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第三十六話 取り巻きから友達へ

 この二人は、わたしの部下ではない。


 同じ学校に通う同級生だ。


 身分的には、公爵家令嬢と侯爵家令嬢という差はある。


 しかし、王国が設立したこの学校は、


「身分の差にはこだわらない」


 という理念を持っている。


 この理念があるので。学校内においては、身分の差を意識する必要は本来ない。


 学校の先生たちも、いつもそのことを強調されていた。


 とはいうものの、個々の生徒の間においては、身分の差を意識してしまうことは、どうしてもある。


 今までのグラデンティーヌがセリラーヌさんをイジメていたのは、身分の差があるにも関わらず、グラデンティーヌをしのぐほどの魅力を持っていたというところが大きい。


 もし身分の差を意識しなければ、イジメようという気にはならなかったと思う。


 転生の記憶が戻る前のこととは言っても、そう思うだけ恥ずかしいことだ。


 これからは、学校の理念通り、


「身分の差にはこだわらない」


 ようにしていかなくてはならない。


 また、この二人がグラデンティーヌの取り巻きになったのも、この身分の差が大きな理由になっている。


 グラデンティーヌが同じ侯爵令嬢であれば、取り巻きになることはなかったと思う。


 とは言っても、身分差を理由としてグラデンティーヌの取り巻きになったとしても、忠誠を誓うというところまではする必要はなかった。


 グラデンティーヌは決して、彼女たちに忠誠を誓うことを強要はしていない。


 彼女たちの方から申し出て、グラデンティーヌに対して忠誠を誓ってくれたのだ。


 ゲームだと、彼女たちの気持ちはわからなかった。


 そういう描写は一切ないからだ。


 本心で忠誠を誓っているわけはないと思っていた。


 しかし、彼女たちはどうやら心の底から忠誠を誓ってくれているようだ。


 転生のことを思い出す前のわたしに、それほどの魅力があったとは思えないのだけど……。


 しかし、わたしのことを評価してくれるのであれば、こんなにうれしいことはない。


「ありがとう。みんな。それで、これからのことで提案が一つあるの、よろしいかしら?」


 わたしがそう言ったのに対し。


「なんでもおっしゃってください」


 と二人は言ってくれた。


「ありがとう。わたしたちは。今までも自分磨きをしてきたけれど、まだまだ足りないと思っている。これからはもっと自分磨きをしてきたいと思っているの。それも一人だけのことではなくて、わたしたち全員で自分磨きを行って、お互いのレベルを上げていきたい。今まで、こういうことは一度も言ったことはなかったから、みんな戸惑っていると思う。でもわたしは、みんなでそういう方向に進んで行きたい」


 わたしは話をしている内に、少し恥ずかしい気持ちになった。


 こういう話をすると、少し敬遠をされる可能性があるかもしれない。


 しかし、わたしとしては、言うべきことは言えた。


 それで特に後悔をすることはない。


 そう思っていると、リデクさんは、


「クラデンティーヌ様、わたしももっと自分を磨いていきます」


 と言ってくれたし、ラヨンドさんは


「クラデンティーヌ様のような素敵な方を目指して自分磨きをします」


 と言ってくれた。


 ラヨンドさんの言った、


「クラデンティーヌ様のような素敵な方」


 というのは、わたしのことを買いかぶりすぎている気はするものの、二人とも、わたしの意見に賛成してくれたのはうれしいことだ。


 そして、わたしは。


「これからは、わたしの取り巻きではなく、みんなで友達になっていこう」


 と言った。


 さすがにこれには、


「そんなおそれ多いことはできません。わたしたちは、身分が違います」


 と二人とも言っていた。


 しかし、わたしは、


「少しずつでいいので、お互い、友達になって行きましょう」


 と言った。


 クラデンティーヌとして生きている以上、身分について考慮する場面はどうしてもある。


 しかし、もともとわたしの出発点の人生では、身分というところからは自由な人生だった。


 病弱で苦しい人生だったのだけれど、そこだけは評価できる。


 出発点の人生のことを思い出したおかげで、わたしの心の底では、身分に対するこだわりは全くない。


 それよりも友達として生きいけるかどうかの方が大切なことだ。


 二人は、


「そういうことであれば、従っていきたいと思っています」


 と渋々ながら承諾をしていた。


 彼女たちは、今まで、身分の差を意識してきた人生をおくってきた。


 そう簡単には考え方を変えることができないのはわたしも理解できる。


 少しずつ関係をいい方向に変えていければいいだろう。


 こうして、二人はわたしの言うことに、渋々なところもあったのだけれど、賛同してくれた。


 ありがたいと思った。


「面白い」


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