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悪魔に転生してました。  作者: ぐっちょん
追放されてるっぽい少女編
12/114

12

少し長くなりました。

 エリザがやっとの思いで口を開くもその声は少女の耳に届いていなかった。

 虚ろな瞳をした少女は無意識だろう、その落ちた物へと手が伸びていた。


「それは悪魔大事典なのよ!!」


 エリザがそう叫んだ。エリザの声にびっくりしたマリーが事典を大事そうに抱えながらこちらに顔を向けた。


「……だれ?」


 そう返したマリーの声には感情がない。


 ――悪魔大事典に引き込まれつつあるか……ん?


 突然エリザが俺の前に出てマリーの前にしゃがみ込んだ。


「私はエリザ。私もその事典の経験者なのよ」


「けいけん……者?」


 ――経験者って……まあ、確かに経験者であるな。


「そうよ」


 エリザの優しく語りかける声に反応したマリーは、意識が戻ってきているのか、その瞳にも少しずつ輝きを取り戻しつつあった。


「あなたはマリーよね? マリーはその事典の使い方を、もう理解しているわよね?」


 エリザの問いにマリーはこくりと頷いた。


「やっぱり」


「どういうことだ?」


「クローは知らなかったのね。あの事典、触れるだけで、使い方が何故か理解できるのよ」


「悪魔大事典にそんな力が……」


「そうなの。私の時は持ってるだけで……復讐のことしか考えられなくなった。そして気が付いたら悪魔大事典を開いていたの……だから……」


 ――早く取り上げろって事だろ……


 エリザが言わんとすることができた俺は、マリーの悪魔大事典へと手を伸ばす。


「嫌!! 私からもう何も取らないで……」


「やはり無理か……」


 マリーは嫌だ嫌だ首を振り事典を背中へと回し取られまいと拒絶した。


 ――やはり悪魔大事典に魅了されているな。


「……仕方ないエリザ。一先ず部屋に戻るぞ」


 俺はそう言うや否やマリーを抱えて宿屋の入口から部屋に戻った。


 マリーを抱え移動の際、足をバタつかせるものだからスカートが捲れてパンツが見えそうになったが、横から伸びてきたエリザの手がそのスカートを押さえた。


 ――ふむ。


 俺が少し損した気分に陥っていると、エリザはあからさまに不機嫌そうに――


「……エリザ痛い」


 俺の脇腹を摘まみ、捻りまで入れてきた。


「クローのバカ!!」


 ――ぬ!


 エリザは顔を背け小さく「見るなら私のを見ればいいのよ」と呟いていたが、俺の耳にはしっかり聞こえている。


 ――そうか。そうか。


 それからエリザは俺の服と一緒に背中の肉までつまみながらついてきた。

 地味に痛いが先程のエリザの呟きが俺に力をくれた。


 ――ヤキモチ焼いただけだよな?


 そんな俺に抱えられたマリーは途中から諦めたのか、急に大人しくなった。


「よし、マリーはここに掛けてくれ」


 俺はマリーをゆっくりとベッドに降ろし腰掛けさせると、直ぐに人化を解いて悪魔の姿を披露した――


「ふははは、聞いて驚け……」


 と言っても俺に迫力を求めてはいけない。

 俺の悪魔の姿って貧相なツノにシッポ、羽根が生えるだけだからな。


 それでも、マリーには充分だった。


「あ、悪魔?」


 なんとマリーは、俺が名乗りを上げる前に、俺が悪魔だと理解してくれた。


「もしかして分かってくれたのか?」


 マリーはこくりと頷いた。俺はそれだけで気分が高揚した。こうなったら何でもやってやるぞ!


