第20話 新米騎士爵は、仲間達と一緒に飛竜と戦う!
「こちら前線ベース。了解です。ギーゼラさん、カンナちゃん、注意して案内してあげて下さい。ルナさん、お疲れ様です。こちらに撤退を御願いします」
「らーじゃ!」
「はーい!」
無事、飛竜をワナ方向への誘導に成功した僕達。
……あー、周囲の視線が痛いよぉ!
しかし、リーヤのキス発言を受けた戦乙女達達はニヤニヤ、そして警察、自衛隊関係者からは、冷たい視線が僕に刺さる。
「あーん! リーヤさん、少しは空気読んで下さいよぉ。僕は確かにリーヤさんとずっと一緒にいるとは宣言しましたし、婚約状態なのも嘘ではありません。けど、児童保護に関係しちゃいそうな事を公衆の面前で言われたら困りますぅ!」
僕はワナの方角を対物ライフルで狙いながらも、愚痴をリーヤに言う。
「なんじゃ? 此方とタケがキスしたのが、そんなに問題なのかや?」
「ええ、日本では子供に大人が性的な事をしたら罰せられるんですよ」
僕はヤケになって、警察・自衛隊関係者がいる前でリーヤに説明をする。
「此方が子供の身で迫ったのが悪いとな?」
「そりゃ、我慢できずにキスした僕も悪いですけれどね。日本では13歳未満の児童と性的なことをしたらお互いの合意があろうとなかろうと罰せられるんです」
日本では、性的同意年齢が13歳とされている。
しかし、青少年保護条例によって18歳未満の少年少女との性的接触は実質禁止されている。
唯一の抜け道として、結婚すれば女性は18歳未満(女性は16歳で結婚が可能)でも性交渉が可能となる。
「子供とはダメなのかや。ん? 此方は魔族では未成年じゃが100歳越えているのじゃ! その上、此方なら限界突破で大人の姿にも変身できるのじゃ。この場合は、どうなるのかや?」
「どうなるんでしょう? 日本の法律はヒト族対象なので長命種のエルフや魔族との行為は考慮されていませんので。あのー、警察関係者の方、! 教えて下さい、どなたか答えられますか?」
僕は、ちょうど良いと周囲の警察関係者に聞いた。
しかし、皆顔を見合わせて苦笑い状態で黙っている。
「タケ君、戦闘前に話をややこしくないでくれないかしら! もー、困った子達。エレンウェ様が皆さんを子供扱いするのが良く分かったわ」
イルミネーターや警察無線からアヤメの呆れ果てた声がする。
「ごめんなさいね。ウチの子達がバカで。タケ、遊んでいないでちゃんとお仕事しなさい。リーヤもそうよ!」
「はーい」
イルミネーター越しに、マムに叱られてしまった僕達であった。
そしてその様子を見た警察・自衛隊関係者は笑いながら持ち場に動き出した。
言うまでも無く、戦乙女達もリーヤをからかいつつ、持ち場に着いた。
……周囲の誤解(?)がたぶん解けたので一安心かな? 冷たい視線の中で戦闘指揮や狙撃なんてしたくないもん。
そして飛竜との戦闘がいよいよ開始された。
◆ ◇ ◆ ◇
「おーい、こっちだよぉ!」
山深く生い茂る樹木を避けながら飛ぶ飛竜。
その目の前をちょろちょろする小憎らしい二本足。
その姿は、漆黒なものを纏っており夜間の山中ではとても見難い。
鼻先のピット器官(蛇にある熱感知器官)を駆使してやっと居場所が分かるくらいだ。
なのに、時々声を上げたり、効きもしない「礫」をぶつけてはわざわざ居場所を知らせている。
一体何を考えているのか。
2匹の飛竜は不思議に思いながらも、「獲物」を追っていった。
そして急に目の前が開けたと飛竜が思ったとき、何かが羽に引っかかった。
「よし! こちらギーちゃん、獲物はワナに引っかかったよ!」
◆ ◇ ◆ ◇
「こちら前線ベース、タケ。了解です。皆さん、火炎系はワナが燃えるのでそれ以外の方法でリタさん、カレンさん、ヴェイッコさん、自衛隊の方々で落ちてくる飛竜に集中攻撃を御願いします。もう一匹には火炎系と牽制攻撃を他の方々で御願いします!」
僕は駐車場に落ちてきている飛竜に、対物ライフルの照準を合わす。
もう一匹の飛竜は、ワナに引っかかった飛竜の後を飛んでいたので、ワナには引っかからずにそのまま飛んでいた。
「らじゃー!」
リタ姫の持つ杖に青白い光が集まる。
またカレンは準備していた弓に矢を番え、詠唱を開始した。
「お2人の準備中に、拙者がお相手するでござる!」
ヴェイッコは銃座に設置した重機関銃で、駐車場に墜落した飛竜を銃撃した。
また自衛隊の方々も同じく重機関銃で容赦なく銃撃をする。
一部は強固な鱗に弾かれるも、さすがは50口径の機関銃弾、どんどん飛竜に突き刺さる。
しかし、なおも暴れて巻きついた蜘蛛の糸を解こうとする飛竜。
「南無八幡大菩薩! オン アミリタ テイゼイ カラ ウン! 八幡破邪弓」
カレンの詠唱は、戦神、八幡大菩薩のもの。
神霊で強化された矢は、まばゆい輝きを放ったまま、飛竜の胴体を貫通した。
「全てのモノよ。凍てつき滅びよ! 氷結烈波!」
そしてダメ押しにリタ姫からの氷結弾を喰らい、飛竜は一瞬で砕け散った。
「まずは一匹! 次は?」
僕は、一安心してもう一匹に視線を動かした。
「いっけー!」
ナナは、僕達の周囲を多数のタイル九十九神と2匹の巨大な狛犬で守りつつ、飛竜の飛行コース上に他の九十九神達を展開して飛行妨害をしていた。
また遠藤姉妹は、火炎を流れ弾にならないようにしながら飛竜に当てに行っている。
……よし、このまま追い込んで倒すぞ!
「うむうむ、良い感じじゃな。飛竜2匹程度、ワシらの敵ではないわい!」
また楽屋裏まで来てしまうチエちゃん。
その通りだけど、今回の件は単純な話じゃないよ?
「そうじゃな。どうやって飛竜を地球に2匹も持ち込んできたのか。謎の解明が今後の課題じゃな?」
ええ、そういう事ですね。
では、明日の更新をお楽しみくださいませ。




