団体戦
早いものです
022
多分、一年ぐらいはたったと思う。
弾を作って、狩りをして、芋や木の実を収穫して。それなりに、森の生活になじんできた頃。
そろそろ、蟻弾が少なくなってきたな〜、と思いつつ、森の散策をしていた。
うわさをすれば、なんとやら、だ。話題の岩大蟻がのこのこと現れた。やった、チャンスだ。即、蟻団子にしてしまった。
今日はもうけたな。
それから、二〜三日は森に行かずに洞窟で遊んでいた。
そして、奴らが現れた。
その日は、何やら、森が騒がしかった。
かと思うと、急に音が静かになった。もちろん、自分も警戒した。
目を凝らしていると、やがて、森からまーてんの草原へ、次から次へと岩大蟻が姿を現してきた。多分、80匹ぐらいはいただろう。
すぐさま、ドラゴン形態に変身した。あいつらに、魔力の「火炎弾」は効かない。数が多すぎて、「掴んで潰す」は間に合わない。
昨日のうちに、蟻弾をつくっておいてよかった。
しかし、問題が。ドラゴン形態では、多くの弾数を握っていられないのだ。ポーチは人型用で、ドラゴンの手を突っ込んだら破れてしまう。ドラゴン用のポーチはない。
肉弾戦も難しい。今は、自分の方が体格は上だ。が、取り付かれ、手足を押さえられたら。かく乱しながら、一対一で頭をたたき潰す技量を、今の自分は持ち合わせていない。
やはり、人型で、対峙するしかない。
再び、変身した。
このときは、蟻の方が体が大きい。五歳児相当の人間には、無謀というよりほかない。が、小さすぎて、捕らえ辛い、ということもある。この体格でも、ジャンプ力は十分ある。蟻弾での、殺傷能力には実績がある。
とにかく、捕り尽くす。
蟻たちは、森から出てくると、てん杉に取り付いていった。よじ上ろうとしているやつの首筋に、大弾を撃つ。
まず、一匹。
てん杉に取り付いた蟻から、片っ端から撃ち落とす。
そのうちに、自分に気がついた蟻が向かってきた。大顎を振り上げて襲ってくる。こちらから駆け出した。
顎に捕らえられる前に走り込み、下から首を狙う。命中。首が落ちた。二方向から突進してくる。さっきの蟻の胴を足場にしてジャンプ、上空から、二射。これも、命中。
すり抜け、飛び上がり、蹴りつけ、走り回り、撃ちまくった。
中には、関節にキックが決まって、足がもげた蟻もいた。しかし、その後暴れすぎてうまく首に当てられず、為留めるまで、時間がかかってしまった。
さらに、次から次へと蟻の首を狙っていく。
残弾数が、心もとなくなった頃、ようやく、最後の一匹を打ち倒した。
見れば、一面が蟻の残骸で埋め尽くされていた。
森から出てくる蟻も、もういない。
気がつけば、肩で息をしていた。
・・・さあ、次は、後始末、だ。
がんばりました




