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309/338

その309

お、お待たせしました!

予定通り新しいお話に入ります。


ではまた後書きで……

 シラユキ・リーフエンド、ついに五十歳の大台に到達しました!! 成人まであと半分! 折り返し! ……あれ? そう考えると全然大台じゃないな……。


 今日は私の五十歳の誕生日。そして毎度の如くお祭りが、十歳毎の節目という事で例年よりもかなり規模の大きなお祭りが絶賛開催中です。

 その規模は森の中とリーフサイドだけではなく、管理圏内の全てと言ってもいいくらいらしいので驚きである。それが自分の誕生日のお祝いっていうのは驚きを通り越して軽く引いてしまいそうだけど。


 多分それは私がハイエルフだからそう思うんだろうね。遠い町の人間や獣人の人たちにとっては、十年毎に開かれる国の行事なんてオリンピック以上に久しぶりで他人事だろうからね。

 ……まあ、実際他人事なんだけど、それくらい自分には関係のないお祭りだっていう事だよ。見た事も話した事もない、もしかしたら名前すら知らないお姫様の誕生日なんてどう祝えばいいのやら……。



 さて、頭を今に戻して、と。

 今はお祭りの真っ最中で広場は超大騒ぎ。そして私は母様の膝の上で超ご満悦。隣にはシアさんではなくリリアナさんがにこやかに待機している。

 みんな今日の主役である筈の私のことはそこまで気にせずに、それぞれ思い思いに楽しんでいるようで何よりだ。折角一日中母様に甘えられるチャンスなのに一人一人からお祝いの言葉なんて聞いて対応してられません!


 それでもみんなからすると五十歳なんてまだまだ子供でアイドルな私、次から次へと誰かが何かしらの思いで構いにやって来てしまうのが少し困りもの。母様の膝の上から降ろされるような事がなければ普通に対応するけどね。



「姫ー、じゃなかった、シラユキ様誕生日おめでとう! んー? 何か変だよな」


「おめでとうシラユキ、様? うーん……? やっぱりそうよねー。違和感が凄いったらないわコレ」


「ありがとー。さっきからみんなそんな反応ばっかりだね」


「ふふ、そうね、シラユキは可愛いすぎるから仕方がないわよね? ふふふ」


 来る人来る人がお祝いの言葉を贈ってきてくれているのだが、ほぼ全員がその後にこんな反応、微妙な顔をしてしまう。その訳は……


「だって姫ちっちゃいもんなあ……。やっぱ様付けは合わないって言うか、なんつーかな」


「うんうん、なんかシラユキ様、って言うより可愛く、姫様! って感じだもんね」



 実は私が姫やら姫様だとか呼ばれていたのは、実際にお姫様だからとかそんな当たり前の理由ではなく、まずはそう呼ばれて自分がお姫様、王族だときちんと自覚するためだったらしい。今更すぎるネタバラしには何の思いも沸かなかった。

 兄様も姉様も五十歳までは王子とか姫とか呼ばれていて、五十歳からは名前に様付けに変わったんだとか。そうする事で今度は、自分は王族で人の上に立つ身分だと自覚させるのが目的みたいなのだけれど、果たしてそれが上手くいっているのかどうかはよく分からない。


 私から見ると兄様も姉様も王族って言うよりは……、なんだろう? クラスの委員長とかまとめ役とかそんな感じに近いかな? 王族だから上から目線っていうのは全く無いからね。



「俺は今までどおり姫の方が呼びやすいかなあ。って訳で姫、改めておめでとなー」


「私も姫様のままにしよっと。姫様、おめでとねー」


「うん、ありがとねー」


「可愛いなあ」「可愛いわー」


 二人ともあっさり変更を諦め、今まで通りな超子供扱いになってしまった。

 それの何が嫌とかは一切ないんだけど、なんだかなーという呆れに近い気持ちがずっと続いている。


 そんなもやもやとした時は母様に甘えるのが一番! という訳で私的ランキング不動の一位の母様のおっぱいに頬擦りをして癒してもらおうではないか。勿論この二人が離れて行った後の話だよ。


