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06:ゴブリンとの決戦

今回は、リンネ視点→第三人称視点→リンネ視点でいきます。

 翌朝起きると重大な話があると、村長に呼び出された。

 クマさんと村長の指定した部屋に行くと、すでに何人かの村人が集まっていた。



「皆の者、朝早くから集まってもらって申し訳ないが、重大な話なので聞いてくれ。現在ゴブリンの動きを、引き続きヨナスに探らせていたところ、奴らに動きがあった」



 そこで一旦話を切ると、村長は水の入ったコップに口をつける。

 そして静寂の中、村長の次の言葉が告げられる。



「ゴブリン300の内、ゴブリン100余りがウエストウッド村に残り、200がウエストウッド村を出た。

 そしてその200のうちの100が・・・この村を目指して進行中だそうぢゃ・・・。そしてその中に、ゴブリンの上位種も・・・」


「それは間違いねえだか!?」


「そ、そんな! この村はどうなるだ!」


「お、終わりだ! おらたちは死ぬだ!」


「神様・・・」



 村長のその言葉に、その場は騒然となり、村人の叫び声や、神に祈る声が響いた。



「大丈夫ぢゃ! この村には聖獣さまもおられる。昨日、聖獣さまが造ってくださった、丈夫な壁もある! この村は儂らで守りきれる!」



 その言葉に、村人たちは押し黙り、いっせいにクマさんを見た。

 ただ壁を造ったのは、聖獣さまじゃなくて俺だけどな。



「村長の言うとおりだぜ。ゴブリン100体なんて屁でもねえ。オイラがいれば、この村は確実に生き残る」



 クマさんは親指を自らに向けて、決め顔をした。

 そして俺に向けて、ふざけて変顔を決めやがった。

 俺はイラっとしてクマさんを殴りたくなったが、拳をぷるぷるさせながら耐えた。


 いったい何がしたいんだクマさん?





 第三人称視点~


 それから数時間後、ゴブリンの群れが、ウエストレイク村に向けて侵攻して来た。

 その群れの中心に、指揮官であるゴブリンの上位種、ゴブリンジェネラルがいたのだ。


 背は人間の身長の平均を超えて、2メートル以上。

 これでもかというくらい分厚い胸板。甲殻にも見える皮膚。

 丸太のような手足。

 そしてその右手には大きなこん棒。

 頭にはその存在感をより引き立てる、二本の禍々しい角が生えていた。

 

 その存在感は、他のゴブリンに比べ圧倒的で、恐怖の象徴のようにも見えた。


 そして群れが、村にあと少しでたどり着くであろう道中・・・それは起きた。



 ゴォォォン!



 轟音とともに、群れの先頭の10体が、突然砂煙とともに姿を消したのだ。


 すぐさまゴブリンジェネラルは、群れに停止を命じたが、つられてもう15体のゴブリンも、先頭のゴブリンに巻き込まれるように姿を消した。


 落とし穴!!


 ゴブリンジェネラルは、その罠を瞬時に見破った。

 仕方なく群れを分けて、街道を迂回するかたちで森に入る。


 そこに待ち受けるのは、飢えた魔獣たちだった。

 魔獣との戦闘を重ね、生き残ったゴブリンは40体。


 村を襲撃するには心もとないが、今はジェネラルである自分がいる。そう判断した。

 そしてゴブリンの群れの進撃が、止まることはなかった。





 リンネ視点~


 現在、村に造られた防壁の上に、俺とクマさんはいた。



「土魔法で作った落とし穴の罠は、上手く作動したようだな。ついでに森の魔獣が、上手いことゴブリンの数を減らしてくれている」



 そう、俺たちはゴブリンの群れがやってくる、2~3時間前に、ゴブリンが通るであろう街道に、土魔法で落とし穴を造っていたのだ。


 落とし穴はシンプルで強力な罠だ。

 俺の魔力なら、その深さも広さも申し分ない落とし穴が造れた。


 落とし穴に気づかれないように、薄く壊れやすい蓋をして、砂をかぶせておいた。

 それで25体ものゴブリンが、戦闘不能となったのだ。


 その後、村周辺の森に生息しているであろう魔獣、ウルフが集団でゴブリンの群れに襲い掛かったのだ。


 これはクマさんの情報収集により、この村の周辺の森が、ウルフの縄張りであると、確信しての作戦でもある。


 絶妙な位置に配置された落とし穴が、ゴブリンの群れを、ウルフの縄張りへと誘導したのだ。





 そして40体となったゴブリンの群れは、村の前へと現れた。


 そこで始まったのは、防壁の上からの村人による、石や弓矢による一斉攻撃だ。


 ゴブリンの投石による反撃もあったが、防壁の上には狭間も作られており、攻撃から身を守ることも出来た。

 有利な展開ではあったが、何人もの村人が投石に当たり、負傷した。

 ゴブリンもその数をさらに減らしていった。


 俺も村人とともに、防壁の上から土銃を連発で発射し、多くのゴブリンを葬り去った。

 結果ゴブリンは、ジェネラルも含め、残り20体となった。



「今だ! 嬢ちゃん突撃だ!」



 ゴブリンの投石攻撃がやんだ直後、クマさんは俺にそう指示を出した。



「はいクマさん! 土剣!」



 その直後俺は防壁の上からジャンプし、ゴブリンの群れに土剣で襲い掛かったのだ。



 ズドォォォォォン!!



