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確か、メッカ・バスカーナ……8割砂漠になっている大陸では、そこでしか手に入らない貴重な鉱石や植物、魔法の素材などの資源と古代遺跡があるって話だった。
でもそこではなくて、ディス・ノグディス?
「そうでございます。特に精霊樹林は、限られた場所にしか生えていない大変貴重な樹木なのですよ」
「へえ……すごいな……」
アタシが感心して呟くと、ピスタさんが満面の笑みになった。
「よろしければ、ご覧になりますか?」
「え、良いんですか?」
ピスタさんが、荷馬車に登って箱を抱えてきてくれた。
そして鞄からカギを取り出すと箱に掛かった頑丈そうな錠前を外した。
「わぁ、綺麗!」
「そうでしょう? 欠片とは言いましても元は『精霊石』。魔力は申し分なしでございます」
箱の中には、エメラルドグリーンに輝く透明度の高い結晶が鎮座していた。
日の光の加減で、青や黄色、赤にも見える。その中心はほんのり青白く発光している。
これが『精霊石』。
精霊樹林に群生する精霊樹の樹液が精霊を取り込み、長い年月をかけて琥珀化したものであり、強力な魔力を秘めている。
魔術士はこの精霊石を使って作られた杖を持って、詠唱魔法を唱えることで魔術を操るのだそうだ。
マジ、ファンタジーだよね。
「気になるお値段の方は?」
「はい。欠片ですので、大幅に値引きしまして金貨50枚でございます」
「あぃえぇええええ!!?? 金貨50枚!?」
つまり、日本円で500万円!? 欠片1個の値段で車が買えて、おつりが来ちゃう。
とんでもない額にアタシは思わず叫んだ。
欠片でこのお値段。じゃぁ完品だったら一体いくらするんだ? そもそも買う人なんているのか?
王都や大きな町ならともかく、この近辺の村には金貨50枚なんて金額が出せる人はいないだろう。
溜息しか出なかった。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 砂 】を失いました。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 精 】を手に入れました。
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