1-≪ 100 ≫
≪ 100 ≫
「とにかく逃げよう!」
「マスター、いけません!」
フジサキがアタシの左腕をガッと掴んだ。
パニックになって思わず振り回す。フジサキの奇麗な顔やがっしりとした身体にアタシの腕が当たる。
「いやっ……嫌だ――!」
「マスター!」
暴れるアタシをなだめるようにフジサキがアタシの両腕を掴んだ。
★チヒロの【 Mental 】は、【 2pt 減少 】しました。
★フジサキの【 Physical 】は、【 2pt 減少 】しました。
そのとき――森の奥から、その咆哮に応える様に様々な方向から鳴き声が上がった。
それと同時に、木々が揺れ小鳥達が慌てた様に飛び立っていく。
複数の何者かがこちらに向かって来る。
「ひ、ひぇ………」
アタシはその光景に一気に青ざめた。
後ずさりをして、フジサキの背後に隠れる。
化け物兎は仲間を呼んだ! 化け物兎が5体になった!
最初に追ってきた化け物兎が真ん中で、一番大きい。
他の一回り小さい個体は別々に行動して、餌を探していたのだろう。
なるほど、アイツはボス個体でこの5匹は群れだ。ボスの呼び声に応えて集まってきたのだ。
もう駄目だ……5対2、人間対化け物。勝ち目なんかある訳ない。
このまま、≪ 28 ≫ へ進んでください。