 叩き付けた土剣が地面に衝突すると、その衝撃だけで、10数体のゴブリンが吹き飛んでいった。

 そして着地と同時に俺は、土剣を横一文字に薙ぎ払った。

 その二振りが終わると、五体満足なゴブリンは、たった5体ほどとなっていた。


 その直後、村人による弓矢と投石の追撃が、残り少ないゴブリンを襲った。


 ゴブリンはその追撃で全滅したかに思われたが、1体だけ、投石も弓矢も、まるで小石が当たるかのように、意に介さぬ化け物がいた。


 そう、ゴブリンジェネラルだ。



「うごぉぉぉぉぉぉ!!」



 怒り心頭のゴブリンジェネラルは、投石や弓矢をその頑丈な皮膚で跳ね返しながら、咆哮とともに俺のもとへと突撃してきた。


 俺は瞬時に土剣を横一文字に薙ぎ払い、ゴブリンジェネラルの足目掛けて攻撃を放つ。



 ガツン!!



 だがその土剣の一撃は、こん棒で防御されてしまう。

 そのままゴブリンジェネラルは、横にズズズと動くと、土剣の横一文字の一撃を受けきって止める。


 そして土剣は限界が来たのか、柄を残して砕け散った。



 ドガ! パラパラ・・・



 その様子に勝機を見たゴブリンジェネラルは、ニヤリと牙を見せるが、油断禁物だ。

 俺は土剣の柄を、魔力でゴブリンジェネラルに投げつける。


 土剣の柄でのストーンバレットだ。


 魔力でブーストされた土剣の柄が、ゴブリンジェネラルの腹にヒットする。

 土剣の柄が腹にヒットしたゴブリンジェネラルは、一瞬動きを止めるが、俺はその隙を見逃さない。

 身体強化を強めにかけた俺は、一瞬でゴブリンジェネラルの手前に接近する。



「ライトセイバー!!」



 俺は青いライトセイバーを瞬時に生成すると、奴を袈裟斬りに斬り付けた。

 すると奴を斬り付けた部分から、青い炎が噴き出す。

 その直後俺は、後方へ飛んで離脱する。

 

 離脱とともに、俺は土魔法で土球を作り出す。

 その土球には圧縮したガスを込めてあるのだ。

 その土球をオレは、勢いよくゴブリンジェネラルに投げつけた。

 

 そして土球は、ゴブリンジェネラルに当たり、破損する・・・。



 ドゴゴゴゴゴォォォォン!



 直後、青い爆炎が発生し、ゴブリンジェネラルを焼いた。

 ゴブリンジェネラルから噴き出していた青い炎に、ガスが引火したのだ。


 思ったより威力が強く、その衝撃で俺も吹き飛んだ。

 結構爆心地から離れていたにもかかわらず、ぶわっ!! と熱い衝撃波が襲い掛かってきたのだ。

 火傷するほどではなかったが、奴から離れた位置に吹き飛ばされた。


 着地後、瞬時に奴を確認するが、ものすごい煙で前が見えない。

 しばらく防御態勢で、煙が晴れるのを待つ。


 そして煙が晴れると、黒焦げのゴブリンジェネラルが、立ったまま動かなくなっていた。


 俺は奴の生死を確認するために、あえてフラグを数回立ててみる。



「やったか! やったか! やったか!」

 

「ふざけてねえで、さっさとジェネラルに(とど)めをさせ!」



 すると防壁の上のクマさんに叱られた。


 しかしフラグが立ったのか、ゴブリンジェネラルは突然目をくわっ!と開くと、そのまま瞬時に俺の目の前に現れた。



 ズドン!!



 そしてものすごい速さで、こん棒を振り下ろしたのだ。

 だが俺にそのこん棒が、当たることはなかった。


 命を懸けた渾身の一撃だっただろうが、俺は奴の姿が消えた瞬間に、ボコボコと周囲の土を突き出していたのだ。


 それは咄嗟に造ろうとして失敗した、土壁だった。

 しかし奴にはそれだけでも効果があった。

 奴は突き出した土につまずいて、その一撃を外したのだ。



「土剣!」



 俺はその瞬間限界まで身体強化を高めると、土剣を発動して、ゴブリンジェネラルの腹に、思いっきり突きを繰り出した。



 ドカ~ン!!



 奴の耐久度も限界だったのか、ゴブリンジェネラルはそのまま、バラバラになりながら吹き飛んでいった。


 初めての命を懸けた戦い、それに勝利したことで俺の血は沸き立ち、興奮が絶頂を迎える。

 そしてそれに呼応するように、魔力が暴走寸前にまで高まる。

 同時に、知らない少女の思い出が、頭の中を流れていく・・・・。


 幸せだった母親との思い出。

 村で遊んだ友たちとの思い出。

 そして俺をかばって死にゆく、母親の様子・・・・。

 色々な思いとともに、涙がぶわっと!溢れ出る。

 

 それはこの少女の思い出・・・転生してから物心ついてからの、俺の失われた記憶であった。


 この時少女の魂と、俺の魂が一つになったのだ。


 敵は討ったよ・・・お母さん。村の皆・・・・。



「ふわぁぁぁぁぁぁああああ!!」



 俺は土剣を天に突き上げ、溢れる魔力と涙をのせて咆哮した。

 それは魔獣がごとく咆哮にも聞こえたであろう、少女の叫びだった。



「「「うおぉぉぉぉぉ!!」」」



 それにつられる様に、村人たちも勝ちどきを上げる。


 その村人たちの声が、遠くに聞こえる・・・・。


 そしてその直後、再び俺の世界は暗転した・・・・。


【★クマさん重大事件です!】↓


 お読みいただきありがとうございます!

 ほんの少しでも・・・・


 「面白い!!」

 「続きが読みたい!」

 「クマさん!」


 と思っていただけたなら・・・


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