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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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91.年越しパーティー

日本で言うところの、大晦日。

朝から屋敷は、夕方からのパーティーに向けてバタバタと準備していた。一階のパーティールームにメイドやら私兵団のみんなが、出入りを繰り返している。

それを階段に座り頬杖をついて、ボーッと見ているジョアン。


てっきり演習場だと思ってたら、パーティールームがあるなんてねぇ〜。知らなかったわねぇ〜。

グレイが言うには、余裕で200人は入るって言ってたわねぇ〜。王都にはもっと大きなパーティールームがある貴族もいるらしいけど、そんなにパーティーする予定があるのかしら?暇なの?

バブル期には毎週花金にディスコって感じだったけど、そんな感じかしらねぇ〜。

それにしても、暇ねぇ〜。


「あっ、いたいた。ジョアン、何してんの?」

と、ヴィーがやって来る。

「なーんにも。暇だから、ここで準備してる人見てたの。どうしたの?」

「いや、俺も暇でさ。」

「お兄様たちは?」

「あぁー兄上たちは、学院の課題やってるよ。」

「学院に入ると大変ね。」

「ホントだな。俺、来年から学院なんだぜ。…まっ、ともかく何かしようぜ。」

「ん〜。どうしよう。屋敷内だと邪魔になるよね。…あっ、じゃあ雪灯籠作ろ。」

「雪灯籠?何それ?」

「えーっとね、桶に雪詰めてひっくり返して、ちょっとだけ穴を掘るの。そこにロウソクを入れて、火を灯して、夜になるときれいなのよ。」

「へぇ〜、よし、じゃあそれ作ろうぜ!」


まず2人でグレイの所に行って、小さくなったロウソクを貰う。その後に庭師のトム爺の所に行って、桶とスコップを借りる。マイクに何をするか聞かれたので、雪灯籠の説明をする。すると、マイクが手伝ってくれることになった。

3人で玄関から門の方に向かって、黙々と作っていく。そこへ課題を終えた3人も一緒に参加する。

ランチ休憩を挟んで、夕方前には多くの雪灯籠が出来た。ロウソクをセットして後は火を灯すだけになる。

点灯前に、5人で水分補給をしていると、ウィルとリンジーがやって来る。


「おっ、出来たのか?」

「みんな、頑張ったわね。」

ランチの時に、何をしてるのか聞かれたので説明していた。雪灯籠が気になり、屋敷の中から観察してたようだ。

「わぁー、スゴいいっぱい作ったのねぇ。」

「コレは、すごいな。」

ジュリエッタ叔母様、ギルバート叔父様、その後ろから滑らないように身重のお母様をエスコートするお父様もやって来る。


「じゃあ、点灯していこう!」

と、私が言う。

とは言っても、私は危ないからと言われ見てるだけ。代わりに、お祖父様、ギルバート叔父様が手伝ってくれ、全ての雪灯籠に火が灯る。


「「「「おぉーー、すげぇーー!!!」」」」

ノエル兄様達が歓声を挙げる。


「おぉ、これは圧巻だなぁ。」

と、お祖父様。

「えぇ、とても幻想的だわね。」

と、お祖母様。

「本当に、すごいわねぇ。」

と、ジュリエッタ叔母様と無言で頷くギルバート叔父様。

「ありがとう、みんな。とてもきれいだよ。」

と、お父様。

「本当にきれい。ありがとうね。」

と、言いながら涙を流すお母様。

「お母様、大丈夫?どこか痛い?」

私は駆け寄ってお母様の手を取る。

「いえ、大丈夫よ。この涙は…何だか、感極まっちゃって。ありがとう、ジョアン。」

私の頬を優しく撫でながら、お母様は優しく微笑む。

「お母様〜。」

お腹に負担がかからないぐらいの力でギューッとお母様を抱きしめる。

その私をお父様が優しく頭を撫でながら

「さぁ、そろそろパーティーを始めようか。」


パーティールームに入ると、使用人達と私兵団の居残り組が待っていた。エイブさんが私を見つけ、近寄ってくる。

「おっ、お嬢。やっと来たな。ストレージの料理頼むよ。…ほら、行くぞ!って、お嬢、すげぇ冷たくなってるぞ。何してたんだ?」

エイブさんが私を抱き上げ、私がとても冷たくなってることに気づく。

「えへへ。雪灯籠をみんなで作ってたの。後で外見てみてね。」

「おう、そうか。じゃあ、後で見てみるかな。まずは、料理だ。みんな待ってるぞ。」


料理が並んでるテーブルに、ストレージからクリームシチューなど先に作っていた料理を並べる。もちろん、クリームシチューの大鍋はエイブさんに出してもらう。


「さぁ、料理も揃った。みんな、ドリンクは持ったかい?…じゃあ、始めよう。今年も1年、我がランペイル家の為に色々と尽くしてくれてありがとう。今日は無礼講で大いに飲んで食べてくれ。そして、来年もよろしく頼むよ。ランペイル家、そして皆に幸多かれ…乾杯!」


「「「「「「「「「「乾杯!」」」」」」」」」」


みんな、ワイワイと料理を各々取りに行き近くの空いたテーブルで食べる。

「んー、このクリームシチュー?美味しいわ!」

「こっちの唐揚げも美味いぞ!」

「いーや、ローストビーフもなかなかイケてる。」

「やっぱり、ピザトーストですよー。」


皆んなが美味しそうに食べてるのを見て、嬉しくなりニコニコしていると

「ジョー、食べてる?ピザトースト持って来たよ。」

と、ノエル兄様が持ってきてくれる。

「クリームシチューもあるよ。」

と、ジーン兄様も持ってきてくれた。

「ありがとう、ノエル兄様。ジーン兄様。」

「ジョアン、今年は色々と頑張ったね。ジョアンが料理を作ってくれたおかげで、誰も病気にならずに済んだよ。」

と、お父様。

「えぇ、ジョアンのおかげでこの1年が楽しかったわ。…色々とハラハラさせられた事もあったけどね。来年はジョアンも姉になるのよ。どんなお姉様になるかしらねぇ〜。」

と、お母様。

「あはは。そのぉ〜、気をつけます。」

最後の最後に、釘を刺されるとは思わなかったわ。

恐るべし、お母様。

「やっぱり、母上には勝てないな。」

と、ジーン兄様がコソッというのでノエル兄様と私は無言で頷く。

「ジーーンーー?」

と、お母様から言われ

「はい、すみません。」

と、ジーン兄様。


やっぱり、どこの世界でも、母親は強しね。

でも、私に弟か妹が出来るのね〜。どっちかしら?

早く性別わからないかしら?

楽しみねぇ〜。


パーティーは遅くまで続き、大人達はアルコールに移行して飲み続けた。みんなとても楽しんだ。

私も年越しまで皆んなと一緒にいたかったが、目が半分になったところでノエル兄様に抱っこされて自室に戻り夢の世界へと旅立った。




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