表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/728

14:幼女孤児院をクビになる


「リンネさんには言いましたが、孤児院は一人で生きていけない貧しい子供が来る場所です。

 リンネさん。貴女は一人で生きていく力を持っています。なので孤児院に置いておくわけにはいきません」



 院長室に行くと、唐突にそう告げられた。

 初日で孤児院クビである。



「ただ、わたくしも鬼ではありません。仕事と住む場所が決まるまでは、この孤児院にいることを許可しましょう」



 本当は土魔法で街に地下を掘ってでも暮らせるが、それは今は言わないでおこう。

 今私が気になっているのは、この孤児院の経営状況悪化だ。



「一つ質問を良いでしょうか?」


「何でしょうかリンネさん?」


「この孤児院の食事事情を見る限り、この孤児院が普通とは思えません。

 この孤児院の経営状況が悪いのは、その食事事情をみれば一目瞭然です。その原因は何ですか? 孤児院の援助金が少ないせいでしょうか?」


「はぁ~。孤児院の経営状況が悪い理由は、この街そのものが貧しいせいだと聞いています。それ以上は、私にはわかりません」



 孤児院長はため息をつきながら、孤児院の経営状況悪化の原因を、わかる限り説明してくれた。孤児院の経営状況悪化を改善するにはこの街のことも知る必要がありそうだ。


 孤児院長はその後もぐちぐちと何か言っていたが、街のことが気になり、その後は耳に入ってこなかった。






「クマさん? この街について知るにはどうすればいいと思いますか?」



 この日の夜、女の子の間で誰がクマさんと寝るかで争奪戦となってしまい、なぜか私までクマさんと逃げ出すはめになってしまったのだ。


 そこで土魔法を使い、コンテナハウスのような家を、孤児院の庭に造りそこで寝ることになった。


 ちょうどいい機会なので、この街について、クマさんに相談してみる。



「この街について? なぜそんなこと知りたがるんだ?」


「この孤児院の経営状況悪化を何とかしたいんです。

 孤児院長の話からすると、この街そのものを貧困から救わないと、それも出来そうにありませんから。だからこの街のことを知って、貧困の理由を知りたいんです」


「嬢ちゃんも難儀な性格だな~。ならこの街に住んだことのあるオイラがこの街について教えてやるぜ」



 なんとこんな所にこの街のことを知る者がいた! 


 まあ、確かにクマさんと会ったのは、この街に近い村の周辺だ。クマさんがこの街に住んでいてもおかしくはないのか?



「この貧しさは街だけの問題じゃあねえ。この領地全体が貧しいのさ」



 領地全体が貧しい? 


 そういえばウエストレイク村でも、食事事情はこの孤児院とほとんど変わらない様子だったな。

 ではこの街でも食事事情は、そんなに変わらないということか?



「この領地は昔から林業が盛んでよお。その林業が主要な収入源でもあったんだ。だがその林業が今は出来ねえ」



 なるほど。つまりこの領地の収入源は、林業だったのだ。

 その収入源だった林業ができなくなれば領地の収入は減り、領地は貧しくなる。

 その影響が食事事情に現れているのか。


 そしてこの孤児院も当然その煽りを受けたと・・・。

 ではその林業が出来なくなっている理由は何だ? 



「もともとこの領地はある川を利用して木材の運搬をしていたんだぜ。その川の運搬用の通路に、強い魔物が巣を作って、木材が運搬出来なくなっちまったのさ」



 木材の運搬が川などで行われるのは、荷車などの運搬ではその木材の重さから車輪がもたないからである。

 木材の取引は、他領との取引が主になるはずだ。

 そして利益を出すために、その木材の量はどうしても膨大になる。


 しかしながらこの世界には収納ポーチや収納魔法がある。

 陸路で使えば運搬が可能なのでは?



「陸路はあるのですよね? 収納ポーチか収納魔法で陸路で運んでもらえば、運搬は可能なのでは?」


「取引出来るほどの大量の材木が入る伝説級の収納ポーチや収納魔法はお伽話くらいだぜ」



 そうですか・・・。



「ちなみに、その運搬を妨げている魔物の名前をお聞きしても?」



 異世界もののラノベのテンプレ・・・・強い魔物に悩まされる人々。

 そして高い確率でその魔物がある強大な魔物になる・・・・そう、その魔物が・・・・。



「「ドラゴン・・・」」



 私とクマさんの口が同時に同じ強大な魔物、ドラゴンの名前を告げた。



「え? 嬢ちゃん知っとったん?」


「いえ。全然知りませんでした」


「・・・・・」



 クマさんは呆れ顔となり、しばらく気まずい空気が漂った。



「・・・・それともう一つ林業が出来なくなった理由がある。それが強い魔物の増加だ。

 林業を行っていたこの領内の森林で、強い魔物が多く出るようになってしまったんだぜ。それまで冒険者や騎士団に護られながら林業をしていたようなのだが、冒険者や騎士団が度々苦戦を強いられ、林業どころではなくなってしまったのさ」



 この領地での林業はもうできないのか。

 ならこの領地を栄えさせるためには、陸路で運べる他領で売れる商品を作るしかないだろう。



「ちなみにこの領地では、他に特産品はないんですか?」


「確かアップルが特産品だったか? でもこの領地のアップルは甘味が少なくて酸っぱいからな、あまり人気はないぜ」



 アップル? アップルってリンゴのことかな? 


 そのアップルが私の知るリンゴならば、この打開策はそのアップルにあるかもしれないな。




【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


 ブックマークと

 画面下の広告下【☆☆☆☆☆】から評価をお願いします!!

 【★★★★★】評価だと嬉しいです!


 いつも誤字報告を下さる方、ありがとうございます!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