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僕は異世界で美幼女姫様と刑事をする。〜異世界における科学捜査の手法について〜  作者: GOM
第1章 捜査その1:貴族街殺人事件

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第19話 新人捜査官は、事件を解決する。

それでは、フェーリスさん(フォル)。報告をお願いします」

「はい、マム!」


 お腹が膨れて満足そうなフォルは、机に置いてあったファイルを開き、内容を読み上げた。


「今回の貴族街殺人事件ですが、主犯はヘレナ。動機はガイシャへの好意からの事故でした」


 ヘレナ自身にはガイシャ、サー・コンスタンティヌス・ホノリアへの殺意は無く、それどころか好意が暴走しての事故だった。

 薬物に対しては、気持ちよくなるという事以上を知らず、それに致死性がある意識も無かったため起こってしまった。


「そして証拠隠滅をしたのは、自分が起こしてしまった事故への恐怖から。以前、検挙された際に指紋を地球式捜査に用いる事を知っていての事でした」


 結局、トニーは自分がどうして捕まったのすら理解していなかった。

 数々の証拠を残し、また尾行にも気が付かなかった。


「ガイシャとヘレナですが、本格的な……行為……には及ばず、キス等以上の事は行っていませんでした」


 赤い顔で説明をするフォル。

 未成年の女の子には、ちょっときつい内容かも知れない。


 ヘレナの自供によると、昼食に仕込んだ睡眠薬でうつらうつらしていたガイシャに薬物注射をし、朦朧としながらもヘレナに謝り行為への拒否をするガイシャの下半身を脱がせ、口で……と移行した際に、クモ膜下出血の発作が発生しガイシャは即死をしたらしい。


「その後、ガイシャの身を整え、注射器から指紋をふき取ったヘレナは、ガイシャの持つ鍵を使って部屋を施錠、後は第一発見者を装いました」


 後は、僕達が現場を見たとおりだ。


「次に共犯者、トニー。彼はマナレーゼ一家(ファミリー)の下っ端。ヘレナと同じく災害の孤児としてスラム街で育ちました。生きていく為にこまごまとした犯罪に手を染め、ファミリーに参加。その頃からヘレナとは付き合いがあったようです」


 哀れな存在ではあるが、それで人を傷つけて良い訳は無い。


「ファミリーの一斉検挙時には、トニー達薬物の売人は屋敷に居らず、そのため見逃したと思われます。その後、残ったファミリー構成員をトニーが纏め上げようとしていた時に、我々が強襲をして全員逮捕に到っています」


 あのままトニーが暴走していたら、街は大変な事になっていただろう。


「その際に起動したアイアンゴーレムですが、出所は不明です。呪文書式からは1000年以上前の物と思われますが、現物が粉々なので詳しい事は不明です」


 ……ならば、僕が分かるかも。


「ゴーレムの破片はありますか? 僕が調べたらどんな金属類を使っているか分かるので、調査が可能かもしれません」


「確か回収済みと聞いてますので、標本を回しますね」

「ありがとうございます、マム」


「では、説明を続けます。トニーですが、逮捕時に右腕手首以降を欠損。高度再生魔法の使用許可及び治療費は支払えないと思いますので、義手の配布で終わりそうです」


 僕がトニーの手首を吹き飛ばした。

 そうすることで、ヘレナやユスタを救う事ができたし、トニー本人の射殺にも到らなかったので、撃った結果について後悔は無い。


「今、裁判前の聴取段階ですが、自分の境遇を言うばかりで反省をしていません。殺人とかの直接的証拠もありませんから、おそらく麻薬不法所持・販売、公務執行妨害、強盗など等で15年以上の懲役刑というのが検察の話です」


 まあ、死刑にならなかっただけ良かったと思って欲しいものだ。


「ヘレナですが、事件隠蔽があったもののガイシャの死亡は事故なので過失致死扱いと違法薬物使用が罪になります。そしてお嬢様達を身を呈して守った事や罪軽減の嘆願もあり、7年程度の懲役ではとの事です」


 最後、警察に連れて行かれる前に、奥様やユスタに深く謝罪をしていたヘレナ。

 今後はマチガイを犯すことなく暮らして欲しい。


「以上、事件報告を終わりますぅ」

「フォルちゃん、お疲れ様でした。これで一件解決ね。わたくしたちのチームが勢ぞろいしてから最初の大きな事件、無事に解決できて良かったわ。これで帝国側も地球側も喜んでくれるはずよ」


 僕達は、どこの集団にも馴染めない独立愚連隊。

 「異世界」と「地球」の狭間で、もがいている。

 けれども、逆に僕達でなければ、世界の隙間で暴れる「闇」と戦う事は出来ない。

 これからも、僕達はポータムを、ひいては両世界を守っていこうと思う。


「あ、タケよ。何か仰々しい事考えておったな? 其方(そなた)にはシリアスは似合わぬ。エプロン着て、ご飯作っているのがお似合いなのじゃ」

「えー、僕ってそういう存在なのぉ!」


「そうねぇ、わたくしから見たら可愛い坊や。ウチの子のお兄さんかしら」

「アタイから見ても、タケっちは可愛い弟分だい!」

「拙者は、日本文化の師匠と思っているでござる。タケ殿、これからもご教授おねがいするでござる!」

「わ、わたしは、美味しいご飯作ってくれる、おにーちゃんかな?」

「ワタクシは、ネタを貰える良い素材ね」


 ……なんか、僕ってマスコット扱いなのかなぁ? 童顔に生んでくれた両親を少し恨みそう。


「気にするでないわい、タケよ。就任たったの一月でここまで可愛がられるのは才能なのじゃ。これからも色々頼むのじゃ!!」

「うん、そうですね!」


 こうして、僕の異世界CSIは続くのだ。


(第一章 完)

 これにて第一章、完結です。

 続く第二章、次の土曜日、3月28日から連載再開予定です。

 それまでもう一読して頂き、ゆかいな捜査室の仲間をご堪能下さいませ。


 なお、第二章は、可愛い小悪魔っこ、リーヤのお話です。


 ブックマーク、評価、感想等などお待ちしていますので宜しくお願い致します。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 異種族間との交流、サイボーグヤクザ、凄まじい設定量 [気になる点] 設定を詳細に語りすぎて、話の展開が分からなくなる [一言] 疲れた……
[良い点]  第1章読みました。料理に銃撃戦にとバラエティに富んだストーリーなのに、ちゃんと刑事ドラマ風になっていて最高に面白かったです。  ギャグ的なイメージを持っておりましたけど、実は結構シリアス…
[良い点] ここまで一気に読ませていただきました。 もっと人気出ていいと思います! スペシャリスト集団ということで捜査の進展や犯人逮捕までがスムーズに進み、その分人間ドラマやキャラの肉付けが丁寧に…
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