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その58

 今日は色々と大恥をかいてしまった。私もああいう、い、いやらしい会話に慣れないといけないね……

 じ、自分で考えるのは平気なのよ? でも、周りで直接口に出して話されると、自分の事でもないのに恥ずかしくて恥ずかしくて。


 こんなので男の人と恋愛とかできるのかな私……


「いいや、シアさんに貰ってもらおう、ですか。なるほど、お任せください。必ず幸せにします」


「そんな事考えてないからね!!!」






 今はシアさんとお風呂。髪、体を洗ってもらい、湯船にゆったりと浸かって今日の反省をしていたところだ。


 始めは恥ずかしくてタオルで隠していたが、今はもう全くと言っていいほど気にならない。二人とも全開状態だ。嫌な表現だね……

 少し前から何故か、シアさんは私と、ほぼ毎日お風呂に一緒に入るようになった。父様ともまだたまには一緒に入ってるんだけどね。

 それまでは、服を脱がせてもらったり、上がった後に拭いてもらったり、着替えさせてもらったりしてただけなんだけど……


 ん? あれ? 私、お姫様すぎない?

 子供の頃、今も子供か。もっと小さい頃からからずっとそうだったもんね……。全く疑問も違和感も覚えなかったよ。


 うーん……。ま、いいか。私はお姫様だし、それでいいや。




「シアさんって肌綺麗だよねー。お仕事してるのに指先までホントに綺麗」


「姫様、ご自分の肌の方がはるかに綺麗だという事は自覚されてないんですか……」


 私の肌が綺麗? こんな真っ白なのが?


「綺麗かなあ……。髪も肌も真っ白で、なんかさ、病弱な感じしない?」


「確かにそういった感じもしますね。体の弱い、深窓の令嬢のようですよ、もっと自信を持ってください」


「何その自身を持てそうな、持てなさそうなイメージは……」


 自宅のベッドで、ずっと療養生活しているお嬢様的なイメージか。


「私って、実際体はそこまで弱くないよね? それとも過保護にされてるからかな、今まで大きな病気も無かったのは。ちょっと不安になってきちゃったよ」


「ええ、健康そのものですよ。少し小さめではありますが……、素晴らしい事です。ずっとそのままでお願いしますね。いつも祈っていますよ」


「まだ呪いかけてるの!? せめて150! できたらもう少し! 後胸も欲しい!」


 女神様お願いします! 後これだけ! これだけでいいですから叶えてー!!


「私が絶対に阻止して見せます、ご安心を。」


「何の安心よ! うう……。このまま生理来ちゃったらどうなるんだろう……。シアさん、襲わないよね? ね?」


「襲いますよ?」


「え……?」


 え? 襲う? やっぱりシアさんそっちの趣味でロリコンの人なんだ……


「ひ、姫様! 冗談ですよ! そんな絶望した顔しないで下さい……」


「うん……。冗談、なんだよね?」


 シアさんは無言で横を向く。


「やはりロリコンだった!! ああ、もう駄目だ、私襲われちゃうんだ……。シアさん強いし、抵抗なんてできないよねきっと……」


「ふふ、からかいすぎましたか。何度も言いますが、大丈夫ですよ? 私は至ってノーマル。それが真実です」


 怖いよー、どっちが本気なのよー! まあ、本気だったら今の体勢がすでにやばいか。

 私は座高も低いから、湯船に浸かるシアさんの膝の上に座ってる感じなのよね。もたれると二つの膨らみがはっきり分かる。

 シアさんは普通サイズだ。しかし私はこの普通サイズにすら到達できるかも怪しい……。泣きたい。


「シアさんはいいな。背もあるし、胸もあるし、超が付くほどの美人だし。さらに強いし、何でもできちゃうし……? あれ? シアさんって凄すぎない?」


 か、完璧超人じゃん……

 私の理想の女性像は母様だけど、シアさんも凄いね。あ、違うか、シアさんロリコンだった。このマイナス要素は相殺できないよ絶対に。


「さ、さすがにそこまで褒めて頂けると、照れてしまいますね。姫様も成人すれば、きっと素敵な女性になると思いますよ」


 美人にそう言われると、ちょっとだけ自信が出てくるね。えへへ……




「シアさんの子供の頃ってどんな人だったのかなー」


 言ってから、しまった、と気づいた。前、冒険者時代に増長して痛い目に遭った、的な話、しかけてたよね。


「子供の頃ですか? 実は、子供の頃の記憶は無いんですよね、気づいたら森に倒れていたのが最初の記憶です。その後すぐ生理、多分初潮が来たので、恐らく五十位だろうという事になりましたが」


「またそんな重そうな話を簡単に……」


 記憶喪失? シアさん今五百くらいだし、人生の一割の記憶が無いって事?

 それに、子供時代の思い出って結構大切な物なんじゃないかなと思う。


「なので、自分の年齢は約五百、としか分からないんですよね。あ、お気になさらずに。軽い話ですよ?」


「軽くないよう……」


 という事は、両親の記憶も無いんだ。森に倒れていたっていう事だから、そんなにいい理由じゃないよね。


「ああ……、泣かないでください。本当に、何も問題は無いんですよ? 気にすらなりません。記憶が無いという事は、悲しくなるような思い出も無い、という訳でして……」


 思い出が無い? 何よそれ、怖い、怖すぎるよ……


「何てお優しい……。姫様が悲しく思われるのは、それだけ今、姫様ご自身が幸せという事なのでしょう。私も本当に今、幸せなんですよ?」


「幸せ? ロリコンだから?」


 私みたいな小さい女の子を、しかも裸で抱き締められる体勢だから?


「ふふふ。詳しいお話はもう少し大人になってから、今は信じてください。私は、この国に来て本当によかった。本当に、本当に幸せですよ? 過去なんてどうでもいい事です」


 振り向いて、シアさんの顔を見てみると、とても嬉しそうな、素敵な笑顔だった。




「し、シアさんって、凄くモテてたんじゃない? 外でさ」


「ええ、告白、求婚はそれこそ毎日のように。その全てを蹴散らし、いえ、自分自身の程度を理解させて差し上げましたが」


 うわあ、やっぱりか、そりゃモテるよね。でも蹴散らしちゃ駄目だと思うな!

 シアさんって、同じ女性の私から見ても凄く魅力的、と言うか、普通に憧れるよ。私お姫様なのに……


「あはは……。シアさんと釣り合いが取れる人なんているのかな? 父様くらい?」


「私と釣り合うお方は姫様だけではないかと。いえ、私程度ではとても姫様と釣り合いはとれそうにありませんね。ああ……、本当に可愛らしい……」


「もう! またそういう、! な、何そのいやらしい手つきは!? ひゃあ! やめやめ!!」


「そういえば胸は揉まれると大きくなるという伝承が」


「よく聞く話だけどある訳無いよ……。胸だけ触るのを許可します!!!」


「駄目です」


「何で!?」



 それでも一回は結婚してるんだよね、それも人間の人とさ。

 その話も、私が大人になって、泣かずに聞けれるようになったら話してもらおうかな……








お風呂回でした。細かい描写は必要ありませんよね?

胸は揉み過ぎると逆に小さくなってしまうらしいですね。恐ろしい……


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