第34話 美幼女は、くいだおれの街にびっくりする。
「ここが天下の台所、大阪・ミナミの繁華街、道頓堀なのじゃ!」
僕達は地下鉄御堂筋線、難波駅を降りて地上に出た。
そこは西日本最大の繁華街、「くいだおれ」の街、道頓堀。
「人が多いのじゃ! それに東京とはまた違うのじゃ!」
リーヤは周囲の人ごみを見て驚く。
「そうですね。僕も生まれはどっちかというと関西圏なので、こっちの雰囲気の方が好きなんですが。後、リーヤさんの日本語も京言葉の変形型ですから、こっちの方が話し言葉が似ているはずですよ」
「確かに、何か此方の話し方に近いのじゃ!」
周囲の観光客が僕達を見て、スマホを向けて来るのは、もう毎度の事。
しかし、東京よりも距離感が近い人が多いから……。
「そこの可愛い羽生えた姉ちゃん達、オバちゃんらと一緒に写真撮らへん? 飴ちゃんもどうや?」
はい、来たよ。
大阪名物、ヒョウ柄のオバちゃん達。
あっという間に間合いをつめてくる。
「何、此方に飴くれるのかや? タケ、此方写真に写っても良いかや?」
「ええ、無害なオバちゃん達ですから、どうぞ」
オバちゃん達、リーヤが優美な京言葉の変形を話すので大興奮。
「えー、姉ちゃん、日本語分かるのかいな? 話し方も可愛いやん。そこのボーヤがナイト様かいな? ボーヤも一緒に写真に入らんかい! あ、耳長のねーちゃんやわんこのニーちゃんも一緒においで! 皆で一緒に写った方が旅行の写真は楽しいにきまっているんや!」
それからオバちゃん達やおねーちゃん達に随分と捕まった僕達だった。
「タケ、この女性達は一体何者なんだ! このプレッシャー、魔力を殆ど感じぬのにすごいぞ!」
「陛下、これこそ大阪の最強人類。大阪ナニワのオバちゃんです。大丈夫、彼女達を味方につけたら、怖いものは無いです」
「あ、そこの角生えたボーヤも可愛いやん。オバちゃんとツーショットせーへんかい?」
日本語が分からないはずの少年皇帝、ブルっと震えていた。
……異世界でも、オバちゃんはパワー強いけど、ナニワ系は別格だもんね。
◆ ◇ ◆ ◇
僕達は写真撮影の後、オバちゃん達に色々教えてもらって、今は道頓堀を歩いている。
「拙者、時代劇で大阪の事を聞いていたでござるが、ノリは今も変わらぬでござる!」
「うん、アタイも東京よりはコッチのノリが更に好きだね。吉本新喜劇の街だし。というか、日本は好きな事、面白い事ばかりで楽しいよ。さすが、カンナちゃんやタケっち、コウタさんやナナちゃんの生まれた国だね」
「わたしもギーお姉ちゃんと今の日本を楽しめて嬉しいよ」
「タケ、あれはナンじゃ! 大きなカニが看板にあるのじゃ!」
「リーヤさん、あれはカニ料理専門店の看板ですわ」
「何、カニ料理とな! キャロや、此方カニも食べたいのじゃ!」
「リーヤお姉さん、無茶言わないで下さい。あそこのお店大人気店だから予約ナシは難しいよぉ」
「フォルや、そうなのかや。タケ、何か食べる方法無いのかや!」
ウチの面子は見るもの、聞くもの珍しくて、大興奮状態だ。
……東京とも違って、街が客を包み込む感じなんだよね、大阪って。
「タケ。そういえば、大阪の人達の話す言葉ってリーヤのに近いですけど、イントネーションはタケも同じよね。タケって東京の人と同じ言葉は話すけど、少し違うような気がするの」
「マム、おっしゃるとおりです。さすが、お見事です。僕の生まれた処は、まだもう少し西ですが、文化圏はここ大阪に近く古くから大阪と交流があったので、元々話す言葉は関西弁、大阪の言葉に近いんです」
マム、僕の会話イントネーションから答えを導く。
さすが捜査室の室長、観察眼と推理力が凄い。
