その288
前回のおまけのようなお話なのであっさりと。
おかげで早めに投稿できました。
ぐぬぬ……。どちらに甘えるのが好きかと聞かれればそれはショコラさんの方なのだが、タチアナさんという新しいお友達がメイド服を着ているとなるとその魅力も増大というもの。これは非常に難しい選択だ……。
ショコラさんは不動のランキング2位。もう揉みに揉みまくってその感触をいつでも思い出せるくらい大好きで、しかしタチアナさんのもここ数日間で結構な回数触らせてもらい、上位に食い込むほどの実力と判明している。
く、くぅ、本当にどちらのおっぱいに飛び込めば……!!
「シラユキ?」「シラユキ様?」
その場から動こうとせず、二人を交互に見比べる私を見て問題の二人が呼びかけてくる。
も、もうちょっと待って! 二人ともちゃんと甘えに行くから! まずはどちらが先かを決めなければいけないんです!!
「何やってんだシラユキは……。よおガトー、ジニーの補佐は手が掛かってしょうがないと思うがもっと森にも遊びに来いよ? シラユキが喜ぶからな。タチアナも似合ってるぞ、俺のお付にしたいくらいだぜまったく」
「あ、ありがとうございます……。わたしはできたらシラユキ様のお側仕えをさせて頂きたいです。ふふ」
「ああ、ルーディンも来ていたのか。シラユキ以外目に入らなかった、スマンな。まあ、私もそうしたいのは山々なんだがなあ、もう暫くは忙しい毎日を送る事になりそうだな」
「ルーディン様相手でもこの態度かよ……。やっぱこの人凄えよなあ」
「ええ、怖いくらいだわ」
ほほう? やはり私のお付きメイドさんはみんなの憧れの職業なのか……。嬉しいけどそんな馬鹿な。
ショコラさんはジニーさんがお店を開いた後、次のギルド長さんがお仕事に慣れるまではまだまだ忙しさが続きそうだね。頑張って!
よし、ここはやはり、いつもお仕事お疲れ様! とショコラさんのおっぱいに飛び込むべきだね。タチアナさんはその次ね! さらにその次はノエリアさんかなー? ふふふ。
「あ! お姉さん面白そうな事思い付いちゃった!! シラユキちゃんちょっとだけ我慢してね! ルーちゃんの所に戻って戻って!」
「え? えー……」
ショコラさんの元へ駆け出そうとしたその時、何やら思い付いた、いや、企んだジニーさんに阻止されてしまった。
む、むう、私の甘えの邪魔をするとはなんて命知らずな人なんだ……。母様からの制裁的な意味で。まあ、私の行動が遅かったせいだと反省して今は我慢しようじゃないか。
とても複雑そうな表情をしているシアさんに手を引かれ兄様のすぐ側まで戻る。嬉しさや楽しさ、そして嫉妬や憎悪が入り混じっているようなそんな表情だ。ガクブル。
「うん、魔力疲れは出てないみたいだな。んで、何を始めるつもりなんだ?」
「うにゅうにゅ……」
兄様に正面からウリウリとほっぺをグニられてしまった。幸せ!
やっぱり心配させてしまっていたみたいだね。このまま兄様に甘えるのもいいかもしれない。
「ふっふっふ、ちょっと待っててね! ノエルちゃんとミーちゃん、タチアナちゃんの横に並んで。ガトーちゃんも入れて四人一列になる感じでお願い!」
「へ? あっ、はい。……なんだなんだ?」
「何かしらね? とりあえず言われたとおり並びましょうか。これ以上お二人をお待たせする訳にはいかないわ」
ジニーさんからの謎なお願いに、それを疑問に思いながらも素直に従う二人。これはさすがの人望か。
そして私プラス兄様の前に超豪華メンバーが揃い並ぶ。順番は左から、ショコラさんタチアナさん、ノエリアさんヘルミーネさんの順だ。
「な、並ぶとこれはまた……。嫉妬を過ぎて殺意が沸いてきてしまいそうですね……」
「落ち着け! いや、まあ、本当に今日はついて来て正解だったぜこれは……。シラユキがいなけりゃちょっとくらい揉ませてもらうんだけどなあ」
「絶対にだーめ!! ショコラさんのおっぱいはもう何回も触ってるくせにー!」
兄様は私と同じでショコラさんの胸が超が付くくらい大好きなので、無意識に手が伸びてしまった事が今までに何回もある。嘘っぽいけどその度に本気で謝ってたから、本当に意識せず触ってしまっているみたいだ。私も無意識にメイドさんズの胸を揉んでしまう事が多々、いや、毎日の様にあるのでそういう事もあるんだろうと納得している。納得はしているが許しません! ライナーさんは笑って許しちゃってるんだけどね……。
ドドンと並ぶ八つの巨大な塊に圧倒される私たち。ジニーさんはこれから一体何を始めようというのか……!! そしてまだまだ大忙しでこの後もスケジュールいっぱいなんじゃなかったのか……!?
