93.内緒
オリンピックが始まりましたね〜。
気になる競技を見て、更新が滞ってます。
スミマセン…。頑張ります。
年明けから6日が経ち、明日は年明けパーティー。
大晦日の身内のパーティーではなく、他貴族を呼んだパーティーだ。その為、使用人達はいつも以上に念入りに掃除をしている。
明日は誰が来るんだろう?
そう考えながら、私は暇を持て余して厨房へ向かう。
モーニングティータイムも終わり、この時間ならみんな暇だろうと来てみたが、厨房は誰もいなかった。
アレ?誰もいない。どこ行ったんだろ?
しょうがない、誰かいないか探してみようかしらね。
次に使用人たちの食堂へ行く。
でも、誰もいない。
んー、みんな忙しいのかしら?
よし!次行ってみよー!
誰かしらいると考えリビングに行く。
すると、そこにはうたた寝をしているウィルと読書をしているリンジーがいた。
「あら?ジョアンちゃん、どうしたの?」
読んでいた本を閉じ話しかけるお祖母様。
「どうもしないんだけど、みんな忙しそうで……。」
「うふふ。誰も相手してくれないのね。」
と、言われたので無言で頷く。
「じゃあ、こちらでお祖母様とお話しましょうか。おいで。」
満面の笑みでお祖母様の隣に座る。ふと見ると、お祖母様のティーカップが空になっている。
「お祖母様、何か飲まれますか?えーっと…リモンハチミツ、リップルティー、ミランジティーがあります。」
ストレージを確認しながら、お祖母様に聞く。
「じゃあ、リップルティーをお願いするわ。…うふふ、本当にジョアンちゃんのストレージは宝箱みたいに、色々出てくるわね。」
「えへへ。あっ、お祖母様、明日って誰が来るんですか?」
「明日は、そんなに呼んでいないのよ。王都の屋敷ならともかく辺境伯領だから、ここまで呼ぶのも申し訳ないからね。だから近隣の伯爵、子爵、男爵でしょ。あとは元魔物討伐団、現魔物討伐団、元魔術師団ぐらいかしらねぇ。」
「魔物討伐団の方って、お祖父様やお父様の同僚の方ですか?」
「そうよ。魔術師団の方は、マーガレットやジュリエッタの同僚だった人ね。」
「わぁ〜、会えるの楽しみです。皆んなが団にいた頃のお話聞けますか?」
「たぶん聞けると思うけれど…そんな事聞きたいの?」
「はい!前世では魔物は空想上の生き物でしたので。」
「そうなのね。もしかして、それもあって冒険者にもなりたかったの?」
「あっ、はい。憧れはあります。それと、自分がどのくらいの力があるか知りたいのもあります。」
「自分の力?強さってことかしら?」
「はい。冒険者ギルドでは強さによってランク分けされてますよね?そのランクが上であればあるほど、たとえ【無】属性でも邪険にはされないと思ったのです。」
「っ!!そう、ジョアンちゃんは本当に色々と先のことを考えているのね。」
「先のこと考えているというか…今、自分が出来ること、やりたいことをやりたいんです。先のことはどうなるかわからないけど、やれば良かったと後悔したくないんです。」
「それが後悔することになっても?」
「ん〜、でも行動しなければそれが失敗だと気づかないじゃないですか。私は、やらない後悔よりやった後悔の方が良いです。その方が、後々どう行動するかわかるから。」
「なるほどねぇ。そういう考え方もあるわよね。ねぇ、ジョアンちゃん。1つ教えてくれない?」
「なんですか?」
「ジョアンちゃん、前世での最期は何才だったの?」
「えっ……。ど、どうして?」
「だって、料理や掃除のこともそうだけど、話し方、考え方がね。家庭を持っていたことは聞いたけれど、落ち着いているし、気になったもんだから。」
「あぁ〜、気になりますよね、やっぱり。他の人には内緒にしてもらえますか?」
「あら?どうして?」
「きっと、ビックリするだろうから。」
「わかったわ。ここだけの秘密ね。」
そう言って、お祖母様は人差し指を口元に持っていってウィンクをする。
「はい、秘密でお願いします。お祖父様もお願いしますね。」私は、目をつぶっているお祖父様に目を向ける。
「なんじゃ、気づいておったのか?いつからじゃ?」
「冒険者の話辺りからです。瞼がヒクヒク動いていたから。」
「あははは、最初からじゃないか。で、何才だったんじゃ?」
「……82才でした。」
「「っ!!」」
「ねっ?驚くでしょう?本当に内緒にして下さいね。」
「ふふふっ、それは落ち着きがあって当然よねぇ。」
「確かにな。そりゃあ、料理も酒も美味いわけだ。あはははははーっ。」
「じゃあ、ジョアンちゃん。ついでに家族構成は?」
「主人とは死別して、息子夫婦、孫3人でした。私は、亡くなる前、風邪をひいて寝込んでいて、孫におやすみの挨拶をして、そのまま。」
ジョアンの目に涙が溜まる。
「そう。それで、アニーが風邪をひいた時にエイブ達を怒ったのね。」
リンジーは、優しくジョアンを抱きしめて言う。
「はい。たぶん、私の場合は老衰もあったと思いますけど。でも、風邪を甘くみていることが心配で。」
「えぇ、ジョアンちゃんは間違っていないわ。大丈夫。」
と、背中を優しく撫でる。
「ありがとうございます。お祖母様。」
「しかし、ワシ達より年上だったとはなぁ〜。驚いたわい。」
「だから、内緒にしていたんです。約束は守ってくださいね、お祖父様。」
「わかっておる。だが、何故ワシだけに念を押す?」
「ん〜なんとなく。女の勘ですかね?お祖父様って、うっかり口滑らせそうで。しかも、それを笑って誤魔化しそう。」
「あら?ジョアンちゃん、正解よ。ふふふ、長年の女の勘ってやつかしらね。さすがね。」
お祖母様にまで言われて、お祖父様は目を逸らした。
その後3人でお茶をし、たわいもない話をして過ごした。
私は、2人に年齢のことを話したことで少しだけ肩の荷がおりた感じがした。