「よし、マリーは特別に何で……「クローは黙ってて」……はい」


 俺の気分は急降下した。


「もう理解してくれていると思うけど、こう見えてもクローは悪魔なの。

 だから、その事典からわざわざ悪魔を召喚する必要はないわよ」


「これ、要らないの?」


「そうよ。私はその事典を開いたことがあるけど、本当に手に持っているだけで頭の中が復讐の感情で満たされていったわ。

 開いた時の記憶は今でも朧げでよく覚えてないの……マリーは大丈夫?」


「今は何も聞こえないよ」


 マリーは大丈夫だと頷いた。


「良かったわ。私の場合、たまたまクローのページを開いた時、あまりにも場違いと言うか普通すぎて毒気が抜かれ……たと思う……そして……復讐するの? って声が頭に響いて……でもその声のお陰で意識がハッキリと戻ったのよ。

 あれは、クローの声だったの?」


「いや……俺はよく分からんな」


 ――ふむ……


「そうなの……でもその声で……それで悪魔召喚を止めようと思い留まったのだけど……何故か事典を閉じることができずに……戸惑っているうちに手からも離れなくなったわ。

 手遅れだったのよね。もう終わったと思った、見出しにそう書かれていたもの。

 それなら、最後に意識を取り戻してくれた……クローに会ってみたくなったの」


「へっ、そうなのか?」


 ――悪魔大事典の仕組みなんて悪魔の俺でもよく知らないんだよな。


「まあ、俺を選択したエリザは正解だったな」


 ――本当に良かったと思う。俺も。


「もちろんよ。ふふふ」


 エリザの話が途中から俺への惚気に聞こえる。嬉しそうに俺を何度も眺めているから、マリーが反応に困り首を傾けている。


「ふふふ」


「まあ、俺が言うのもなんだが……悪魔は危険だぞ。マリー、俺にその事典をくれるか?」


 俺がマリーに手を伸ばすと、マリーは抱えていた悪魔大事典と俺とを何度か見比べ、ゆっくりとした動作で俺にその事典をくれた。


「そうだ。よし、マリーありがとな」


 ――大事典は、一度でも魅了されると、本人から手離す意思がないと、いくら引き離しても本人の手元に戻ってくるからな……


 俺はマリーの頭を優しく撫でると悪魔大事典の表紙を確認した。


 ーーこ、これは……悪魔大事典増刊号? 1号~10号歴代集……女性限定版? あれっ、これって1号から10号の売れ残りか? む、手に持っているだけで嫌な気配がビンビン伝わってくる。