「準備完了! さーて、おっぱい大好きなシラユキちゃん?」
「おっぱい大好きなとか言わないで!」
「ふふ、可愛い可愛い。このおっぱいの大きな四人のお姉さんの」
「まさか……!!」「お、おい馬鹿やめ」
「誰のおっぱいが一番好きかなー?」
なっ!? 選んで飛びつけと言うのか! いや、既にさっきもう順番は決めてしまいましてね……。なーんだがっかり。
それにしてもシアさんと兄様は何を焦って……
「シラユキ! 落ち着け!! この馬鹿、なんて事しやがる!!」
「姫様! お怒りをお鎮めください!! ジニーさんも悪気があった訳ではないんです!」
「わぷっ! なななな、なに? なんなの!?」
ショコラさんのおっぱいに飛び込めー! と歩き出した私だったが、盛大に焦る兄様とシアさんの二人に抱き止められてしまった。苦しいです。
ど、どうしてこうなった……。本当に何があったのー!?
「なんだ? なにがどうした? 何故止める? シラユキは今私の所へ来ようとしていただろうに。放してやれ」
「バレンシアさん? ルーディン様? シラユキ様に何が……」
「すっげえ自信だなこの人は……。あー、何かあったんすか?」
「シラユキ様がお怒りに……? なられている様には見えないわよね」
「あ、あれ? 意外な結果に……。お姉さんまたやっちゃったかなこれ。あはは……」
四人それぞれの反応を見てみると、誰一人兄様とシアさんの行動の意味を理解していないみたいだった。勿論それは私にも分からない。
「る、ルー兄様、シアさん? どうしちゃったの? 私別に怒ってなんてないよ?」
こうやって二人に抱き止められるのは逆に嬉しいくらいなんだけどね。
「……え? ひ、姫様? 本当にお怒りになられていないのですか? これは一体……」
「あ、ああ。よかったがなんでだ? シラユキはこういう事をされるのが一番嫌いなんじゃなかったか?」
怒っていない事をしっかりと伝えると、二人は驚きと疑問に思いながらも安心して開放してくれた。
もっとぎゅっとしててもらいたかったなー。ちょっと勿体無い事をしたかもしれない。
さて、二人は今のジニーさんの行動で私の怒りが有頂天になったと思ったんだね? しかし、どうしてそんな事になると思ったんだろう?
