表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
最終章 捜査その10:僕は美少女姫様と異世界で刑事をする!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

320/351

第29話 砂塵吹き荒れるエリア51!:その7 実を避けて虚を討つ

「ど、どうしてリーレンカがそんなところにいるんだ!? さっきまで私と一緒にデビット様の処にいたはずなのに?」


「それは影武者なのじゃ。随分と前から此方は入れ替わっておったのじゃ、レニューシカや」


 悲しげな表情でレオニードを見るリーヤ。


「なんだって! じゃあ、私はずっと騙されていたのか! ソフィアは正々堂々って言ったのに」


「戦さとは、騙しあい。虚を討つのが定石なのじゃぞ、レニューシカや。チエ殿が言ったのは、暗殺なぞせぬというくらいの意味なのじゃ」


 ようやく擱座(かくざ)した機体のコクピットから出てきたレオニードは、自分が騙されて居た事に驚き怒る。


 ……チエさんは正々堂々ってデビットに言ったらしいけど、戦うのに何も策を弄しない訳ないじゃん。こういう駆け引きも知らないとは、レオニードは戦いの素人だね。


「さて、レニューシカや。どうじゃ? タケに負けた感想は」


「そんなの、デビットが作ったおもちゃの性能が足りなかったからだ!」


 僕に負けたことを認められないレオニード。

 負惜しみに機体の性能差を言う。


 ……そりゃチエさんは、そっちの機体性能を全部知ってて、それを上回る様に設計したのだから当たり前だけどね。


「ふむ。此方も乗ったのじゃが、確かにデビット殿の機体よりはチエ殿の方が上じゃな。じゃが、タケはその強い兵器でレニューシカを殺す事も出来たのに殺さずに倒したのは、どう見るのじゃ?」


「それは……。わ、私が強かったからだ!」


「それは違うのじゃ。手加減をする余裕があったのじゃよ。手加減も出来ないほど敵が強いなら殺すしかないのじゃ。大体敵を殺さずに無力化なぞ、此方の知り合いのお人好し集団以外は普通せぬのじゃぞ」


「くっ……。あ、ああ。わ、私の負けだ。」


 リーヤの説明で、やっと自分が負けた事を認めたレオニード。

 悔しいのか、その頬に涙が流れる。


「タケとやら。嬉しいか? 私からリーレンカを奪えて!?」


 レオニードは僕の顔を見て、卑屈な表情をする。

 それを見て、僕は複雑な心境になった。


「うーん、嬉しいというより悲しいかな?」


「なんじゃ? タケは此方が欲しくないのかや!?」


 レオニードに対しては、1年間僕からリーヤを奪った恨みはある。

 けれども、そのおかげでレオニードが20年間もリーヤと離れていた寂しさを十分理解できたからだ。


「あ! リーヤさん。言い方が悪かったです。ごめんなさい。リーヤさんを取り返したのは嬉しいことです。でも、リーヤさんを愛する者同士が争うのは悲しいと思っちゃったんです」


「それはどういう意味なのじゃ?」


「確かにリーヤさんを奪い合って戦ったのは事実ですけど、そのくらい僕もレオニードさんもリーヤさんが好きだったって事でしょ? それにリーヤさんと離れていて寂しかったのは僕も同じです。ですよね、レオニードさん?」


 リーヤの疑問に、僕はレオニードの顔を見ながら話す。


「ああ。20年間、ずっと寂しかったよ。そして、奪い取りたい。リーレンカを絶対自分のモノにしたいと何度も思ったよ」


「なら同じですね。ただ、レオニードさんの間違いは自分の心を押し付けるだけ、リーヤさんの気持ちを見なかった事です。愛は押し付けるものじゃなく、与えるもの。僕はそう皆に教えてもらいましたし、その通りだと思っています」


 僕は銃を下ろし、静かにレオニードに語りかける。

 戦場は既に静かとなっており、僕達の声だけが聞こえる。


 〝今、こちらはデビットと対峙中なのじゃ。もう戦闘は起きないのじゃから、安心してレオニードを説得するのじゃ!〟


 チエからの念話で、僕は安心する。


「私は、愛をリーレンカに押し付けていたと?」


「はい、レオニードさんはリーヤさんを大事に思ってはいましたが、リーヤさんがどう思うかまでは考えていませんでした。20年ぶりに会って舞い上がっていた事もあるでしょうし、過去のいきさつもある事でしょう。そこに僕という恋敵が出て焦ってしまったのでしょうね」


「ふむ。確かにレニューシカは慌て過ぎておったのじゃ。魔族種貴族らしく保守的な事を言いながらも、此方への事は急進的じゃったな。第一、帝国を裏切って此方を手に入れた後は、どうするつもりじゃったのかや?」


