂いたんだ。つい、2時間ほど前の話だよ」


 ロイズさん、来てくれたんだ。全然、気が付かなかった。

 あの温厚なロイズさんが怒りを露わにして、騎士たちを一喝しただなんて信じられない。

 ローナ村からここまで結構な距離があるのに、たった一人で――。


 とある日の記憶が蘇る。村の集会所に向かう途中、急に立ち止まってしまったロイズさん。

 アタシが「どうしたんですか?」と覗き込めば、ロイズさんは膝と腰を(さす)っていた。

 上がってしまった息を整えてからアタシを見上げて、

「ほほほ、ワシももう歳ですなぁ」

と寂しそうに笑っていた姿。


 決意が揺らぎそうになる。

 駄目だ、流されちゃいけない。

 しっかりしろ、アタシ。フジサキの言う通り、自分の目標を最優先にしなきゃ!


「明朝の出発前に1時間だけ時間をとろう。万が一のために僕が同行することになるけど、いいね?」

「はい、ありがとうございます。あとフジサキのことなんですけど、彼と一緒のテントにしてもらえませんか?」

「……君がそれで問題ないなら構わないよ。好きにしたらいい」


 そこで会話は終了した。フランツ副隊長は別のテントへと入っていった。

 アタシ達も護衛の騎士に誘導されてテントに入った。

 テントに設置された簡易ベッドに横になる。

 フジサキにはベッドの側の椅子に座ってもらった。


「お休みなさいませ、マスター。何かございましたら何なりとお言い付けください」


 そう言って、フジサキはテントの出入り口の方に目を向けた。

 眠らないフジサキは夜通し、何があってもすぐさま対応できるように警戒に当たるのだろう。

 どうして、そこまでしてくれるのだろうか?

 アタシの持ち物だからというのでは、理由にならない気もする。


 目を閉じてみるが、一向に眠気はやって来ない。

 明日の朝、ロイズさんやテレサさんに再会したら、まず何と話しかけよう。

 そして何と言って別れれば良いのか、全く思いつかない。

 戻って来ないアタシとフジサキをきっと、今この瞬間も心配しているはずだ。

 2人にだけ挨拶をして、自分勝手な理由で去るアタシを2人は怒るだろうか? 失望するのだろうか?


 考えれば考えるほど、眠れなくなっていく。

 ただ目を瞑って「このまま朝なんて来なければ良いのに」と、刻々と迫る夜明けを呪った。



※ここでは、所持している【 Key word 】により所持状況が変わります。



①【 Key word 】の【 礼 】を持っている場合


★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 礼 】を失いました。

★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 別 】を手に入れました。



②【 Key word 】の【 礼 】を持っていない場合


★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 別 】を手に入れました。

※【 Key word 】がMAXの25個だった場合は、もっとも古い【 Key word 】を破棄し、【 別 】を入手して下さい。





 このまま、≪ 117 ≫ へ進んでください。

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