第六十七話 ロデナーヌさんの言葉
わたしは、王宮の敷地にある舞踏会の会場に入った。
既に、王室の方々や貴族たちが参集してきている。
平民たちの代表も参集してきていた。
参集してきた人は、思い思いに着飾ってきている。
華やかな雰囲気だ。
わたしはマクシノール殿下の方に向かおうとしていると、
「これはクラデンティーヌさん、ごきげんよう」
と声をかけてくる人がいる。
ロデナーヌさんだ。
取り巻きの侯爵家令嬢二人と一緒だ。
会いたいとは思っていなかった人たちだというのに、もう会ってしまうことにになってしまった。
「ごきげんよう。ロデナーヌさん」
わたしは仕方がなく、少し相手をするしかなかった。
ロデナーヌさんは、
「クラデンティーヌさん、今日は一段とお美しいですね。さすがにわたしには劣りますけど。わたしこそがこの王国で一番美しい令嬢ですから」
と言って他の二人とともに笑い出した。
悪役令嬢の典型的な笑い方だ。
でもわたしも今まで、そういう笑い方をしていたのだと思うと、少し恥ずかしい気持ちになってくる。
ロデナーヌさんは、笑った後、話を続ける。
「クラデンティーヌさん、最近あなたはおとなしくなったと評判ですわね。なんでも今まで傲慢な態度を取り続けていたので、マクシノール殿下に心よく思われておらず、このままではマクシノール殿下にあいそをつかされるので、気に入られる為に、態度を改めるようになったとのこと。でもしょせんはその場しのぎにすぎなくて、その内、また傲慢な態度に戻って、マクシノール殿下にあいそをつかされるという話でもちきりですわ」
そう言った後、またロデナーヌさんは笑い出した。
今度はわたしをあざけるような笑い方だ。
さすがに少し嫌な気持ちがした。
今までのわたしだったら、
「わたしが何をしようと勝手だわ。わたしはあなたと違って、マクシノール殿下の婚約者で、これから、マクシノール殿下の王太子妃になるのですから、どういう振る舞いをしようが、わたしの自由ですのよ」
と言った後、ロデナーヌさんのことをあざ笑うという嫌味っぽい対応をしていたところだ。
そんな無駄なことはもうしない。
わたしは。
「わたしについての評判を教えてくださってありがとうございます」
と言った。
今、ロデナーヌさんが話したわたしの評判は、わたしの耳には入ってきていなかった。
わたしのクラスでは、わたしの新しい姿が受け入れられ始めてきていたので、そういう話をする人は、わたしが把握する限りではいないようだった。
しかし、ロデナーヌさんの話では、わたしのクラス以外では、まだまだわたしに対しては、今まで通りのイメージを持っている人が多いということだ。
わたしは、これを反省の材料として、より一層自分を磨いていき、生まれ変わったわたしのイメージをこういう人たちにも浸透させていかなければならない。
そのことを教えてくれたということで、わたしはロデナーヌさんに、冗談ではなく、ありがたいという気持ちで、そう言ったのだった。
ロデナーヌさんは、わたしに想定外のことを言われたのだろう。
「あなたに感謝される為に言ったわけではないのよ」
と言い返してはきたが、それ以上言う気力はなくなってきたようだ。
わたしは、
「それでは、ごきげんよう」
と軽く会釈をして、その場を去って行く。
「クラデンティーヌさん、あなたは今までわたしが知っていた人と違う。、いつも言い合いになって闘志を燃やしていたのに……。こんな想定外の言葉をかけてくる人になったとは思わなかった。このままでは、わたしの方がおかしくなってしまうわ……」
ロデナーヌさんはそう言って、悩み始めたようだった。
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