11 デイリークエスト設定
総合評価67000pt突破!!七万までもう少し!!
ブックマークも14000件突破!!
ご愛読に感謝です!!
「すまん、取り乱した」
「大丈夫だけど、そんなにこれ、良いものなの?」
豪運のネルが戦闘に参加しているからか、それとも乱数に勝利したからなのか。
今回の沼竜との戦いの結果でもらった戦利品は二つ。
一つは俺たちの身長よりも長い沼竜の竜骨。
そしてもう一つは俺がつい叫んでしまい、今も頬がほころんで止まらないほどの低確率でしか出ない。
「良いものも何も、これがあるのとないのじゃ、今後のドロップ品の数に雲泥の差が出る」
「この変な人形が?」
「そう、この変な人形が」
海外旅行とかで行くと変な民族が作った木彫りの人形みたいなものがあるだろう。
俺が手に持っているのは、縦長の竜の骨にトーテムポールみたいな少し不気味な顔を彫られた手のひらサイズの人形だ。
「こいつは竜の防人っていうアイテムでな。竜種限定だけど、ドロップアイテムが十パーセントの確率で追加でドロップしてくれるっていう効果があるんだ」
「つまり?」
「フィールドボスのドロップ品枠は最大で三つだ。だけど、こいつはその枠外で追加でドロップ品を増やしてくれる」
「それはすごいアイテムですね」
「だろ?」
そのアイテムは装備を整えるための周回作業には必須のアイテムだ。
それこそ修練の腕輪を外してアクセサリースロットの枠に組み込みたいほどのアイテムだ。
「こいつのすごいところはな、強化すると確率が増加するんだ」
「どれくらい?」
「最大のプラス百まで強化すると四割、四十パーセントまで上げられる」
「すなわち、三回に一回はドロップ品が増えるということですか」
「そうそう!!それに加えて、パーティー内で重複させると更に効果が向上してな。つまり装備するメンバーが増えれば増えるほどドロップ品の数が増えるんだよ!!」
「すごいじゃない!!」
これがあれば竜素材のドロップ品をかなりの高回転で入手することができるようになる。
今後も竜種とは戦っていくことが決定されているのを考えればこれは必須級のアイテムと言っていい。
なにせ竜種の素材でできた防具は基本的に高スペックだ。
「そうだろう!そうだろう!!弱者の証を合成させれれば確実に強化はできる」
こいつのドロップ確率は0.4パーセント。
それが最初でドロップするというのはかなり幸運に恵まれていると言っていい。
「こりゃ、沼竜装備を整えるのもそう遠くない未来にはできそうだな」
頭の中でカチカチと算盤を弾く音が響く。
良い方向に予定が変更できそうな予感。
俺が沼竜の討伐を自分たちのスキル熟練度上げのメインに据えたのは、この沼竜の装備がかなり優秀だからだ。
沼竜装備は武器なら水属性と土属性のどちらかを持った武器を作れて、防具なら全身装備を沼竜装備で固めれば水属性に中耐性、土属性に弱耐性を持つ防具が作れる。
武器防具共にクラス5の装備。
武器の基礎性能は今使っている鋼の鎌槍の三倍から四倍の性能アップにつながって、さらに強化すれば五倍の性能は堅い。
さらに属性効果はともに二割増しの攻撃力。
防具の場合は、中耐性は三十パーセントの水属性ダメージ減と弱耐性の土属性十パーセント減が得られる。
これだけの耐性を得られるのなら、水属性や土属性モンスターの狩りも十二分に視野に入る。
公爵家とのつながりの件もあるし、ここらで一つ一気に強さを得る方向で行きたかった俺としてはこのアイテム入手はかなりありがたい。
「そうと決まれば今日は撤退だ!家に帰って明日からの予定を組みなおすぞ!」
「おー!」
「楽しみね」
「かしこまりました」
この場にはもう用事はない。
回収できるアイテムを回収して、アングラーの前に集結。
リキャストタイムが終わっているので、すぐに転移のペンデュラムを起動。
帰るのは我が家というわけだ。
再び光って、戻ってくれば我が家。
いやぁ、リキャスト時間があるとはいえファストトラベルができるのは本当に便利だ。
「それでは皆様お疲れのようですので、私は軽い食事をご用意してきます」
「大丈夫か?慣れない戦闘で疲れているだろう?」
「確かに疲れておりますが、これもメイドの仕事でございます」
「私も手伝うわ」
「では、ネル様よろしくお願いします」
「それじゃ、俺とアミナで装備を片付けような」
「はーい」
