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第三十八話 セリラーヌさんに謝るわたし

 放課後。


 わたしとセリラーヌさんは、校舎の外れで向き合っていた。


 わたしの取り巻きの二人はもちろんいない。


「時間を取らせてしまって、ごめんなさい」


 わたしはまず、そのことを謝った、


「お気になさらないでください」


 セリラーヌさんは、そのことは特に気にする様子はない。


「では、話に入らせてもらいます」


 わたしは言葉を一回切る。


 さすがにこれから謝ることになるので、心理的な抵抗はどうしてもある。


 ここまできても、


「なぜ転生の記憶を思い出す前のわたしが行ったことを謝らなければならないのだろう」


 という気持ちはどうしてもある。


 しかし、それを乗り越えていかなくてはならない。


 セリラーヌさんの方も緊張しているようだ。


 わたしは話をし始めた。


「わたしはセリラーヌさんに今まで酷いことをしてきました。イジメをしてきました、さぞつらく苦しい思いをしたと思います。そのことについて、謝りたいと思います」


 そう言ったわたしは、セリラーヌさんに頭を下げた。


 セリラーヌさんは驚いたようだ。


「クラデンティーヌ様、あなた様は何をなさっているのでしょう? わたしには突然のことで理解ができません」


「理解できなくても仕方がないと思っています。今までのわたしは、わがままで傲慢な態度をして、自分勝手に生きてきました。その過程で、セリラーヌさんには大きな迷惑をかけてしまったと思います。でも、この間、高熱を出した時に、このままではいけないと思ったのです。心を入れ替え、公爵家の当主として、そして、マクシノール殿下の婚約者としてふさわしい人間にある為、生まれ変わった気持ちで生きていこうと思い直したのです。でも今までの生き方が生き方だったので、なかなかこう言っても信じていただけないとは思っています。すぐに、この変化を信じてほしいとは申しません。それは無理だと思っています。ただ、今日、あなたに謝りたいという気持ちを、ほんのわずかでもよろしいので、汲んでいただけるとありがたいです」


 わたしは一気にそう言った。


 セリラーヌさんは、わたしの言うことが信じられないという表情をしている。


 それは仕方のないことだ。


 わたしがセリラーヌさんの立場になれば、同じことを思うに違いない。


 これからイジメをしないことによって、わたしの決意を示していくしかない。


 そう思っていると、セリラーヌさんは、


「クラデンティーヌ様、わたしはあなた様が、わたしの思っていることをはるかに越えることをおっしゃるので、戸惑っていますし、なかなか信じられずにいます。今日ここに来たのも、嫌味をたくさん言われるのではないかと思って、覚悟してきました、ただ、一方では、朝、わたしに話をしてきた時の様子が今までとは違っていたので、もしかすると、わたしに対する対応のし方が変化するのでは、と言う期待もちょっとしていたところだったのです」


「そのように思っていたのですね……」


「期待はちょっとしかしていなかったのですけれど、クラデンティーヌ様のわたしに対する対応が変わるという理解でよろしいですよね」


「その通りです。セリラーヌさんには、今まで酷いことをしてきて、本当に申し訳なかったと思っています。これからはもうイジメるようなことは一切しません」


 わたしは改めて頭を下げた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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