 不穏な気配を感じた俺は直ぐに所望魔法を使った。


『我は所望する』


 そして悪魔大事典を消滅させた。


「消えちゃった……」


 マリーは名残惜しそうに、消えた後の俺の手をジーっと眺めている。


 ――やはり、少し悪魔大事典に魅了されていたか。


「ああ。でも大丈夫だぞ。俺なら大概のことは、何でも叶えてやる力があるからな……対価はいるけど」


「何でも?」


「そうよマリー。クローは凄いのよ……だからお願いマリー。話せる範囲でいいから、マリーの置かれた状況を教えてほしいの」


 エリザは何とかしてやりたいのだろう。必死な顔でマリーに尋ねていた。


 ――俺だったらさっさと契約して願い叶えて終わりなんだけど……

 エリザが1人の少女のために、こんなにも一生懸命になるとは思わなかったが、こんなエリザも悪くないか……


 俺は黙って2人のやり取りを眺めていると、マリーはエリザと俺の顔を交互に見た後に、迷いながらも自分のことを語りだした。


 ――ふむ、大分迷っていたが俺の信用スキルがまたまた大活躍したらしい……

 ん? どうやらエリザは自分に心を開いてくれたと都合良く勘違いしたのか? 嬉しそうだな……ふむ……これは黙っといてやろう。


 マリーは食い扶持減らしで田舎村から5年前に出てきてハンターになったらしい。

 年齢はまさかの20歳だった。立派な大人だ。背が低いから14歳くらいだと思っていたが、これにはエリザも俺も驚いてしまった。


 これは前髪が長くて顔がよく見えないのも悪い。


 マリーは直ぐに同じ境遇にある駆け出しハンター同士でパーティーを組むことができたが、当時、話すことの苦手だったマリーは上手く馴染めなかったらしい。


 それからは1人で頑張り、Cランクのハンターまでなったそうだが、その分、ランクが高く強い魔物を相手にするようになった。

 さすがに1人での討伐など長く続くはずはなく直ぐに限界がきたそうだ。


 どうしようかと思い悩んでいるところにカイルたちパーティーから誘われたのだと言う。それが3ヶ月前。


 初めは胡散臭くて断っていたが、1人での活動は既に限界がきていた。

 自信の無くなっていたところを、カイルは何度も優しく声を掛けてきた。

 そして最後にはプロポーズともとれる言葉を……「俺が支える、だからずっと一緒にいてほしい」と言われつい舞い上がってパーティーに入ったらしい。


 ――ふむ。


 パーティーに加入して直ぐの一月は普通にハンター活動をしていたらしく、少しおかしいかなと感じ始めたのは2ヶ月目に入ってからだったみたいだ。


 それは、何かにつけて装備や道具を新しくしようとねだられ、断ろうにも、「パーティーは家族同然なんだ」とか「何れ一緒に暮らすんだから」と思わせぶりな発言を何度も受け、パーティーの女たちからも「ケチだとカイルに嫌われるよ」と教えてもらい、それからは“ずっと一緒に居るんだ”と思い込み気にしないようにしていたのだという。


 カイルとは、少しでも側に寄ろうとすると、「まだ早い」とか「焦ったらダメよ」と何かにつけてニナとサラとアルマが間に入り、カイルと2人だけで行動することは全くなかったらしい。

 おっぱいだけは触られたがそれだけで、身体の関係は何も無かったらしい。


 ――むむっ。おっぱいだと!


 3ヶ月目に入ったある日、体調が悪いと言い、カイルの動きが悪い日があった。

 そんな時に限って強力な熊の魔物グリズベアーが現れ、いつもより動きの悪いカイルを庇って重傷を負ってしまった。


 意識を失い10日間生死の境をさ迷い目を覚ますと、所持金が全て無くなっていて、カイルたちの装備も貧相な装備に変わっていたらしい。


 ――彼奴ら、食堂には上質な装備をしていたよな。


 そんな状況になっていたことに、何故かとマリーが尋ねてみれば、装備品や道具に至るまで全て売却して、それを全部マリーの治療費に充てたと聞いた。

 自分のケガよりもカイルに迷惑をかけたことに落ち込んだらしい。


 ――うーむ。


 そこまでしてもらったのなら早くお金をどうにかしてあげたいと思ったが、体が思うように動かず、情けで置いてもらっていた治療院の隅で日にちだけが過ぎていった。

 そして、久し振りに呼び出されたと思ったらパーティーから追放されてしまったのだと。


 その後は食堂で話を聴くまで騙されていることなど露ほどにも思っていなかったらしい。


 そう言って手に持っていたマリーの連絡先の紙を見せてもらった。


 ――町外れの森? って……えっ、おい?


