第八十四話 喜ぶわたしたち
その後、国王陛下と王妃殿下、そして、侍医がこの部屋に入ってきた。
まず王妃殿下がわたしに、
「マクシノールはまだ意識が戻ってきませんか?」
と声をかけてくる。
心配でたまらないのだと思う。
それに対して、マクシノール殿下のそばにいるわたしは、
「マクシノール殿下は意識が戻られています」
と応えた。
王妃殿下は驚いて、
「意識が戻ったの? マクシノール!」
と言いながら、マクシノール殿下とわたしのそばに行く。
国王陛下と侍医もそれに続く。
マクシノール殿下は、国王陛下と王妃殿下がそばに来ると、
「お父様、お母様、ご心配をおかけしてお申し訳ありません」
と言った。
王妃殿下が、
「マクシノール、具合はどうなの?」
と言うと、マクシノール殿下は、
「熱は下がってきましたし、体調も良くなってきました」
と応えた、
王妃殿下は、
「昨日に比べると顔色が良くなってきているわ。生命の危機に陥らずにすんだのね。わたしは、ずっとあなたのことを心配していたの。うれしい」
と言って、涙を流し始めた。
「マクシノール、良かった、回復し始めて……」
国王陛下の目からも涙がこぼれてくる。
「それでは診察をさせていただきます」
二人とは対照的に冷静な侍医。
侍医が診察をしている間、国王陛下と王妃殿下、そしてわたしは、少し離れたところに座る。そして、診察の結果を待っていた。
侍医の診察が終わると、わたしたちは、すぐにマクシノール殿下と侍医のそばにやってきた。
「マクシノールの容態はいかがでしょうか? また悪化の方向に向かう可能性はありますでしょうか?」
王妃殿下が心配そうに聞くと、侍医は、
「マクシノール殿下もおっしゃっていましたが、熱は下がってきていますし、体調も良くなってきていることが診察の結果、確認をすることができました。わたしの診立ててでは、もうこれからは、悪化することはなく、回復に向かうと思います」
と応えた。
「それでは、少し安心をしてもいいのですね」
「通常の生活に戻られるまでは、少し時間がかかる可能性はあります。しかし、もう悪化の方向に向かうことはないと思っております」
「ありがとう。マクシノールはあなたの治療で救われました」
王妃殿下がそう言ったのに対し、侍医は、
「正直言って、昨日の段階では、生命の危機を迎える可能性はかなり強いと思っていたのでございます。もちろん、わたしとしては、最善を尽くしたつもりでした、この夜の間に、わたしの行った治療が効いてくると思っていました。ただ、それがどこまで効くかというところは、なかなか想定するのは難しく、今日の朝になって、回復に向かっているかどうかは、昨日の夜の時点では、残念ながらわからないところがあったのです。しかし、今は、順調に回復してきています。これは、マクシノール殿下ご自身のお力が大きいものと存じます」
と言った。
この侍医はこの王国一の名医と言われている人で。今回もマクシノール殿下を救いつつあるというのに、自分のことを一切誇ることがない。
すごい人だと思っていると、マクシノール殿下は、
「いや、あなたの治療が良かったからです。わたしはあなたに救われました。今までも侍医として、わたしが病気になると治療していただきましたし、お父様もお母様も救けていただきました。今回も感謝したいと思います」
と言って侍医に頭を下げた。
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