第26話 砂塵吹き荒れるエリア51!:その4 彼を知り己を知れば百戦殆ふからず
ケラブセオンの大型キャリアーから、大型機械のタービンの起動音が聞こえる。
「各種機器、起動確認。システム、オールグリーン。デビット殿、いつでも行けます!」
レオニードは、いくつかのランプが光る暗い部屋、何かのコクピットの中に居た。
レオニードは両腕をコンソールにあるボックス、魔力による思考コントロールユニットへと突っ込んだ。
「では、レオニード殿。宜しく」
「ふふふ。リーレンカよ。私の勇姿を見るのだ! ゴレム01、発進!」
キャリアーを覆っていたブルーシートが引きちぎられ、飛ばされる。
そして、鋼鉄の巨人が立ち上がった。
「こちらCP。敵の位置を表示します」
レオニードが座る座席の前には、大型モニターと腰の前に補助モニターがあり、補助側に周辺地図と敵兵の位置が表示された。
「さあ、『狩り』の時間だぁ!」
レオニードは巨人、ゴレム01を前に歩ませた。
◆ ◇ ◆ ◇
「さあ、これで兵士達は全部無力化したわね。残るは、あの建物に居座るデビット達ね」
マユコは、日本刀を懐紙で拭いながら、周囲を見る。
彼女達の足元には、縄や氷で自由を奪われた哀れな米軍特殊部隊員が転がる。
「おかーさん、油断大敵だよぉ」
「そうだな。アンズ嬢ちゃんの言う通りだぞ、マユコさん。俺、何かイヤな予感するぞ!」
アンズは、首の後ろに両手で身長よりも長い薙刀を置き、母を窘める。
そして槍を持つ魔神将も、何かを感じてピリピリしていた。
「母様、多分アレが来るのじゃ! ワシ、対抗準備をしてくるのじゃ! ここからは、タケ殿の出番なのじゃ!」
兵士達を異次元ポケットへと収容してたチエは、マユコへと新たな策を告げた。
「じゃ、気をつけてね、チエちゃん」
「母様、アンズ殿、カレン殿、シンミョウ殿も気を付けるのじゃ! 『槍』や、ワシの家族達を任せたのじゃ!」
「チエ姉貴、任せておけ!」
皆に挨拶をしたチエは、虚空へと跳躍した。
「じゃ、皆作戦通りに行くわよ!」
「おー!」
マユコが宣言した直後、彼女達の上に砲弾の雨が降ってきた。
◆ ◇ ◆ ◇
「地球人のメスザル共め。思い知ったか……。な、なにぃ!」
レオニードは爆風が去った砲撃跡を見て、驚愕した。
彼が撃った88mm榴弾を受けたはずなのに、そこには緑色のシールドに覆われた女性達が無事に立っていた。
◆ ◇ ◆ ◇
「シンミョウちゃん、さすがはお見事ね。アレがチエちゃんの言っていたレオニードが乗っている人型機動兵器ゴレムかしら? デザインがアメリカンで雑ねぇ。」
シンミョウによる魔力シールドの中、マユコは人型に見えなくも無い機械人形を酷評した。
身長8m強のゴレム、頭部が胸部にめり込んでおり、右肩からには88mm臼砲、左肩に多連装ロケットランチャーを持つ。
太い両手には、手の甲側に重機関銃を一門ずつ装備し、指先はアイアン・クロー型式。
砂漠用らしくタンカラー迷彩の胴体を逆関節の両足で支え、砂漠を走破する。
「どうしてアメリカンなロボは、ああなのかしらぁ。チエちゃんなら、不細工なのじゃって文句言うわよねぇ。どうせなら、イデの重機動メカくらい異形なら納得するのにぃ」
「そだね。わたしもナナおねーちゃんやリタおねーちゃんと一緒にアニメ見るけど、アレは不細工なのぉ」
「あのな、2人とも。俺達絶対絶命なんだけど、そういう感じでイイのかよ?」
マユコ・アンズ母娘は、ゴレムのデザインをとことん馬鹿にする。
しかし、砲口を向けられてこちらに歩んでいる敵に対して、「槍」は心配で仕方が無い。
「そこはチエちゃんの事だから安心よ。だって、あのロボの仕様を知っていて対抗策作ったんだものね。わたしにデザイン見せてくれなかったのは、少し怒ってるけどぉ」
「そうなの。チエおねーちゃん、わたしにもナイショだって言うし」
「チエ様は昔から、イタズラにかけては天才でしたからねぇ。わたしも迷宮で随分と虐められました」
「そうですねぇ、カレン御姉様。わたしも迷宮ではゴブリンに何回殺されたのやらぁ」
パチパチとシールドが重機関銃弾を弾く中、のん気なマユコ達へ目掛けて、タービン音を響かせてゴレムは迫る。
◆ ◇ ◆ ◇
「いくら強固な魔力シールドでも、ゴレムのパンチには耐えられまい。このまま潰れてしまえ!」
シールドから逃げられない様に銃撃をして足止めをしつつ、レオニードはゴレムをマユコ達へと近づけた。
「さあ、タケよ。仲間達の死にザマを見ろ!」
ゴレムが両腕を上に持ち上げ、シールド毎マユコを押しつぶそうとした。
「死ねェ!」
レオニードは、思考コントロールでゴレムの腕をシールド目掛けて叩き付けた。
が、その次の瞬間に激しい衝撃を喰らって、どすんとゴレムは倒れた。
「い、一体何が!?」
補助モニターには接近警報が表示され、コクピット内にはゴレム各部からの警報が鳴り響いた。
「レオニード! 決着を付けよう! 僕は、オマエにはリーヤさんを絶対に渡さない!!」
青年の声が、スピーカー越しに砂漠に広がる。
そしてゴレムのモニターには、蒼く輝くヒロイックなロボットが映っていた。
「いよいよタケ殿とレオニードの対決なのじゃ! ワシ、頑張ってカッコよくて強いロボ作ったのじゃ!」
なるほど、チエちゃん。
それがコロシアムでタケ君が特訓していたモノなのですね。
「そうなのじゃ。コロシアムでは新型狙撃銃バレットMRADの遠距離狙撃練習もしたのじゃ!」
確かに1km弱の狙撃なんて、いきなりは無理ですものね。
「タケ殿は、実に凄いのじゃ! 射撃センスとロボ操縦は、ワシなど論外の強さなのじゃぁ!」
ということで、明日はタケ君の活躍をお楽しみに。
「しかし、ワシが暴れるとハイファンタジーでロボットアニメになるのじゃが、かまわぬよな?」
まあ、今更ですね。
では、ブックマーク宜しくね!