 僕達は話し合う。

 せっかく落ち着いて話せる機会を作れたのなら、真摯に話し合うに限る。


「そ、そんな事は……。確かに私は、リーレンカを手に入れる事だけを考えていて、そこから先を考えていなかったよ」


「あわてんぼうなのじゃ、レニューシカ。でも、昔から欲しいものは直ぐに手に入れたがっておったのじゃ。ふむ、全部変わった訳じゃないのじゃな、レニューシカ」


 リーヤは、落ち込むレオニードが可笑しくて、彼に笑いかけた。


「あ、リーレンカ。久しぶりに私に笑ってくれたんだね」


「そうじゃな。状況が状況じゃて、すまなんだ。今まで笑えずに、ごめんなさいなのじゃ」


 何処かすっきりした表情のレオニードに、微笑み謝るリーヤ。


「そうか。レオニードさんはリーヤさんが幼い頃を詳しく知っていらっしゃるんですね。それは羨ましいです。今でも美人で可愛いのに、幼い頃は更に可愛かったのでは無いですか?」


「ああ! 今もだが、リーレンカの魅惑の笑顔は昔も凄かった。私は、初対面時の笑顔にやられたんだよ」


「そうなんですか。実は僕もそうなんですよ。あれは致命的でした」


「やはりか。お互い、この魔女にしてやられた訳だ。ははは!」


「はい!」


 僕がリーヤの幼少期の話を振ると、レオニードも食いついた。

 彼も僕同様に、天真爛漫で魅惑的なリーヤの笑顔にドキュンと胸を貫かれた「犠牲者」らしい。

 僕達は顔を見合わせて苦笑しあった。


「なんじゃ? さっきまで戦い殺し合っておった2人が此方を魔女扱いにして、ふざけあうとはどういう事なのかやぁ!」


 そんな様子が可笑しくて、リーヤも笑いながら怒る。


「だって、可笑しいんですもの。やっぱりレオニードさんを御怪我させずに倒せて良かったです。万が一殺してしまったら、こんなバカ話も出来ませんし。それにリーヤさんもレオニードさんの事を心配していて、貴方が死ぬ事は望んでいませんでした。レオニードさん、同じ女性を愛した仲間として頼みがあります」


「リーレンカ、私を心配してくれていたんだ。さて、なんだい、タケ?」


 僕は表情を真剣に戻して、レオニードに問う。


「僕は、この先100年は生きていないでしょう。僕が亡くなった後、もし何かあったらリーヤさんの事を御願いできますか?」


「タケ、お前は負けた男にオンナを頼むのか?」


「はい。貴方も命をかけてリーヤさんを愛していた事は間違いないですもの。僕も『前の貴方』には頼めませんでしたが、『今の貴方』になら頼めます」


 僕に負ける前のレオニードは、何かに取り憑かれた様な狂気を感じたが、今はすっかり普通の青年に見える。


「全くオマエ、いやタケ殿はどこまで度量が広いのだ。普通、勝者は敗者を踏みにじって当たり前。殺すのが普通だぞ」


「僕はただ、甘いだけ。殺すのが怖くてイヤなだけの弱虫なだけですよ」


 レオニードは、すっかり呆れ顔だ。


「うむ、タケは甘すぎなのじゃ。それに此方の意見を聞かずに勝手に此方の行く末を2人で決めるで無いのじゃ! それこそ、レニューシカと同じじゃぞ」


「あ、痛! ごめんなさい、リーヤさん。でも僕は地球人、どうやってもリーヤさんと同じ時の歩みは出来ませんから。僕が居なくなった後の事、やっぱり心配になりますもの」


 リーヤは、僕の背中をパンと叩く。

 確かに勝手に自分の動向を勝手に決められるのはイヤだろう。


「それは此方が決めるのじゃ! まあ、昔の此方が好きじゃった頃のレニューシカに戻れたのなら、考える事も無いのでは無いのじゃ。もちろん、今はタケからは離れないのじゃ! すべては未来の事、今決める事じゃないのじゃ!」


「そうだね、リーレンカ。今はタケ殿の元に居ると良いよ。僕のものにならないとしても、リーレンカが幸せなら僕も嬉しいからね」


 僕達がふざけ合うのを見て少し寂しそうな、しかし笑顔でリーヤを見るレオニード。


「レオニードさん。後から奪う形になってすいません。僕は一生をかけてリーヤさんを愛し守ります。もし僕が不甲斐ない事をしてリーヤさんが僕から離れた時は、容赦なく僕からリーヤさんを奪ってください。あ、でも殺し合いはもう勘弁です」


 僕はレオニードに謝った。

 どうしようも無い事だとは言え、リーヤの人生100年は僕が貰ったのだから。


「ああ、そうさせてもらうよ。リーレンカ、幸せになるんだよ」


「まったく困った2人なのじゃ! 此方は、こうまで愛してもらえて幸せなのじゃ!」


 僕達3人は顔を見合わせて笑いあった。

「まったく、最後はノロケ合いになるとは、ワシ想像もせなんだぞ?」


 私もロボ同士での闘いまでは、すっきりとした終わり方には出来ない気がしていました。

 しかし、レオニードも歪んだとはいえ、リーヤちゃんが好きなのは確か。

 同じ女性を愛したタケ君とレオニード、歩み寄れるのでは無いかと思ったのです。


「確かに手加減されて、更に心配されて倒されるのなら、調子も狂うのじゃ。その上、リーヤ殿の可愛さ自慢し始めたら、争うのもバカに思うのじゃ」


 愛で憎しみ合うのはイヤですもの。

 さて、もう一方の愛憎劇はどうなるのか、明日の更新をお楽しみに。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