 マリーはそれでも奴らに復讐は考えていなかったらしく、ただ行くあてもない、頼る相手もお金もない、体も動かない自分に価値はないと思ったそうだ。

 誰にも知られないように自らの死を考えていたのだと言った。


 すると頭の中で“……捧げよ……と聴こえ……”その後のことは発言があやふやでよく覚えてなかった。


「そう、マリーも1人で辛かったのね。よく頑張ったわね」


 エリザが悲痛な面持ちでマリーを優しく抱きしめると、マリーも溜め込んでいたのか、エリザの豊満な胸に顔を埋めて泣き出し、介抱するエリザも釣られて涙を流していた。


「……」


 マリーとエリザが落ち着き泣き止んだ頃、エリザは思いもしなかった提案をマリーにした。


「そうだわマリー。私たち姉妹になりましょうよ。ね?」


「姉妹? わたしと?」


 ――あの顔、間違いなくエリザは……自分が姉だと思ってるな……年下なのに。


「それにクローは凄いのよ」


「クローは凄いの?」


「ええ、ね? クロー?」


 そう言ってエリザが俺の手を握った。


「あ、うん? いや、凄いかどうかは別として、ただ願いを叶えるにはそれ相応の対価がいるんだ。悪魔契約ってそんなもんだ。すまないな」


「え、契約? 対価? エリザはどうしたいの?」


 マリーは恐る恐る、エリザに尋ねた。


 エリザは待ってましたとばかりに嬉々として語りだした。

 王国や、家名には直接触れず、簡潔に自分の置かれていた状況から、護衛を依頼し、今は自ら妻になった経緯をマリーに教えた。


 エリザはマリーを放っておけない妹のように感じているようだ。年下だけど……


「マリーも私と姉妹になってクローの妻になる? マリーならいいわよ」


 ――おいおい、エリザよ。勝手に決めたらいけないぞ。


 だが、そんなエリザにマリーは首を振った。


「ありがとうエリザ。でもわたしこんなだし……とても……」といって着ていた上着を脱いだ。俺が居るのに……エリザが止める間もなく――


「ちょっとマリー! なんて……」


 マリーの身体を見た俺とエリザは息を飲んだ。


 その間にマリーはスカートに手をかけスーッと降ろし、パンツ1枚になった。


 ――こ、これは……


 俺は嬉しさよりも、あまりの酷さに眉をしかめてしまった。

 マリーは俺とエリザから顔を背けているが、表情はどこか諦めたようにも見える。


「ま、マリーあなた……」


 エリザも上手く言葉が出ないようだ。マリーの身体にはカイル達が話していたように右肩から左足の付け根まで、女性にとってはあまりにも残酷なキズ跡があった。

 大きな爪の跡が肩から、両胸を削りお腹、足の付けねへと、そのキズ跡は大きくうっすら赤く盛り上がっていて、見ているこちらも痛々しく感じる。


 正直よく生きていたなと思うレベルだ。酷すぎる。余程運が良かったのか……いや、こんな大ケガをするぐらいだから……悪いはずだが……よく分からん?