家に帰ってきて、早々にベッドにダイブしたいくらいには疲れているがここで装備とか片付けないとイングリットの負担になるし、自分の武具くらいは自分で片付けないと。
槍に、皮鎧、そしてアングラーとトラバサミといった罠類。
それを倉庫の中のそれぞれの位置に片付け終わりリビングに戻ると、ふんわりといい匂いが漂ってきた。
「スープとサンドイッチを作りました。よろしければお食べください」
「二人ともありがとう」
「いえ、私は昨夜のスープの残りに少し手を加えただけですので」
「そうか?それでも美味しそうだ。ネルもありがとう、美味そうなサンドイッチだ」
「材料を切って挟んだだけよ。まぁ、美味しいと思うけど」
ちょうどいいタイミングでお盆にスープが入った器を乗せたイングリットと、サンドイッチが乗った皿を持っているネルが台所から現れた。
動き回っているからかなり腹が減っている。
空腹は最高のスパイスとは良く言ったものだ。
作ってくれた両人に、感謝の言葉を伝えるのは当然のことだ。
イングリットはいつもの無愛想で、ネルは少し照れながら机に料理を並べ始める。
「私たちは手を洗いましたので、お二人も料理を並べている間に手を洗ってきてください。戦いで汚れているでしょうから」
「あ、そうかも、行ってきまーす!!」
「わかった」
食事の前に手洗いをと言われて、確かにその通りだと思った俺たちは水場に行って手を洗う。
そして戻ったころには、ネルは着席し、それぞれの席の前にはスープが並んでいる。
「それじゃ、食べるか」
「ええ」
「うん!」
「はい」
最初は一緒に食べようとしなかったイングリットもここは貴族の館ではなく庶民の家ということで説得して、今では一緒の食卓に座っている。
「神と大地の恵みに感謝して、いただきます」
「「「いただきます」」」
ちなみに、この食事の挨拶はこっちの挨拶に日本のいただきますを加えた。
最初は普通にいただきますと言っていたが、祈らずに食べることが不思議がられて結局はこういう形に落ち着いた。
確かに合掌という仕草ってこっちじゃ見ない。
なので、合掌が俺の祈る姿勢だと教えたわけだ。
ネルとアミナ、そしてイングリットもこっちの祈りのポーズではなく俺に合わせて合掌をしている。
そうして食事を始めたわけだが、無言で食べ続けるわけでもなく。
「さて、明日の予定だけど朝は今日いけなかった復興作業現場に行ってアミナのステージをやって、午後からはイングリットのレベルを上げようか」
「わかったわ」
「はーい」
「よろしいのですか?」
「レベルは一緒の方がペースが合わせやすい」
ひとまずは明日の予定を決めてしまう。
午前中は工事現場でライブをやって、午後は埴輪を倒しに外に。
あそこも転移のペンデュラムに登録してあるから普通に行くことができる。
「あとイングリットに手紙を書いてほしいんだけど、契約面で大丈夫?」
「問題ございません。リベルタ様が許可を出している形になるので罰はございません。それでどちら宛にですか?」
「公爵閣下に、貴族への言い回しとかわからないから頼みたいんだよ」
あとは、今日の熟練度上げの結果をみるに、俺とネル、そしてイングリットのスキルを増やして熟練度を上げておくべきだ。
そのためにはスキルスクロールを買う必要がある。
うちのパーティー資金は武器を作ったり、アミナの歌唱術と喝采の歌を買ってしまったからそこまで余裕があるわけではないんだよな。
なので。
「かしこまりました。どのような内容をお伝えしますか?」
「沼竜の素材は入用かどうかの話だ。売りたいのではなく、手に入る予定があって、在庫も用意できるかもしれないっていう体で話を通してほしい。数も大量に用意できるわけじゃないし、向こうが財力任せに買い占められるのも困るしな。あくまでこっちで使う分の余りを売る形にしたい」
「かしこまりました。その旨したためます。後ほど確認していただくのでよろしくお願いします」
「わかった」
ここで一つ金策に走る。
米化粧水で金を稼いでもいいが、竜の素材の方がどう見ても金策としては効率がいい。
何日か狩り続ければ、こっちの装備を制作しつつダブった素材を公爵閣下に売りつけることができる。
這竜の素材を手に入れるのも大変そうだったし、たぶん沼竜の素材も喜んで買い取ってくれると思うんだよな。