「タケ。この街のパワー、帝都の下町に似てはいるが、もっと凄いな」
「ええ、江戸幕府が出来る以前から、日本の中枢京の都の物流を一手に支えた商人の街ですから」
少年皇帝、先程大阪のオバちゃんに圧倒されてから、すっかり周囲の雰囲気に呑まれている。
「さあ、今日の昼食はココじゃ! ワシが予約済みなのじゃ。大阪といえばコナモン。存分に食べるのじゃ!」
道頓堀中心のビル上層にある店舗に僕達はチエにより案内された。
「チエ殿、コナモンとは何なのじゃ! 美味しいのかや!」
「それは食べてのお楽しみなのじゃ! 本場のコナモン、小麦粉文化を味わうのじゃ!」
そして、僕達は存分に関西風お好み焼き、明石焼き、鉄板焼きを味わったのだ。
「此方、もーここに住みたいのじゃぁ! タケ、さっそく日本へ在留許可取るのじゃあ!!」
あらぬこと叫ぶリーヤであった。
◆ ◇ ◆ ◇
観光4日目、夕方。
僕達は、新大阪駅に再び戻り、今度は京都まで新幹線で移動した。
「むにゃむにゃ、此方もー食べられないんじゃぁ」
そして京料理を存分に楽しんで、一休みの時間。
また僕とヴェイッコの合い部屋に入り込み、僕の布団の上で大の字で寝るリーヤである。
しかし、僕も慣れたもの、浴衣からはみ出した真っ白な脚や肌蹴て見えそうな胸元には視線を動かさず、寝冷えしないように胸とお腹に布団を掛ける。
……リーヤさん、ジュニアブラ見えてますよ。
なお、ヴェイッコもお酒を楽しんで、今は夢の中。
「チエさん、そろそろ僕の実家に行くスケジュール教えてくださいませんか? 僕、母に知らせないと困るんですが」
僕は縁側でゆっくり冷酒を嗜んでいるチエに聞く。
……僕とリーヤがエッチな事しないか、監視しているつもりなんだろうけど、どーして僕の部屋で呑むのかねぇ。
「そうじゃな、タケ殿にこれ以上イジワルするのも悪いのじゃ。明日、午前中は京都観光をして、昼から移動じゃ。ワシ、タケ殿の生まれ故郷には少々土地勘があるのじゃ!」
チエは幼いながらも優美な白い顔を酒によって朱に染め、僕に話す。
「僕には一切聞かずに西日本まで来たのですから、なんとなくそうとは思っていました。確か10年前に丸亀に行ったと言っていましたし」
僕は海水浴でのチエの会話で、わざわざ丸亀城の事を話題にしたのが気になっていた。
もっと有名な姫路城とかを作った方がわかり易いのに。
「良いカンをしておるのじゃな。しかし、仏殿城の方が良かったかや?」
「アソコは模擬城で、元々城郭なんて無いですよ、しかしそこまで知っているのなら、僕はもう何も言いません」
僕は地元の超マイナーな城の別名を言い当てられたので、苦笑いをする。
……イタズラ心一杯の魔神さま。どこにフラグ仕込んでいるか分からないな。
「何、変なフラグは作っておらぬぞ。タケ殿のご母堂殿とリーヤ殿が会うだけで、大きなフラグなのじゃ。その成功に到るお膳立て以上の事は何もせぬよ。頑張るのじゃぞ!」
チエは、幼い顔に似合わない慈母の表情で僕を見つめた。
……チエさんって、時々お母さんを感じるよね。
「はい、そこは頑張ります!」
「うむ、良い返事じゃ。さあ、ワシはもう少し呑んだらリーヤ殿を連れ帰るのじゃ。タケ殿は紳士なナイト殿じゃから安心じゃが、このままならムラムラして眠れぬのじゃろ?」
チエは慈母からニタニタ顔に急変する。
……前言撤回、世話焼きオバちゃんだよ、これ!
関西に来ても、皆さんはドタバタしています。
しかし、このまま無事にタケくんの地元へ移動できるのか、明日の更新をお楽しみに。
「作者や。またイベント起こすのかや? あまりタケ殿を虐めるでないのじゃ!」
大丈夫、吊り橋効果は絶大だもんね。




