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40:帝国軍の行軍

今回は、第三者視点→リンネ視点でいきます。

 第三者視点~


 周囲のものが全て吹き飛ばされ、幼女の立ち尽くす一角のみが、ポツ~ンと地肌を晒していた。


 魔物は聖女リリスがいなくなった途端に、森の中へと姿を消し、幼女のもとには戦闘で生き残った騎士や冒険者、兵士がぞろぞろと集まって来る。皆満身創痍でぼろぼろだ。


 

 ザッ!ザッ!ザッ!ザッ!



 そんな中、けたたましく行軍の足音が聞こえる。

 帝国軍の到着であった。



「これはいったいどういうことだ? 聖女様はいったいどこに?」



 帝国の指揮官の男は、馬に悠々とまたがりその戦地を見回す。

 そして満身創痍で立ちすくむ兵士たちの中に、悠然と立ち尽くす、異様な気配を発する幼女に目が留まる。



「聖女リリスなら先ほどお亡くなりになりました」



 幼女は徐に近づくと、帝国軍の先頭にいた指揮官にそう告げた。



「馬鹿な! あの聖女様が死ぬはずはあるまい! あれでも300年は生きておる化け物なのだぞ!」



 帝国の指揮官は、聖女リリスの死など到底受け入れられなかった。


 なぜなら帝国建国前から生きている不死身の化け物と恐れられ、盾突く者は誰であろうと叩き潰して来た、皇帝も恐れる帝国最強の存在だったからだ。


 だがここに、魔物の大群を引き連れて蹂躙しているはずの、聖女リリスの姿はなかった。

 代わりにいたのが、王国の兵士と見られる軍隊と、この異様な気配を漂わせている幼女だったのだ。



「貴方たちは帝国軍ですね? 戦争のお相手ならばわたくしがいたしますよ?」


 ズン!! ズズズズズ・・・



 そして地響きとともに突然現れたのは、身の丈15メートルにもなろう、巨大なゴーレムだった。



「何だあれは!?」


「聖女様の私兵か!?」


「いや違う! 上を見ろ!!」



 騒ぎ出す帝国兵たちがゴーレムの肩を見ると、異様な気配を放つ幼女が立っていた。



「大人しく撤退なさい。さもないと踏みつぶしますよ!!

 ふああぁぁぁぁぁああ!!!」



 幼女が放った咆哮は、もはや人のものではなかった。


 あれは龍かなにかが幼女の姿をして、この場に顕現しているに違いないと、思わせるほどの咆哮だった。

 その恐怖にある者は失神し、またある者は腰を抜かして動けなくなった。


 

 ヒヒヒン!! ヒヒヒン!!



 馬たちは落ち着きをなくし逃げまどい、落馬した帝国の指揮官はそのまま意識を失った。



「退却だ!! 退却しろ~~~!!」



 誰が言ったか知らないが、それを合図に帝国軍は次々と撤退していったのだった。

 そして幼女の後ろからひょこっと子熊が顔を出す。



「な? オイラの言ったとおり撤退しただろ?」





 リンネ視点~


 帝国軍が撤退した後、私は安心したのか、また気を失ったようだ。

 気づくと見知らぬベッドで寝ていたのだ。



「嬢ちゃん。ゴーレムの肩に乗ったまま寝るのは危ないぜ」



 なんと私は、あのゴーレムの肩に乗ったまま、気を失ったらしい。



「ここはいったい? あれから何日経ちました?」


「一日経った。今は丁度昼頃だ」


 

 あれから私は一日中、気を失っていたようだ。



「ここは東の砦だぜ。あの後聖女のことも捜索したがな・・・影も形も見当たらないときた。

 大方あの爆発で木っ端みじんに吹き飛んだのかもな?」



 そうだといいが、あの聖女があのまま死ぬとは私には思えなかった。


 何故だろうか? 私の中の勘のようなものが、あの聖女の死を認めようとはしなかったのだ。

 ただクマさんが反応しないところを見ると、すでに近くにはいないのかもしれないが。





 その後馬車で王都に戻ると、凱旋パレードが行われた。


 馬車にステージがセットされ、その上に立って手を振るのだ。

 さすがにエテールの街の凱旋パレードより規模が大きく、割れんばかりの民衆からの声援が鳴り響き、大騒ぎだった。


 その後馬車は王宮へ向かい、王宮では今回の報酬に対する授与式が執り行われた。



「リンネ・イーテ・ドラゴンスレイヤー!!」


「はい!!」



 名前を呼ばれ返事をすると、王様の前へ行きひざまずく。

 2回目となると、さすがに顔を覚えられており、幼女が国王の前に出て来ても驚く者はいなかった。



「其方は爵位や領地を望まぬと聞いておる」


 ざわざわ・・・



 国王の発言に周囲の貴族がざわめく。

 私はこの世界を冒険したいと思っているし、爵位や領地を貰っても、煩わしく感じるだけだ。



「正直何を与えて良いかわからぬ。さりとて其方の功績は計り知れず、何も与えぬわけにはいかぬ。よって報酬は応相談とする。翌日呼び出すゆえ来るように」


「は! ありがたき幸せ!!」



 これはあらかじめクマさんに聞いていたやり取りで、後ほど国王と宰相を含めた、相談事によばれるようだ。





 そしてアリスちゃんに会うために、離宮に案内されていく。



 ブィ~~~!!



 離宮に行くと、UFO型ゴーレムまるちゃんに乗り、アリスちゃんが爆走してくる。



「リンネおねえちゃ~ん!! クマちゃ~ん!!」



 そのまま飛び降りると、クマさんと私に向けてダイブしてきた。



 ガバッ!!


「アリスちゃん。良い子にしていた? お姉ちゃん悪い聖女を退治してきたよ」


「うん! ありがとうリンネおねえちゃん!」

 


 そして後から走ってやってくるのは、お付きのメイドの人と、騎士型ゴーレムいっちゃんだ。



「姫様急に走られては困ります!」



 メイドのお姉さんが、アリスちゃんをたしなめる。


 アリスちゃんに関しては、あの聖女リリスが生きている可能性もあるし、私と同じように特異な魔力を持っているために、このまま連れて行き、クマさんが色々と教え込むらしい。


 その後はアルフォンスくんと、アレクシア婦人に合流して、立食パーティーに参加した。


 王宮の料理はどれもこれもが、絶品だったよ。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 街宣パレードってなんぞや?って思ったけど、もしかしなくても「凱旋」の誤字? [一言] 誤字報告機能は確証ないとなかなか使いづらいよね。
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