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35:幼女と仁義なき戦い[裏話]

 これからお話するのは、クマさんと私が、アウターの屋敷に行く前日にあった出来事だ。


 クマさんと私は、早朝の狩りの合間に、アウターファミリーにこちらの話をわかってもらうには、どうしたらいいか話し合っていた。



「やっぱ威厳がないと駄目だろ?」


「威厳ですか? 例えばどういうことですか?」



 非力な幼女に威厳を求められても困るのだが、クマさんは私に何を求めているのかいまいちわからない。



「アウターを従わせるのは強い力だぜ。つまり強く見えない嬢ちゃんはなめられる」



 どこをどうしたらこの幼女が、強そうになるのか、教えて欲しいものだ。

 だいたい強そうな幼女って需要あるのか?

 

 確かにアウターが、弱そうな幼女の私をなめてかかるのはわかるが・・・。



「気合入れてみろ! 気合!」


「こうですか? ふぁ~!!」



 私は力みながら、一応叫んでみた。



「あ~・・。駄目だ。今のじゃなめられる・・・」



 クマさんは額に手を当てて、大げさにがっかりするポーズをした。



「それじゃあ魔力で威圧してみますか?」


「それじゃあ皆逃げちまうだろ!? 嬢ちゃんの魔力は異常なんだぜ?」



 クマさんはいったい私にどうしろと言うんだ?



「それじゃあ浮いてみ? いつもみたいに土雲に乗って」


「こうですか?」


 フワ~・・・



 私はいつものように、足元に土魔法で土雲を作って、ふわふわと浮いて見せた。



「何か浮遊霊みたいだな? 何かこ~・・・が~っ!! て具合にならないのか?」



 なるかボケ!! 「が~っ」て何だ!? 「が~っ」て!!


 そうだこのまま岩とか周囲に浮かべたら、怖い感じにならないだろうか?

 私はさっそく土魔法で、4~5個の岩を作って周囲に浮かべてみた。



「こんなのどうですか? クマさん」


「お~。いいじゃねえか。岩が浮かんでる感じが、何かこ~・・神秘的だぜ?」


「神秘的じゃ駄目ですよね? 威厳ありますかこれ?」


「嬢ちゃんが浮いてる岩の中心にいる時点で、台無しになっているな。威厳ない」



 どうしようもないじゃないかそれは?


 じゃあ岩を私の周りに回転させて、私自身見えなくすれば良くないかな?

 私は周囲に浮遊している岩を、いっきに回転させた。



 ビュイィィィィィィ~!



 お! すごい!! 竜巻みたくなったぞ。まさに岩の竜巻だ。



「見てくださいクマさんこれ!!」



 私は岩竜巻状態で、クマさんに近づこうとする。



「ちょ! ちょ~!! 危ない!! 近づくなぁ!! ミンチになるわボケ!!」



 クマさんは怯えた様子で、私から遠ざかろうとする。



「ちょ~たんま! 落ち着こ? な?」



 私はその場で停止する。でも回転はやめない。



 ビュイィィィィィィ~!


「回転もやめろ~!!!」



 私は岩の回転をやめて停止させる。



「何ですかクマさんは? 回れって言ったり、回るなって言ったり?」


「回れって言ってねぇ!!」


 ビュイィィィィィィ~!



 私は再び岩の回転を始める。



「わ、わかった。オイラが悪かった。いったんその凶暴な回転やめとこ?」


「でもまだ威厳が出せてないと思うんですよね? ついでに魔力で威圧もしますか?」


「それじゃあ皆逃げちまうって!! 嬢ちゃんの魔力は・・・」


 ビュイィィィィィィ~!


「わ、わかった。オイラが言い過ぎた。な? 落ち着こ?」



 何だこのネタ? 



「改めて思ったのですが、魔力の威圧を弱くかけたら良くないですか?」


「あ・・・」


 あ、じゃねえよ。


 こうしてアウターの一件の、化け物幼女は誕生したのだった。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「つっこみどころ満載だぜ!」


 と思っていただけたなら・・・


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 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます!!

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