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誰が見てもイケメンか爽やか好青年だと言うだろう。正直、アタシも少しテンションが上がってしまった。
役得……って、罪人扱いされてる状況では、言わないか。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 浮 】を手に入れました。
※【 Key word 】がMAXの25個だった場合は、もっとも古い【 Key word 】を破棄し、【 浮 】を入手して下さい。
「グレッグ、ここからは僕に任せてくれないかい?」
「いや、しかし……」
「大丈夫、隊長には僕から言っておくから」
アタシをヨソに、勝手に話を進める2人。
おっさんは副隊長に言いくるめられたらしく、一度振り返りはしたもののテントから出て行った。
代わりにアタシの前には副隊長が座った。
「グレッグが悪い事をしたね」
「……いえ」
「ただ、彼もあれが仕事だからね」
「あの……アタシ、早く村に帰りたいんです。取り調べ、まだ終わりませんか?」
とにかく、アタシはこんな事をしている暇は無い。『元の世界に帰る』という自分の目的を達成するために、村でバイトをして少しでもお金を貯めなければいけないのだ。
「まぁ、そう言わずに。僕はフランツ・コルデア・ブレイズ。この隊の副隊長を務めているんだ。君の名前は?」
「……チヒロ」
「チヒロ……素敵な名前だね」
フランツと名乗るこの副隊長は、にこっと笑うと自己紹介を始めた。
最初はこのイケメン副隊長に浮かれていた。
――でも……。
話を聞いているうちに、違和感が広がる。
終始フランツは笑顔だが、これはフジサキとは違った意味でポーカーフェイスだ。
何を考えているのか、発する言葉の裏に何があるのか、まるで掴めない。
唇が、やけに乾く。舐めて湿らせるが、すぐにカサカサになってしまって意味が無い。
この男、厄介だ。
直感的にそう思った。
依然、ニコニコしながらアタシを見つめるフランツと静かに焦り出したアタシ。
この場にフジサキがいてくれたら……アタシは咄嗟にそう思った。
フジサキの言葉はアタシに冷静さを取り戻してくれる。
――だが、ここに彼はいない。
取調べという名の腹の探りあい合戦、その火蓋が切られた瞬間だった。
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