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14:王都の冒険者ギルド

「侯爵家との会合が3日後に決められたそうだ」



 ちょうど冒険者ギルドに行こうと、クマさんと出ようとすると、アルフォンスくんに呼び止められて、唐突に告げられた一言がこれである。


 もちろん侯爵家とは、クリフォードくんのいるエインズワース侯爵家のことであろう。



「わかりました。今は授業もないし、それまでは自由に行動しても良いんですよね?」


「ドラゴンスレイヤーの勲章の授賞式がなければそれで良いんじゃないか?」



 ドラゴンスレイヤーの勲章の授賞式の日取りは、アレクシア夫人が告げに来るそうだが、まだ決まらないらしい。近々あるというだけだ。



「ではわたくしは冒険者ギルドに行って参りますので」


「まて。僕も行こう。一応君らのお目付け役だからな」



 アルフォンスくんがクマさんと私のお目付け役だって? 初耳だけど。



「まあついて来たいんなら来れば良いんじゃないか?」



 クマさんが、アルフォンスくんの同行について意見を述べる。



「ただついて来られればですけどね?」


 

 それに私が言葉を追加した。


 私はテクテクと歩いて屋敷の外に出ると、土雲を出した。



「あ! 待て!!」



 そしてクマさんと土雲に乗ると、バビューン! と発進するのだった。


 あばよ、とっつぁん!!



「嬢ちゃん。少しスピードを緩めてくれ。今日はアルの奴を鍛えてやろうと思うんだ」



 どういう風の吹き回しか、クマさんはアルフォンスくんを鍛える気らしい。


 私は土雲の速度を落とすと、アルフォンスくんがついて来られるくらいの速度に調整し直した。



「酷いぞリンネ!! いきなり置いていくな!!」



 私の行動を非難するアルフォンスくん。


 土雲の速度を落とすと徐々に土雲に追いついてきた。これは身体強化の力なのかな?


 そうこうしているうちに王都の冒険者ギルドが見えてくる。



「ところでアルフォンス坊ちゃまは、護衛も付けずにこんな所へのこのことついて来て良かったんですか?」



 私は土雲を収納魔法にしまいながらアルフォンスくんに質問する。



「坊ちゃまはよせ!! 護衛ならどこかにいるはずだ。どこにいるかはわからないが、母上がいつも護衛がついて来ていると言っていた」



 私は護衛の存在を確認するために、魔力感知を発動させる。

 すると後方の壁の陰に、見覚えのある存在を感じた。

 私がその場所に目をやると、ちょうど騎士のダレルさんが顔を出してこちらを見ていたのだ。


 アルフォンスくんの護衛って、ダレルさんだったんだね。

 そんなダレルさんに、私は親指を立ててテヘペロを発動させる。



「嬢ちゃん。そこは気付かないふりをしてやるのが男ってやつだぜ?」



 するとクマさんはクールに注意してきた。でも今の私は男じゃないから、それに該当しないよね? 


 気を取り直して、王都の冒険者ギルドを改めて見ると、やはりエテールの街の冒険者ギルドよりも圧倒的に大きい。そして昼間にもかかわらず出入りする冒険者の多いこと。


 その様子に圧倒されながら、テンプレを期待しつつ冒険者ギルドの扉をくぐる。

 こんな多くの冒険者がいったいどんな仕事を請け負うのだろう。



「王都の冒険者のほとんどは、王都内の仕事を依頼として受けるんだ。これだけ大きな都市だと、問題も昼夜問わず何処かでひっきりなしに起こるからな」



 私の疑問にはクマさんが答えてくれた。


 つまりここらの冒険者は何でも屋の、派遣要員ってやつなのかな? でも私は、狩りにしか興味がないので関係ないが。


 

「一応受付には顔を出しておこうぜ。王都にオイラたちがいることを、知らせにゃならんからな」



 現在の居場所を報告するのは冒険者の義務の一つだ。


 特にC級冒険者ともなると、指名依頼もまれにある。

 どこにいるかわからないのでは、話にならないのである。



「C級冒険者の、リンネさんと、クマジロウさんですね?」



 王都の冒険者ギルドともなると、受付の数も多い。すぐに空いた受付に入ることができた。


 そして受付に名前を尋ねられる。



「さあ。知らねえな。オイラ、リンネの嬢ちゃんの従魔で通ってんだ。C級冒険者のクマジロウなんて行方不明者は知らねえ」



 ここに話にならないC級冒険者がいた。クマさんという。



「はあ。それならそうでも良いんですが・・・」



 受付のお姉さんは困ったような顔で答えた。


 クマさんはなぜ従魔であることに拘るんだ? 意味がわからない。

 まあ、クマさんのことだから考えでもあるのかもしれないが・・・。



「おい。アル。ここで冒険者登録をしておけ。狩りに出るぞ」


「え? アルフォンスくんを狩りに連れて行くんですか?」


「嬢ちゃんにはわからないと思うが、アルには才能がある。ここで伸ばしておかない手はないぜ」



 クマさんが言うならアルフォンスくんには、本当に才能があるのかもしれない。

 でもそれだからといって、いきなり狩りに連れて行くなんて、厳しすぎやしないか? 


 私は懐疑的な目でクマさんを見るが、クマさんは、何かあったらお前が護ってやれ、みたいな目で見つめ返してくる。


 私はあ~そ~ですか~、と態度で示すためにうなだれる。



「嬢ちゃん?」


「何ですかクマさん?」


「最後の奴・・・・よくわからなかったぜ!」


 

 クマさんは親指を立てて私に告げる。


 なら最初から言葉で話せぇぇ~!



「F級冒険者か、ギルと同じ薬草採取だな!」


 

 アルフォンスくんがさっそく取得した、F級の冒険者階級を示す木のプレートを、こちらに向けながら意気込む。

 そうこうしているうちに、アルフォンスくんの冒険者登録は済んでいたようだ。


 ただ君には聞こえなかったようだが、君は薬草採取ではなく、これからクマさんの狩りという名の地獄の特訓が待っているのだよ。



「それじゃあ。休憩も済みましたし行きますか?」


 

 私はテクテクと歩いて冒険者ギルドの扉をくぐると、土雲を出した。



「あ! ちょ!!」



 そしてクマさんと土雲に乗ると、バビューン! と発進するのだった。


 ばっははーい!!


 

 しばらく進むと、王都の城門にある関所が見えてくる。



「はあ・・はあ・・。待てって!!」


「君ら子供だけでどこへ行く気だ? まさか外に出る気じゃないよね?」



 なんと関所で問題発生。門番を務める衛兵のおじさんに、またもや止められてしまう。

 私は徐にC級冒険者の証しである、金のプレートを取り出すと、衛兵のおじさんにビシ! と見せつける。



「C級冒険者!? 嘘だろ!? こんなに小さいのに!!」



 私が金のプレートを見せると衛兵のおじさんは、自分の目が信じられないのか、あたふたしだす。

 私は土雲を衛兵のおじさんの胸のあたりまで浮かせると、衛兵のおじさんの頭をポンポンと叩いてあげた。



「え? あ? 小さい??」


 ドカ!



 衛兵のおじさんは、浮遊する私を見て、驚愕し、そのまま転んで尻もちをついてしまった。



「それじゃあ、行かせてもらいますね」



 もう一人の衛兵が駆け寄るなか、私の土雲は、再びバビューン! と発進するのだった。



「あ!! 待てって!!」


 ズドドドーン!!



 2人の子供が物凄いスピードで走り去るのを、衛兵の2人は後ろからただ驚愕の目で見送るばかりだった。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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