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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
156/777

2-≪ 32 ≫

≪ 32 ≫


 その時ちょうど、正午を知らせる鐘が響き渡った。

 ロイズさんがアタシとフジサキに向かってにっこりと微笑んだ。


「チヒロさん、フジサキサさん。家に戻りましょうか。とりあえず昼食にして……それからまた、考えましょう」

「……はい……」


 はぁ……。アタシって何て役立たずなんだ……。

 凹んでいると、牧場の奥から休憩に入ろうとする男の人達の声が聞こえてきた。


「あれ、お前、家に帰るのか?」

「今日は、午後から自警団だよ。前に村の子供が森で魔物に襲われそうになっただろ。討伐隊も森全部を見張れる訳じゃないからなー」

「そうか、気をつけろよ」

「おう。でも今日は家でかーちゃんの昼飯が食えるからさ」

「あったかい飯か。それはいいよな。ほら、肉なんかもうカンカンに固くなっちまってるよ」

「ははは。じゃあなー」

「おう」


 そうか、自警団って村の人で交代でやってるんだっけ。

 魔物が村に出てきたら、大変だもんね。

 こうやって、この小さなローナ村では皆が協力して、頑張ってるんだな……。


 何もできないアタシは、ぶっちゃけ力不足な存在だ。

 こう考えてみるとチート能力で勇者とか魔術師をやって、生計を成り立ててる転生主とかトリッパーの皆さんは凄いと思う。

 尊敬しちゃうな……なりたいとは思わないけど。


 ふう……。お仕事、想像以上に難しかった。

 村人さん達に迷惑かけたし、やらなくていい仕事を増やしてしまった。

 バイトなんて、楽勝楽勝! ちょちょいのちょい、余裕で出来るっしょ! と高を括っていた自分が恨めしい。

 罪悪感で押しつぶされそうになった。


「ぐぎぎぃー! 思ってたんと、ちがーうッ!」

「マスター、ご不満はともかく、その不愉快な奇声は控えてください。近所迷惑です」

「主人に対して、辛辣かよ! 奇声上げるなって方が無理な話だから! もっと、こうさ! 転移ヒロインって、優遇されるんじゃないの? 村の人達には悪いけど、貴族のお屋敷でイケメン達に囲まれて、ドキドキでウハウハな逆ハーレム日常を送るんじゃないの? アタシだけ、始まりの村で足止め食らって、ギリ貧アルバイト生活スタートって……不公平じゃない!?」

「……ご自身をヒロインだと思っていらっしゃったことに驚愕です」

「だから、なんで辛辣!? 異世界転移して、村人から《終末の巫女》って呼ばれてるんだよ? どっからどう見たって、ヒロインじゃん!」

「マスター。辛いお気持ちは分かりますが、もっと現実に目を向けてください」

「むぎぃいいッ! 自分がイケメンでチート能力待ってるからって上から目線なんかー?」

「千里の道も一歩からですよ。さあ、今日も頑張りましょう!」

「頑張りましょう! じゃねーよ。おい、コラ。話と目を逸らすんじゃねぇ」


 応援と励まし、助言を受けたアタシは打たれ強さのレベルだけが上がった(あくまで体感)。

 それはいいとして、だ。

 アタシにも何かできること……ないかな?





●○●CHOICE TIME!●○●


【 Key word 】の【 温 】を使いますか?


  使う   …… ≪ 122 ≫ へ進んでください。


  使わない または 持ってない

       …… ≪ 237 ≫ へ進んでください。

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