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不断の灼熱線

     ◇   ◇   ◇




 (えん)が紡がれるように、皆が代わる代わる手を繋ぎ、戦っている。


 俺も、こんなところで寝ていられない。


「う、ぐぅぁああああ!」


 『火焔(アライブ)』を発動しろ。


 魔力(マナ)を燃やせ。


 全身から一滴残らず、全ての力を燃料に変えろ。


 さっきまでは頭に(もや)がかかっていたようで、何が起こっていたのか薄っすらとしか思い出せない。


 しかし今はそんなことは関係ない。


 ただ目の前にあるこのチャンスを逃すことだけは、絶対にしたくない。


 ホムラ、力を貸してくれ。


 あいつをぶっ飛ばす。


 残った左手で地面を掴み、膝を浮かし、立ち上がる。もう再生に炎を燃やす余力もない。


 ただ今動けばいい。


「シネ、シネ、シネェェエエ‼」


 刃脚が騎町さんを両断し、糸が空道を捉えて爆殺した。


 くそったれ。


 化蜘蛛(アラクネ)は最後に残った村正へと脚を伸ばした。


 瞬間、身体が軽くなる。


 まるで全身に羽が生えたかのように、足が地面を蹴り、駆け出す。


 普段自分が身体を動かしている時と、何ら遜色ないスピードで、化蜘蛛(アラクネ)へと距離を詰める。


 これは、紡の『念動糸(クリアチェイン)』だ。


 なら、もう何も心配はいらない。俺がすべきことはただ一つだけだ。


 地を蹴り、空に跳ぶ。


「ァアア――?」


 化蜘蛛(アラクネ)が気付き、顔を上げた。


 その時、俺は既に左腕を振りかぶっていた。


 圧縮に圧縮を重ねた、文字通りの全身全霊。五枚の花弁が、陽炎のように揺れる。


 化蜘蛛(アラクネ)は即座に糸を巻き込んだ。


 俺の五煉振槍(ごれんしんそう)を弾き返した、糸の槍。


 再度それで迎え撃とうとしている。


 上等だ。


 今度こそ、ぶち抜く。




 その瞬間、『火焔(アライブ)』が吠えた。




 使い切ったはずの炎が膨れ上がり、花弁の枚数が増える。


 それは、捕食(バイト)による魔力(マナ)の強奪。しかしそれは、化蜘蛛(アラクネ)からではない。


 全身に巻き付いた紡の糸を赤く燃やし、そこから彼女が流し込む魔力(マナ)を己の力とする。


 ドクン、ドクン、と心臓が脈打つのが分かる。


「行って、護!」


 紡の血が流れるような感覚に、全身が熱くなった。



 ――ぶっ飛ばす。



「ぁぁあああああああああああああああああああ‼」



「シネェェエエエエエエ‼」


 上から下へと撃ち出す拳は鉄杭(てっくい)の如き重さで糸の槍と衝突し、そして貫く。


 燃え盛る炎は、俺自身すらも焼き焦がし、咆哮(ほうこう)した。




 『七煉振槍(ななれんしんそう)』。




 (ゴウ)ッッ‼‼ と七枚の花弁が拳の先で咲き誇り、怪物(モンスター)を焼き尽くす。


 まるでそれは勝利を祝福する花火のように、退廃の街を照らした。


 炎は俺も、化蜘蛛(アラクネ)も、平等に飲み込み、後には何も残らなかった。


 これこそが戦いだとでもいうように、静けさだけが、舞い降りる。


 そうして生徒たちによる怪物(モンスター)完全制圧という、歴代に類を見ない結果でもって、適性試験は終わりを迎えた。


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