とりあえず簡単に説明してとシアさんにお願いしてみたが、何故かとても言い辛そうにしている。説明大好きなシアさんがここまで言い淀むとは一体……。
「シラユキは忘れちまってるのか? なんだかな……。あの場には俺もいたから俺から話してやるよ、ジニーも聞いとけ。ああ、ガトーたち四人には何の落ち度も無い、気にするなよ」
ショコラさんは気にするどころか不満に思っていただけだけどね。三人はさすがに何かしてしまったのか!? と不安に思っていただろう。さすが兄様ナイスフォローだ。
ちなみにジニーさんは興味津々とばかりに明るく返事を返しました。この人は本当にさすがと言うしかないね。
「あれは何歳くらいだ? 四歳か五歳くらいの頃だよな確か。まあ、簡単に言うとだな、その頃に今と同じ事をバレンシアがやっちまったんだよ」
「同じ事をシアさんが?」
「は、はい……」
同じ事って言うと、この中の誰に甘えたいか? っていう選択を私にさせる事? ううむ、全く思い出せないや。
そういえば、覚えている範囲でも他にそんな事をさせられた記憶は無いね。私お付の三人、特にシアさんならよくやりそうなものなんだけどなー。
「まだ触れてやるな。続けるぞ? その時はメアリーとフラニーとバレンシアの三人の中から選べって感じだったな、俺もどうなるか楽しみに見てたんだよ。だけどな、言われたシラユキが一瞬で不機嫌になっちまってな」
「えー、なんで?」
「なんでって、自分の事だろが。はは、ま、忘れちまってるんならいいさ。で、その不機嫌になった後が問題なんだよな。お前バレンシアに向かってな、シアさんは家族を好きっていう気持ちに順番を付けられる人なんだねー、って冷たく言い放ちやがったんだよ。今思えば母さんの怒り方に似てたなアレは」
……はい? なにそれこわい。
「わ、私が?」
「ああ、お前が」
「シアさんに?」
「は、はい。申し訳ありません!」
い、いや、今謝られても何がなんだか……。
その気持ちは分からないでもないけど、私がそれくらいの事でシアさんを怒ったりしないと思うんだけどなー。むしろ率先して楽しんじゃうんじゃないかな?
「よく分からんが、シラユキはもう覚えていないし今は何とも思っていないんだろう? ほら、私に飛び込んで来い」
「確かによく分かんないけど、なんだか焦らせちゃってごめんね! シラユキちゃんはショコラちゃんのお膝に、あ、お姉ちゃんの所に来てもいいんだよー? ふふふ」
くう、ここで更なる選択肢を増やしますかジニーさんは! それでも私はショコラさんに直行だけどねー。
ショコラさんに飛び付く様にして抱きつくと、ひょいっと抱き上げられる。そしてスリスリと頬擦りをして幸せ全開の私だったが、すぐ隣にいたタチアナさんの少し残念そうな表情を見てやっと気が付いた。
なるほどね、その時の私は選ばれなかった人の気持ちを考えて怒ったのか。変に気の回る子供だったのかな私って……。次はタチアナさんだからね! と伝えておこう。
「あの時は全然機嫌が直らなくて大変だったんだぜ? バレンシア真っ青になっちまってな」
「ええ、何度謝ってもお許し頂けず……。あれは本当に生きた心地がしませんでしたよ」
「バレンシアさんがっすか!? いやー、やっぱ人は変わっちまうもんなんすね」
「失礼な。ルーディン様もこれ以上はおやめください」
「ああ悪い悪い、俺も命が惜しいからもうやめとくか。はは」
「ルーディン様! まったく……」
「あの、念の為にお聞きしておきたいのですけれど、シラユキ様の機嫌はどうお取りになったんですか?」
「それはお姉さんも教えて欲しいかなー。シラユキちゃんは怒らせると超怖いみたいだしね! ふふふふ」
「失礼な! ふふふ」
「こんな可愛らしいシラユキに何を言うんだコイツは……」
「本当にです。シラユキ様はお優しくて可愛らしくて……。あの、そろそろ交代を……」
「巨乳にモテまくりやがって羨ましいヤツめ。その時はアレだな、バレンシアがアップルパイを焼いて改めて謝ったら一発で機嫌が直ったんだったな」
「な、なるほど食べ物で……。フフフ、可愛いお姫様」
「あははは!! かわっ、シラユキちゃんかーわいい!!」
この部屋にいる全員から可愛い可愛いと撫でられまくってしまった! どうしてこうなった!!
ぐぬぬぬぬ……。怒りが有頂天の状態からアップルパイで許してしまうとか、当時の私もそこまで怒ってなかったんじゃないのか!? ……でも待てよ? シアさん特製アップルパイとなるとよほどの事でもない限り何でも許してしまいそうだね。勿論今でも。
ま、まあいいや。これ以上この話を続けられても困っちゃうし、空気一新ついでにノエリアさんの右目の傷跡も治してしまおうかな!
またファンタジーなライフのオンラインゲームの大型アップデートが来てしまったので、もしかしたら次回投稿は少し遅れるかもしれません。




