90.パーティーの準備
梅雨が明けて暑い日が続きますね。
熱中症に注意してください。
モーニングティータイムが終わり、ぐったりしたジョアンが厨房の扉を開ける。
「おはよぉ……。」
挨拶をし、作業台に突っ伏す。
「ど、どうした?お嬢。昨日街で変なもん食ったか?」
「具合悪いんすか?食べ過ぎっすか?」
と、エイブさんとベンが心配し声をかける。
「ねぇ〜どうして、食べ物系で具合悪いと思うの?」
私は2人を目を細めて見る。
「だって、お嬢だし。なぁー?」
「うん、ジョアンちゃんだから?」
「ちょっとー酷くない?それ。」
「「あははははーー。」」
「で、どうしてぐったりしてるんだ?」
「お母様に、とーっても為になるお話という名のお小言を頂きました。」
「「あーーー。」」
「……ジョアンちゃん、何やったわけ?」
「えーっと、ケイトさんの所でホットドリンク作ったり、グレイスさんとミシェルさんに即席の料理教室をしたり?あと、冒険者の登録したいって言っただけ。」
「「冒険者!?」」
「うん、だって興味があるもん。前の世界では、物語の中でしかいなかったんだよ。魔獣だっていなかったし…。もし、ここを出ることになっても食べていけるかな?って思って。」
「「ここを出る!?」」
「うん、だってどうなるかわからないでしょ?【無】属性だし、良い就職先もないかもしれないし、政略結婚としても弱い駒でしょ?だったら、1人でも生きていけるのは何かなぁ〜って思って。冒険者は候補の1つにしようかと思って。」
「お嬢、もしかしてそれを奥様達に話したのか?」
「うん。そしたら、お母様だけじゃなくお祖母様とジュリー姉様にも怒られた。」
「「はぁーー。」」
エイブさんとベンは、ため息をつく。
「えっ?何?」
「お嬢、あのな……いや、もう散々怒られたなら俺からは何も言わねーよ。ただ、みんなお嬢を心配してることだけは覚えとけな。」
「うん、わかった。」
「まぁ〜何とかなるってことで、パーティーのご馳走作ろう!」
「クククッ、何とかなるって、相変わらずポジティブっすね。」
「だって、冒険者登録は10才からでしょ?あと5年もあるし、今はやれることやらないと。」
「まぁーな。んで、何作るんだ?」
と、エイブさんが聞く。
「んーと、ローストビーフ、クリームシチュー、ピザ、唐揚げ、サンドウィッチ、フライドポテト、サラダは2、3種類ってこの前話してたっけ?」
「あー、言ってたな。」
「じゃあ、今日はクリームシチューにしよう。この前の鶏がらスープをベースに作るの。まずは、鶏肉は一口大、ジャガトも一口大、タマオンはくし切り、キャロジンは輪切りでクッキー型で切り抜く。頑張ろー!!」
「「おーー!!」」
「次は、肉と野菜を炒めまーす。ある程度炒めたら鶏がらスープを入れて煮る。その間にバターに小麦粉を混ぜます。そこにスープを入れてちゃんと溶かして…野菜が煮えたら、火を止めて溶かしたバターと牛乳を入れてっと。あとは、もう一度火にかけてとろみが出たら塩胡椒で味を整えてー。でーきた。はい、味見〜。」
「「美味い!!」」
「良かった。じゃあ、あとはよろしく〜。」
「「へっ!?」」
「だって、他は作れるでしょ?」
「いやいやいや、ピザ?はわからないっすよ。」
「あーー。そこは、気合で?」
「「無理だから。」」
「へ〜い。ピザ生地面倒だから、ピザトーストにしよう!!」
「「ピザトースト??」」
「うん、パンの上にトメットソース塗って、タマオンやピーパー、ソーセージとか具材をのせて、最後にチーズをのせて焼くの。ん〜、やってみようか?」
そう言って、スライスしたパンの上にトメットソース、具材、チーズをのせてオーブンに入れる。
しばらくすると良い匂いが厨房に充満する。
「チーズの焦げた匂いが堪らないっす。」
「あぁ〜、コレはエールが合いそうだな。」
さすがね〜、エイブさん。
ピザには炭酸の飲み物よねぇ〜。
「出来た〜。う〜ん、いい感じ。」
オーブンをベンに開けてもらい、一緒に庫内を覗く。
「ヤバい、美味そうっすね〜。」
「じゃあ、味見しよう!」
「「「「「イェーーイ。」」」」」
ん?歓声が多い?
バッと振り返るとそこにはノエル達がニコニコし、エイブは苦笑い。オーブンを覗き込んでいたので、いつ厨房に入って来たのか知らない。
「お兄様たち、いつ来たの?」
「今さっき。良い匂いがするから、そっと入って来た。」
と、ジーン兄様が答える。
「はぁ〜。じゃあ、みんなで味見しますか。」
そう言って、ピザトーストをみんなに渡す。
多めに作って、保存食にしようと思っていたのに。お兄様たち、侮れないわねぇ〜。
「「「「「うっま!!!!!!」」」」」
ピザトーストは大好評だった。
「「おかわりーー!!」」
ジーン兄様とヴィーが言うが…。
「ダメです!年末のパーティーで出しますから、楽しみにしてて下さい。」
「「えーーー。」」
「はいはい、我慢する。」
ノエル兄様に宥められ諦めてもらう。
「じゃあ、これでパーティーの料理は大丈夫だよね?」
「あぁ、あとは何とかなりそうだ。ありがとな、お嬢。」
「ううん、じゃあ。あとは、お願いしまーす。」
年末のパーティー楽しみねぇ〜。
身内だけのパーティーらしいから前のBBQの時みたいに、みんなで楽しく食事したり話したりかしらねぇ〜。
それにしても、あっという間の1年だったわねぇ。
来年はどんな1年になるのかしらねぇ〜。
スミマセン。
クリームシチューの手順で、大事な牛乳入れ忘れちゃいました。Σ(゜д゜lll)
トマトソース→トメットソース
ミスを変更しました。