それに定期的にこっちが役立つという成果を送っておかないと向こうが何をしでかすかわからないしな。
ここで一つ様子見がてらやれることはやっておかないと。
「さてと、明日の予定は決まったがあくまで明日の予定はだ。それ以降だけど、まずはスキルの充実化を狙っていく。沼竜の討伐は定期的にやって資金を確保してスキルを増やす。目標は俺たちが持っているスキルスロットをすべて埋めてスキル熟練度を上げて、五つすべてをマスター状態に持っていく」
クラス2になったらEXBPを確保するためのレベリングをする必要がある。
「ネルは斧術と斧のアクティブ攻撃スキルを二つ、そして防御スキルでパリィを取ってもらう」
「わかったわ」
クラス2は一レベルごとに二つEXBPを確保できる条件が存在する。
一つは、レベルを上げる際にアクティブ、パッシブ含めて合計三つのスキルをマスター状態。
すなわち、レベルカンスト状態でレベルを上げることだ。
「アミナは歌唱術と喝采の歌に加えてもう一つ歌スキルを覚えてくれ、それでクラス1は問題ない」
「ライブし続ければ、二つとも上げられるとは思うけど、もう一つはどんな歌スキルを取るの?」
「追い風の歌だ。こいつは味方の行動速度を上げてくれる歌だからな。次からはアミナは沼竜討伐でも、喝采の歌と追い風の歌を使ってサポートしてもらうからな」
「まかせてよ!」
二つ目は、連戦でレベリングをする必要がある。
連戦と認められるインターバルは三十秒。
最初の一体目はカウントされず、次のモンスターからカウントされるという少し面倒な仕様になる。
すなわち、ぶっ続けでモンスターを倒し続ければ問題なくできることだが、弱者の証を使った経験値テーブルダウンを使ってシャトルラン状態を維持しないといけないのだ。
救いはパーティーでモンスターを一体でも倒せばインターバルとして認められるし、アミナの歌スキルでモンスターを引き込めば途切れることなくモンスターを倒し続けることができるポイントに心当たりもある。
アミナの歌スキルは、敵に惹きつけ効果を与えるからそれが攻撃判定になって経験値もしっかり分配対象になってくれる。
「イングリットは、生活魔術を習得してもらってエアクリーンを覚えてあとは調理術ももう一回習得してもらって解体スキルを追加してもらうね」
「かしこまりました」
最初のモンスターは修練の腕輪をつけて対処、タイミングを見計らって弱者の証に交換。
そこから継続戦闘を繰り返せば、二、三日でクラス2もすぐにカンストできるはず。
そこからさらに沼竜で熟練度を上げて、スキルスロットを埋めて熟練度を上げをすればいい。
「リベルタは?」
「俺は鎌術と隠形術をとってもう一つアクティブスキルでスラッシュあたりを取れればいいな」
今は初夏、目標は秋にはクラス3に突入してレベリングを完了したいな。
沼竜を討伐できるようになって、かなりスケジュールを前倒しにできる目算が立った。
この前のスキルショップを散策した際に、ざっくりとだが品揃えと値段帯は憶えている。
そこから逆算してやれば、秋頃、収穫祭には間に合うはず。
収穫祭のイベントがもしあるのなら、是が非でもクラス3には到達して装備を整えねば。
「さて、みんなここから忙しくなるぞ」
「僕たちって結構忙しなく動き回ってると思うんだけど」
「これ以上、忙しくなるのかしら?」
「なる!」
「断言なさいましたね」
「安心しろ、休みはしっかりと取るからな!!」
スケジュール的に考えれば割とギリギリ感がある。
こういう時に限って余計なクエストが発生する可能性もあるけど、そこはケースバイケースで対応していくほかない。
「ちなみにどれくらい忙しくなるのかしら?」
「週休二日にはするけど、ノルマでいうなら再来週あたりには一日に二体沼竜を倒せるようにしたいな。だから今のところは週に十体の沼竜を倒す目算だ」
「十!?」
「できるの?」
「今日で倒せるまでの時間は把握できた。スケジュール次第ではどうにでもできる」
今は沼竜の登録個所は三ヵ所だけど他の場所にも目星がついているからいずれそれもできるようになる。
さぁ、楽しくなってきたぞ。
「任せておけ」
楽しんでいただけましたでしょうか?
楽しんでいただけたのなら幸いです。
そして誤字の指摘ありがとうございます。
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