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第七十九話 生命の危機を迎える寸前のマクシノール殿下

「生命の危機……」


 一番聞きたくない言葉だ。


 マクシノール殿下がそういう状態になることは、想像もしたくない。


 マクシノール殿下とわたしの人生は、これから始まろうとしているのに……。


 わたしは、


「マクシノール殿下の熱が下がっていくことを信じたいです。あなた様ほどの名医が治療されているのですから」


 と言った。


 侍医は、それに対して


「今、わたしはできる限りの治療を行っています。その効果が出てきて、熱さえ下がってくれば、体の方も少しずつ回復に向かうと思っております」


 と冷静に言った。


 侍医は、この王国で一番の名医と言われている。


 この方が治療しているのだから、きっと回復に向かうと思う。


 しかし、今はまだ意識を失ったまま。


 このまま病状が悪化したら、生命の危機……。


 そう思うと、どうしても心配する心が強くなってきてしてしまう・


 すると、


「クラデンティーヌさん……」


 とマクシノール殿下はわたしの名前を呼び始めた。。


 意識が戻ってきたようだ。


「マクシノールは、わたしが昨日、マクシノールのそばで看病を始めてから、意識がある時は、あなたの名前を呼ぶようになっていました。マクシノールとあなたは、政略結婚ということで、婚約をした仲だったのですが、いつの間にか、お互いに心を通わせる仲になっていたんですね」


 王妃殿下はそう言うと、少し微笑んだ。


 そして、


「あなたのことは、マクシノールから、『最近、心を入れ替えて、いい方向に進んでいます』と伺っていました。正直、今までは、わがままえ傲慢だという噂しか伺ってはこなかったものですから。今日も、あなたをここに呼ぶのは、躊躇したこともあったのですが、マクシノールの一途さに、呼ぶことを決めたのです。あなたを使者が迎えに行っている間、マクシノールが言っているのは一時的なものではないかとも思い、呼ぶことはなかったのでは、とも思いました。しかし、今日、ここにきたあなたを拝見して、マクシノールが言った通りの素敵な女性であることが理解できました」


 と言ってくれた。


 王妃殿下もわたしに対する見方を変えてきているようだ。


 またマクシノール殿下は、王妃殿下に、自分がわたしの心変わりを恐れていることは、伝えていないようだ。


 混乱を避ける為のマクシノール殿下の配慮だと思う。


 その気づかいには感謝したい。


「そうおっしゃっていただくのは、とてもありがたいと思っております。今おお言葉を忘れずに、さらに自分を磨いていき、マクシノール殿下に尽くしていきたいと思います」


「その気持ちをずっと忘れないでくださいね。あなたには期待をしています」


 王妃殿下がそう言って、微笑んだ。


「ご期待に沿えるようにしたいきたいと思います」


 わたしはそう言って頭を下げた。


 すると、マクシノール殿下は目を覚ました。


 侍医は、すぐさま体調の確認に入る。


「まだ熱は高いままです」


 侍医はそう言った。


 王妃殿下もわたしも残念な気持ちになる。


 すると、マクシノール殿下は。


「母上、付き添っていただき、ありがとうございます」


「クラデンティーヌさん、来てくれたんですね。ありがとうございます」


 とわたしたちに向かって、気力を振り絞って言ってくれた。


 体が苦しいのにも関らず、なんとか笑顔を作ろうとしている。


 王妃殿下もわたしも言葉がでてこない。


 そして、またマクシノール殿下は意識を失ってしまった。


 王妃殿下もわたしも、落胆してしまう。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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