89.街へ in 料理教室②
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ーーー台所で料理をしている3人を見て…。
「娘がいるって、こんな感じなのか。何か華やかで良いな。」
と、ジェームスがボソッと呟く。
「妹がいるって、良いもんですね。ノエル様達が羨ましいですよ。」
と、ダニエル。
「うん。エプロン姿のお嬢様も、可愛らしい。良いっすね。」
と、カマロ。
「えぇ、妹はとても良いものですよ。可愛いし、優しいし、料理は美味しいし、抱き上げると柔らかくて甘い匂いが…最高ですよ。ふふふ。」
と、ノエル。
「……ノエル、発言が何か残念過ぎるぞ。」
と、呆れながらアランドルフが言う。何と言って良いかわからず、周りも苦笑いするしかない。
しばらくすると台所から2人がジョアンに謝っている声が聞こえる。何があったのかと思い、耳を澄ませる。
「「っ!!申し訳ありません!!」」
「あっ、気にしないで下さい。私、【無】属性なりにやれる事見つけるんで。」
「やれる事ですか?」
「はい。とは言っても、今は料理したり、小物考えたりで…。まぁ、それでも貴族としてはどうかと、私も思いますけどね。でも何もしないでいるよりは良いかなぁと。」
「いえいえ、それだけ出来たら十分ですよ。」
「そうですかね?もし、貴族から外される様なことがあって、どこにもいけなかったら鍛冶屋か木工工房で働かせて下さいね。うふふふ。」
「「もちろん!!ぜひウチで!!」」
「「「「……。」」」」
【無】属性判定の事を思い出し、聞いて良かったのか判断に困り、ノエル達の反応を伺うジェームス、ダニエル、カマロ、ガン、マーティン。
「「「「っ!!!!」」」」
ジョアンの仮定の話に驚く、ノエル達。
「いやいやいや、絶対にそんな事にはならないから。」
いち早く復活したノエルが言う。
「もしも、万が一の事があっても、俺が何とかするし!!」
と、ジーン。
「何かあった時は、俺も力になるから。」
と、アランドルフ。
「俺も、俺も。」
と、ヴィンス。
「俺達も協力するよな、マーティン。」
と、ガン。
「もちろん、だから安心して任せてくれ。」
「「お義兄様。」」
と、ガンがノエルの、マーティンがジーンの肩に手を置き声を揃えて言う。
「「任せられるかーー!!」」
ノエルとジーンが叫ぶ。
「お、お兄様たち、どうしたの?大きな声出して。」
屋敷ならともかく、ここで大声を挙げた兄達を心配してジョアンが駆け寄る。
「ジョー、何処にも行かないよね?」
困惑した顔でノエルが聞く。
「えっ?」
「なー、ジョーは大きくなったらどうしたい?」
ジーンも珍しく真面目な顔で聞く。
「何?ノエル兄様もジーン兄様も、いきなりそんな話して。…大きくなったら?ん〜、あっ、10才になったら冒険者登録したい!」
「「「「「「冒険者!?」」」」」」
「うん、ちょっとした憧れなんだけど…。でも、本当にどうしたの?」
「だって、さっき家を出たらーって話してただろ?」
と、ヴィーが言う。
「ん?あぁ〜、グレイスさん達と話していたこと?でも、あれは、もしもの話じゃないですか〜。」
「もしもだとしても、ジョーは屋敷にいて良いから!俺達が守るし、何があっても側にいるから!!」
と、ノエル兄様が力説する。
「…あ、ありがとうございます。…でも、お兄様たちの幸せの邪魔は出来ないですよ。」
「邪魔なんかじゃねーよ!」
と、ジーン兄様。
「えっ?でも、みんな結婚するじゃないですか。結婚したら奥さんを1番に優先しないとダメです!!」
「結婚しなくて良い。」
と、ノエル兄様がボソッと言う。
「何言ってるんですか!嫡男でしょう?誰よりも結婚しなきゃいけないでしょう?私は1人でも何とかなりますし、大丈夫です!!」
「「ジョー。」」
ノエル兄様とジーン兄様は泣きそうな顔だ。
「はぁ〜、わかりました。もし、何かあれば必ず相談しますから。それに、まだまだ先の話だし。」
「「早めに報告、連絡、相談!!絶対!!」」
「はい。あっ、すみません。内輪ごとで煩くしてしまって。」
と、ジェームスさん達に謝る。
「いやいや、大丈夫です。気にしないで下さい。」
パンッ。
「はい、じゃあ卵焼き出来たので、みんなで食べてみましょう。」
と、グレイスさんが手を叩き、場の雰囲気を変えるように試食を促す。
「「「「「「美味い!!」」」」」」
「うん、コレはまたお嬢様が作ったものとは違う美味しさがあるな。」
と、ジェームスさん。
「そりゃあ、私が作ったんだから当たり前でしょー。」
と、グレイスさん。
「もぉー、父さんも母さんもイチャつかない!」
と、カマロさん。
「ふふふ、仲が良いのは良い事ですよね〜。」
と、私が言うと…。
「「そうよね〜。」」
と、グレイスさんとミシェルさんが言う。
「母さんもミシェルさんも、ジョアン様とすごく仲良くなったんだね。」
と、ダニエルさん。
「ええ、お嬢様にはもっと色々教えて欲しいわぁ〜。」
と、グレイスさん。
「本当に。定期的に料理教室開いて欲しいもの〜。」
と、ミシェルさん。
「うふふ、ありがとうございます。でも無理して、社交辞令は言わなくても良いですよ〜。」
「「いえ、本当に!!」」
「お嬢様と料理すると、なんか娘と料理する夢が叶ったみたいで、嬉しいんですよー。」
と、ミシェルさん。
「そう、私もよ。だから、ぜひ!」
と、グレイスさん。
「出来ることなら、マーティンのお嫁さんに来てもらいたいけどねぇー。さすがに無理だからねぇー。」
「あら、ウチだってガンのお嫁さんになって貰いたいわよー。」
「「ちょっ、母さん!?」」
と、慌てるマーティンさんとガンさん。
「「ぶっ!!」」
紅茶を吹き出す、ノエル兄様とジーン兄様。
「お兄様たち、大丈夫?」
と、私はハンカチを渡す。
「あ、ありがとう。」
「じゃあ、また料理一緒にしましょう。あっ、私のことは名前で呼んで下さい。ガンさんやマーティンさんにも名前で呼んでもらっているので。」
「良いんですか?じゃあ、ジョアンちゃんって呼ばせて貰いますね。」
「あっ、じゃあ私もジョアンちゃんで。」
「はい、よろしくお願いします。」
その後、みんなに別れを告げ屋敷へと帰る。
帰宅してお父様やお母様に、街はどうだった?と聞かれ、とっても楽しかったと報告をする。ニコニコとしている私とは反対に、ぐったり疲れているボーイズメンバー。
私が一旦、自室に戻っている間に、街での様子を報告する。最初はニコニコ聞いていたお父様達もホットドリンクのこと、木製タンブラーのこと、料理教室のこと、最後に私が将来屋敷を出るつもりがあることまで聞くと大人達は頭を抱える。
「あとでちょっと、あの子とよーくお話しないといけないわねぇ〜。」
と、お母様が目は笑ってはいない笑顔で言っているのを、誰もフォロー出来ず「ジョアン、頑張れ!」と、心の中で応援するしかなかった。
その頃、私は自室にサラとアニーを呼び、アラン兄様に買ってもらった飴を渡し、3人で笑いあっていた。
ちなみに、リップル飴の飴は蜂蜜から作られていて、前世のものとはちょっと違った。