 俺はそんなマリーが気になってデビルスキャンをした。


 ――なるほど……そういうことか……納得だわ。


 マリーにはキョウ運という珍しいスキルがあった。付き合う人物により強運にも、凶運にもなるという。変わったスキルだ。

 今は強運になってる。


 ――ほう。


 俺がマリーのスキルの存在に納得し、スッキリしたところでエリザが俺の両肩をつかんで揺ってきた。


「お願いよクロー。私、何でもするからマリーを治してあげてよ」


「お、おいエリザ……治すことはできるが、エリザを対価にすることはできない。すでにエリザとは契約しているんだ。すまない。

 これはマリー自身との契約が必要なる……」


「そんなぁ……「治る……の?」」


 マリーが確認するかのようにエリザとの会話に割り込んできた。

 先程のまでの諦めていた表情とは違い、その声には少し力が戻っていた。


「ああ、その程度のキズなら問題なく元に戻せる」


 ――回復じゃない。元に戻すのだ。


「本当に……どうすればいいの? あっ対価だよね。いいよ。わたし何でもする!!」


「おわっ!」


 マリーの掴み掛かるような勢いに、びっくりしたが、マリーは足が上手く動かず転げそうになり――


「ちょっと! マリー落ち着いて……ね」


 慌ててエリザが身体を割り込ませ支えた。


「だって……」


「ほら、クローも何か言って」


「ああ、そうだな。対価か……何でもいいなら、マリーのからだ……ゾクリッ」


 ――うおっ。


 エリザから真っ黒なオーラが溢れ出した。身の危険を感じたクローは慌てて対価を変更した。


「じゃなかった……そう、おっぱいだ。おっぱいを揉ませてもらおう。これだけは譲れん」


「へっ? そんなことで……それって対価になるの? 契約よね?」


「対価は悪魔の主観で違う。俺の場合が、ただおっぱいが良いってだけだ。何もおかしい話じゃない」


「もうクローったら……でも、何でおっぱいなのよ?」


 エリザが諦めたようにも、どこか安心したようにも見える複雑な表情をしている。


 ――ふむ。ただ、おっぱいが好きだから……じゃ引かれそう……だな……


「そりゃあ……あれだ、あれ。俺に無いものだし、おっぱいは俺の……癒し? そう癒しなんだよ。心の癒しは大事なんだ」


「へっ? 癒し……癒しだったの……そうなの。クローにとっては心の癒しだったのね」


「そうだエリザ。俺には必要なことなのだ。癒しがないと、病気になってしまうのだ」


「それは大変だわ……それなら、そうと早く私に言ってくれれば……気付けなかったわ。私は妻として失格だわ」


 エリザがしょんぼりと肩を落とした。思い付きで俺が言ったことに、エリザが必要以上に責任を感じて落ち込んでしまった。


 ――ぬ!


 慌てた俺は――


「エリザはほら、妻になったのは今日のことで俺たちはこれからじゃないか……な?」


 思わず慰めてしまった……


 ――あれ? 俺って悪魔だよな? 俺の悪魔としての威厳が……死んでいく……


「そうよね。クロー私頑張るわ。クローが病気になったら嫌だもの……クローを癒しますわ!!」


 エリザが顔を真っ赤にしながらも腰に手を当てて、おっぱいを付きだしてきた。


「お、おう」


 思わぬ嬉しい展開に発展して、戸惑いはしたが、せっかくだしエリザのおっぱいを堪能しようと、手を伸ばそうとした……


「あ、あのぉ。いいですか?」


 マリーがばつが悪そうに小さく手を挙げた。


 ――あ!


「ま、マリー……ごめんなさい」


 エリザはマリーがパンツ1枚で待っていたことに気が付くと、耳まで真っ赤にして何事もなかったように俺の後ろに移動した。


「わたしもそれでいいです。わたしのおっぱいならいくらでも揉んでいいです。

 今は無いけど……治ったらおっぱいの1つや2ついくらでも揉んでいいです……だから。お願いします」


 マリーが俺に向かって頭を下げた。もちろん俺の答えは決まっている。


「分かった。契約成立だな」


 俺はマリーに頭を上げるように言うと、待たせた居心地の悪さもあり、さっさと所望魔法を使った。


『我は所望する』


 回復魔法を使わなかったのは、一度中途半端だが、治療しているため、それを回復させようものなら、もう一度キズ跡を削いでからじゃないと効かないのが分かっていたからだ。


 現にマリーは瞳を閉じ、痛さに耐えようと全身に力を入れている。


 俺が魔法を使うとマリーの身体は眩い光に包まれた。

 ケガの跡が酷かったせいか、青白い光が細かい粒子になり、しばらくマリーの回りをぐるぐる回っていた。


 そして、青白い光の粒子が全てマリーに吸い込まれていくと、酷かったケガの跡はキレイに消え豊満おっぱいが露になった。


たゆんたゆん


 おっぱいはリズム良く揺れていた。


 ――おお。


 マリーのおっぱいはエリザより少し小さいが、エリザより背が低いためか、身体に対して大きく見えた。


「な、治っ……てる。本当に……治った。信じられない」


「良かった……マリー良かったね」


「は……い……」


 そして、マリーは自身の身体に何度も触れ、確かめると、嬉しそうに笑みを浮かべ頬を濡らしていた。

 エリザもマリーに抱きつき、つられて嬉しそうに涙を流していた。

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