「姫は今いくつだっけ? あ、背の話な。五十だってのに全然小さいままだもんな。可愛いからいいけど」


 ふふん。私ももう小さい小さいと言われる事には慣れきったもんね。この程度ではもう動じないさ。


「124か5くらいだったかしら? この子十歳頃から全くって言っていい程変わらないから最近はもう測ってすらいなかったものね」


「シラユキの体のことなら私らよりあの子、バレンシアの方が把握してるかね。ま、エルフにはキャロルやマリーみたいに背の低い子ってのは結構いるモンだからそんなに気にする事でもないさ。もしかしたらこれから伸び出すかもしれないんだし」


 グリニョンさんもお母(リリアナ)さんに似て痩せ型でおっぱいも結構あるけど、背だけは似ずに少し低めだもんね。今リリアナさんが言ったみたいにエルフの女性は元々そんなに背は高くないって聞くし。でもクレアさんとカイナさんみたいに余裕で170超えの人も少なからずいるんだよね。まったく羨ましいやら妬ましいやら。ぱるぱる。


「えー? もう伸びなくてもいいわよ。小さい方が可愛いもんね。ねー? 姫様」


「伸びるなら伸びた方がいいよ!」


 小さいと言われることには慣れたけど、それとこれとは話が別であります! まあ、ほぼ諦めてるんだけどね……。ぐすん。



 あと、十年毎の節目には、こんな風にいつもの何でもない理由で開かれるお祭りで集まるメンバーに加えてさらに、普段はあまり人前に姿を見せない隠居生活の人たちも少し出て来ていたりもする。

 そんな落ち着ききっている人たちはまず私をグリグリと撫でて可愛がり、母様とリリアナさんと少し会話をしてから……


――おいジニー、最近お前のいい噂を聞かんぞ? いい加減森に落ち着いて子供でも作れ。


――子供!? うーん、子供かー……。シラユキちゃんがいるからいいや!


――はん、ジニーにそんな相手がいる訳ないって。


――ひどい!! いないけど! 確かにいないけど!!


――グリフィルデ、お前にも言ってるんだがな。折角可愛らしくしてるんだからどうだ? 変わりはあったのか?


――うぐ。し、シラユキがいるからいい。うっさいわもう……。


 自分たちの時代にアイドルだった人を可愛がったりからかったりしに向かう。

 多分ジニーさんとグリニョンさんが子供の頃にはまだこの辺りで暮らしていたんだろう。微笑ましい。


 ジニーさんとグリニョンさんの子供の頃かあ……。九百年も前の話なんて想像もつかないや。

 しかし、みんな見た目は人間種族で言うと二十歳から三十歳の間くらいに見えるから面白いわ。私が知ってる中で一番老けて見えるのはドミニクさんかな? それでも三十歳より少し手前くらいにしか見えないんだよね。



「よっ、おめでと姫。五十歳になった事だしそろそろ結婚しようぜー」


「ありがとー。でも結婚はイヤー」


 母様の胸に頬擦りをしながら、少し離れた所での興味深くも面白い会話に聞き耳を立てていたらまた新たな邪魔者、ライスさんが現れた。


 ライスさんなら甘えられるところを見られてもそんなに恥ずかしくはないかな。そこまで邪魔者でもなかったよ、ごめんなさい。と心の中だけで謝っておこう。


「ふふ、可愛い。まったく、ライスはずっとそれ言ってるけど、他にいい女性ひとはいないの? うちの子たちからは嫌われてるみたいだけど他ではそうでもないでしょう?」


「へ? あ、まあ、うん、モテてるっちゃあモテてるけどなあ……。はは」


 母様からそう突っ込まれるとは思わなかったのか、頭を掻きややバツが悪そうにしているライスさん。


 ふふふ、さすがの悪い大人代表のライスさんも母様の前でははっちゃけられないみたいだね。しかしライスさんのお相手、エレナさんのためにもまだ空席のままでいてもらいたい。


「ああ、エレナとはどうなんだい? あの子結構積極的にアピールしてきてるでしょ。まだまだ子供だけどいい子だから受け入れてあげればいいじゃない」


「い、いや、あいつは妹みたいなもんで……。うおお、ちょっと姫と話しに来ただけなのになんだこの状況……!!」


 あっちから聞こえてくるお話の影響かもね。随分と間が悪い時に来てしまったものだよ。


「それならほら、向こうにいるジニーとグリーは? ジニーとはうるさい者同士気が合いそうだし、グリーは親の贔屓目を抜きとしても可愛くていいと思うけどねえ」


「はい!? ふ、二人とも年上だからなー! 俺は年下で大人しい子が好みだからなー! ざ、残念だなー!」


 なにそれわざとらしい。

 それならエレナさんで……、あ、大人しくはないかも。おしい!


