第31話 砂塵吹き荒れるエリア51!:その9 囲師には必ず闕く
デビットは、わたくし達に簡単に撤退宣言をする。
しかし、逃げ先が無い国務大臣は慌てふためく。
「簡単にわたし達から逃げられるとでも思いですか、デビット様?」
「はい、お嬢さん。窮鼠猫を噛むとも言いますから、貴方方ならご存知ですよね。追い詰めすぎると大変な事になるって」
母様はお嬢さん扱いされて嬉しそうになっているが、それもデビットの策だろう。
「そうなのじゃ、地球人よ。そして小妹に我が姪よ。わらわが本気で暴れれば被害は甚大になろう。それに……」
「デビット様。基地発電ユニットの安全弁、制御棒、いつでも抜けます。ご命令を!」
魔神女帝は凄みのある笑みをし、バトラーは基地発電用の核分裂原子炉を暴走させる事も可能と宣言する。
「はぁ、それは予想外でしたわ。チエちゃん、今回はわたし達は辛勝ね。しょうがないから逃がしてあげましょうか」
「しょうがないのじゃ! 逃げ道を与えぬのは愚か者のする事じゃ」
わたくし、いやワシは姿をいつもの幼女姿に変えて、デビットの撤退を認めた。
「デビット様、もう悪さはしないでくださると助かりますの。貴方の不幸はお聞きしました。人類の愚かさには、わたしも心痛めていますの」
「ええ、人類全てが貴方方のようなお人好しばかりなら良いのですが、悲しい事に戦いを望む愚か者達は多いです。ですので、まだ私の戦いは続きます。では、次の戦場、異世界でお会いしましょう。会長、申し訳ありませんでした」
「小妹よ。わらわは、しばしデビット殿を見守るのじゃ! こやつは実に面白いからのぉ」
「オマエ達、次は私達が勝つ!」
3人は母様や母上に向かって挨拶をして、背後に出来上がった漆黒の穴へと向かう。
「おい! 私も連れてゆくのだ! そうすればアメリカはこんなヤツラを倒すぞ! さあ、ぎゃ!」
「長官、往生際が悪いですよ。デビット、楽しかったです。貴方の席はケラブセオンに置いて置きます。くれぐれも命は大事に」
往生際が悪い国務長官は女帝に吹き飛ばされ、車椅子のケラブセオン会長はデビットへ別れを告げる。
「では、また!」
そうデビットが言った瞬間、ゲートは閉じた。
「ふぅぅ。怖かったのじゃぁ。いかな母様と母上が居るといえど、伯母上とは戦いたくなかったのじゃぁ」
「そうね。リーヤちゃんを無事に奪還したし、ケラブセオンの悪行は停められたから、今回はここまでね。後は、帝国の陛下達の吉報を待ちましょうか」
「マユコ様。今回は作戦にお誘い頂き、ありがとうございました。実に面白かったですわ。チエ、見事だったわよ」
ワシは、大息をついて安堵する。
デビットの身柄確保以外は、こちらの損害0での勝利。
まずますの戦果だろう。
「マユコ御姉様、こちらは全員の無力化に成功。先ほどリーヤちゃんからも勝利と説得成功の情報が入ってます」
イルミネーターからカレン殿の報告が聞こえる。
「こちらCP、コトミ。話を聞きつけた米軍の方々が現在そちらに多数接近中です。早急な撤退を進言しますの」
「では、皆の衆、我が家へ帰るのじゃ!」
「おー!」
ワシらは凱旋をしたのじゃった。
◆ ◇ ◆ ◇
「了解です。では、僕達も撤退します。M2号は自動帰還させますね」
「M2号はこっちに任せてね。じゃーまた!」
僕は作戦の成功と米軍本隊の接近をCPから聞いた。
「そうじゃな、タケ。そうだ、レニューシカも一緒に来ぬかや?」
「ですね。砂漠にこのまま放置して、米軍に捕まるのもかわいそうですし。レオニードさん、どうぞです」
リーヤはレオニードを連れて帰る事を提案する。
僕も異存は無いから、彼に手を差し出した。
「いいのか? 確かに私は助かるが……」
レオニードは呆れ顔で僕の方を見る。
「此方は、レニューシカが不幸になるのは望まぬのじゃ! 皆、仲良くマユコ殿とタケのご飯を食べるのが幸せなのじゃ!」
「はいはい。帰ったらご飯作りますね。ということで、どうぞ」
「あ、ああ。では頼む」
僕達の背後でM2号が無人で動き出した。
おそらく迫り来る米軍をひきつけつつ、どこかで消えるのだろう。
「では、帰りましょう!」
◆ ◇ ◆ ◇
「いただきます!」
僕達は、岡本家にて祝勝会をしている。
作戦的には、デビット達を捕まえられなかった以外は全部僕達の勝利に終った。
研究所制圧はもちろん、同時に行われていた異世界帝国帝都での討ち入りにも成功したとの話を聞いている。
まだ情勢がごたごたしているので、落ち着いたら報告をしてくれると向こうのCPをしていたフォルの話だ。
「やっぱりタケやマユコ殿のご飯はサイコーなのじゃぁ!」
先日からご飯の度に涙を流しながら食べているリーヤ。
もはや貴族令嬢とも思えない姿だ。
衣装も、チエから貰ったアニメ柄のTシャツにハーフパンツと、お子ちゃまファッション。
「リ、リーレンカ。き、君は一体?」
レオニードは、リーヤのあまりもの変化についていけない様だ。
「これがリーヤさんの『素』ですね。最近は、こんな感じですよ、レオニードさん。多分リコリス号内ではお嬢様モードで、猫被っていたのでしょうね」
「此方、必死にお嬢様モードじゃったのじゃ! 堅苦しいのは、もう勘弁なのじゃ! 皆で楽しいご飯食べるのが幸せなのじゃ!!」
その姿を見て、マユコ、コウタ、ナナ、リタ、アンズ達岡本家の方々、アヤメ、タクト、カナミの遠藤家、マサト、コトミ、チナツの伊藤家、更にチエ達魔神将達や他の人々も幸せそうに笑っている。
「そうか。私はリーヤのこんな面すら知らなかったのだね」
そうポツリと呟くレオニードは、ひと口おかずを口に入れ、驚く。
「この味は!」
「レニューシカや、美味しいのじゃろ? これがタケやマユコ殿が作る幸せの味なのじゃ! 此方は、これが大好物なのじゃ!」
「そうじゃ! ワシも大好きなのじゃぁぁぁ!!」
チエと一緒に喜び合うリーヤ。
僕は、この幸せな風景が僕の元へ帰って来た事に感謝しつつ、ご飯を食べた。
……あれ、少ししょっぱいや。
「タケや。泣きながら食べぬでも良いのじゃ。これからは此方はずっと一緒なのじゃ!」
「はい!」
僕は涙を拭いながら、おかわりをマユコへ頼んだ。
「とりあえず、無事に作戦成功したのじゃ!」
チエちゃん、お疲れ様でした。
さて、次回からは帝国側で何が起きていたかを描きます。。
そして、その後は、……。
もう一波乱あるので、お楽しみに!
「帝国では陛下がマム殿達と頑張ったのじゃ! 語り手は真面目なワンコ侍、犬のお巡りさんなヴェイッコ殿なのじゃ!」
では、明日の更新をお楽しみに!




