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これが、日常

第一章 エピローグ

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 さらに、30年ほど経った。


 とうとう、三回目の脱皮をした。


 体長は、おそらく20メートル弱。角もつばさもずいぶん大きくなった。


 人型は、15〜6歳くらい。体型は、・・・訊くな!


 皮で作ったのは、クールシャツとズボン、手甲とブーツ、ベルト付きウェストポーチにナイフと鞘。しっぽは棒にした。色は、すべて鱗と同じ黒一色。角度によっては光をはじく。これもこれで、目立つんだけど。変えられなかったんだよ。

 てん杉の布でも服を作ってみたが、乳白色の生地は森の中ではさらに目立ちすぎた。糸の状態で薫製し、やや茶色には出来たが、どうやってもほかの色には染められず、結局、布地の山は増えるばかり。ああ、カードを腐るほど作っておいてよかった。


 脱皮後は、やはり、力加減が変わっていたので、またも改めて修行した。


 修行中、意外なことがわかった。手甲を付けていた方が相手へのダメージが少なかったのだ。自分のための防具ではなく、相手を保護する物になるとは。


 魔力の「量」は、もうあきらめた。魔力隠蔽しておかないと、周り中の動物が皆逃げ出すようになってしまっている。安全装置の壊れた核爆弾な気分になる。出力調整に、さらに苦労することになった。しかし、苦労した甲斐あって、できることも増えた。


 種弾に刻みを入れ、「質」と「効果」を設定することで、いままでよりも簡単に魔法が使えるようになった。「量」の調整にも集中しやすくなった。「技」を鍛え、工夫したということで、格好良く「魔術」と呼ぶことにした。

 いまでも、日々、新しい魔術効果を試している。


 一回魔術を発揮させると弾は消えてしまうので、弾作りにも余念はない。


 岩大蟻の弾は、どうやっても魔力を込めることができなかった。刻印を打ってみても、魔術は発揮しなかった。くそぅ。



 体術、魔術のおさらいができたところで、魔天周縁部の探索を始めた。そう、三回めの脱皮後は、もう深淵から離れても体調が悪くならなくなったのだ。


 深淵部とは違った生物層だった。毎日が発見の繰り返しで、とても楽しい。


 自作の「ノート」片手に、縦横無尽に調査していく。


 

 人に会う機会も増えた。

 かれらは、狩りするために森に分け入ってくる。


 ターゲットの動植物の居場所を教えると喜んでくれる。お礼になにか、といわれたときは、獲物の呼び名や使い方、狩りの方法などを代わりに教えてもらった。

 たまには、お互いの獲物を交換したり、ごちそうになったり、戦い方を教わったり、街のうわさ話も聞いてみたり。


 特に世話になった狩人のおじさん(お姉さんもいる)には、「変な」ナイフを譲った。だって、解体作業では、とっても使えるナイフだから、便利かなー、と。そうしたら、とても喜んでもらえた。在庫を減らせて、自分も嬉しい。


 自分のことは「アル」と呼んでもらっている。ここに、この世界に「在る」ものと呼んでほしかったから。

 ただ、短い名前は愛称にしかつかわれないそうなので、本名は「アルファ」としておいた。


 おじさんたちは、「アル坊」とよんでかわいがってくれる。時々、お土産と称して、お菓子とかリボンなどをくれることもある。


 もう、寂しいことはない。


 ただ、まだ、森からは出て行かない。そのときがくれば、自然と足が向くはずだから。


 それまでは、こうして森の中で・・・ 

駆け足で、主人公の足跡をたどってみました。いかがでしたか?

この後、街に出るはずなのですが、どうなることやら・・・。

また、お会いしましょう。

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