「へえ……、あんなに私に言い寄ってきてた男の口からそんなセリフが出るとはねえ? 私はあの二人よりももっともっと年上な筈じゃないかい?」


「え? なにそれ初耳。ライスさんってリリアナさんのことが好きだったの?」


「ぐお、ぬ、あ、や、ま、まあな」


 言葉が、声が治るまでは大人しくて控えめな人っていう印象が強かったもんね。コーラスさんとかみんなの憧れの女性だったらしいし。あ、それは今でもか。


「そうそう、毎日毎日飽きもせず付き合ってくれ結婚してくれってしつこくってね。女としちゃ悪くない気分だったけどさ。ふふふ」


「ちょ、姫の前でその話はやめっ」


「まだルーも、クレアとカイナも生まれてない頃の話よねそれ、懐かしいわ。ライスに限らずリリーに言い寄る男の人は多かったわねえ……。あ、カイナはどうかしら? とってもいい子よ?」


「いやもうマジで勘弁して下さい!! ひ、姫、またなー!! あ、詳しく聞くんじゃないぞー!!」


「あ、うん、またねー!」


 あまりのいたたまれなさからか、ライスさんは一目散に逃げて行ってしまった。それでも私に釘を差して行くことは忘れないあたり何と言うか……。


「あっはは、逃げた逃げた。誰があんな奴に可愛い娘をやるもんかいまったく」


 あ、冗談でしたか。しかしライスさん嫌われすぎじゃないだろうか……。


「ライスは別に悪い子じゃないと思うけれど……。ふふ、私はエレナを幸せにしてあげてほしいと思うわね」


「それは私も分かってるさ。でもシラユキとグリーをやれる程の男じゃないね。ふん」


 ふむふむ? 一応リリアナさんもそれなり以上の男性とは評価してるけど、それなり以上くらいでは娘はやれないと。なるほど。グリニョンさんは結婚できるのか……!?


 冗談はこれくらいにして、私も将来的にはライスさんにはエレナさんを貰ってあげてほしいね。あくまで将来的には、です。今はまだ私の大好きなお姉さんが取られるのは嫌だからもう少し、後五十年くらい待ってほしいな。



「あら? ウルの演説、終わったかしら? それじゃシラユキ、お父様の所に行きましょうか」


「うん! リリアナさんは? 一緒に行く?」


「いいや、悪いけど私は色々と話したい顔がちらほら見えるからちょいとそっちにね。バレンシア! 後は頼むからね!」


「は? あ、はいっ! ただいま参ります!」


 あはは、離れてるからって油断してたねシアさん。




 五十歳、成人まであと半分。だからと言って特に何か劇的に変わる訳じゃないんだけど、実はこれを堺として少しは子供っぽさを抜いていこうかなと考えていたりいなかったり。


 だってエディさんの子供がもう三十歳くらいになるんですよ? アドルくんとアンジェちゃん、いや、二人はもっと年上だけどあれから全く会えてないからね。その二人とは違ってクライドさんはいきなり成長した大人として目の前に現れたものだからちょっと自分の年を実感してしまって……。


 という訳で私も年齢相応の落ち着いた大人の女性を目指したいと思います!! 最終目標は母様! まずは姉様くらいになって見せるわー!!







名前を付けるなら普通に『五十歳編』ですね。

特に大きなイベントや事件もない短いお話になる予定です。



少し時間が掛かったのはちょっと忙しくてですね、MSのパーツを集めて組み立てたり戦ったりするのが楽しすぎた訳では決して……

それじゃ、ガンダムXのバックパックを探す系の仕事が今からあるのでこれで。

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