85.街へ in 屋台
今年も色々と夏祭りがなくて、屋台飯が食べれない…。
早く、終われコロナ!!
ジョウ商会を出ると
「なぁ〜、何か食べようぜー。」
ジーン兄様が言う。
「俺も何か食べたい!!」
と、ヴィーも言う。
周囲にはいい匂いが漂っている。すると私のお腹が、グゥーっと鳴る。
恥ずかしくて俯いてると、頭をワシャワシャと撫でられ
「じゃあ、何か食べよう。何が良い?」
アラン兄様が聞くと。
「「肉!!」」
ジーン兄様とヴィーが言う。
ジーン兄様とヴィー、そっくりねぇ〜。
年齢も顔も全然違うのに、双子みたいだわ〜。
屋台が多く並ぶ通りにやって来た。
「「「わぁーーーー!!!」」」
ジーン兄様、ヴィー、私が感嘆の声を挙げる。
それをノエル兄様とアラン兄様は苦笑い。
串焼き肉、フランクフルト、ケバブサンドの様なもの、リンゴ飴の様なもの、じゃがバターの様なもの…色々な食べ物が売っている。
「アレ食おうぜ!!」
ジーン兄様が真っ先に串焼き肉の屋台に行く。それをヴィンスが追いかける。
私も追いかけたかったが、両手を握られているので走れない。
「アラン兄様、ノエル兄様、早く、早くーー!」
2人を引っ張るように歩く。
「わかった、わかったから。」
ノエル兄様は呆れながら言う。
アラン兄様は俯いて肩を震わせている。
「あっ、でも私、お金持ってない。」
重要な事に気がつく。
「大丈夫、俺達が持ってるから安心して好きなの食べたら良い。」
アラン兄様が言う。
串焼き肉は、塩胡椒味とタレ味があり悩んでいると
「ほら、俺の塩胡椒味ひと口あげるよ。ジョーはいっぱい食べれないだろ?他の物が食べられなくなるから、少しずつ食べたら良いんだ。はい、あーーん。」
と、ジーン兄様が塩胡椒味の串焼きを差し出す。
パクッ。「んーー、美味しい!」
「じゃあ、俺のタレ味も。はい、あーんして。」
と、ヴィーがタレ味の串焼きを差し出す。
パクッ。「んーー、これも美味しい!!」
このタレ、野菜だけじゃなく果物も入ってるのかしら?くどくない甘味が良いわねぇ〜。
そう考えながら咀嚼していると
「あぁーあ、口の周りが大変なことになってるよ。」
と、ノエル兄様が口の周りを優しく拭いてくれる。
「んっ…。えへっ、ありがとう、ノエル兄様。」
ニコッと笑う。
「「「キャーー。」」」
何事かと周りを見ると、女の子から年配の人まで何人かの女性がこちらを見ている。
さっきから視線を感じていたけど…コレね。
まぁ〜、4人とも変装に平民服を着ているけど…隠しきれないイケメンだものねぇ〜。あの『キャー』は黄色い歓声ってやつねぇ〜。わかるわぁ〜。
私も、推しメンと会ったら釘付けだもの〜。
あぁー、16人ダンス&ボーカルのカズの歌がもう一度聞きたいわねぇ〜。
「ねぇー、ジョー。その生暖かい目で僕たち見るの止めてくれない?」
ノエル兄様に言われる。
「うふふっ、お兄様たちモテモテだなぁ〜と思って。」
そう言うと…。
「いやいや、ジョアンも見られてるし。」
と、ヴィー。
「えっ!?」
よく見ると、同じ年ぐらいの男の子やジーン兄様やヴィーぐらいの年の男の子が私を見ている。でも、目が合うと顔を真っ赤にして目を逸らす。
「ともかく移動しようか(これ以上、ジョーを見せたくない)。」
ノエル兄様が言い、みんなで移動する。
「じゃあ、次は何食う?俺、また肉が良い!!」
と、ジーン兄様。
「私、アレ食べてみたい。」
と、私はリンゴ飴のような物を売っている店を指差す。
「あぁ〜リップル飴だな。じゃあ俺とジョアンはリップル飴で、ノエルはジーンとヴィンス連れて他を見て来たら良い。」
と、アラン兄様。
「「イェーイ!!」行こうぜ、兄上!」
ノエル兄様は、ジーン兄様とヴィーを追うように他の店へと向かう。
アラン兄様に連れられ、リップル飴の屋台へ行く。
そこには、リップルだけではなく飴にコーティングされた他の果物もあった。
よく見えるようにとアラン兄様に抱っこされる。
「わぁ〜色々あるね、アラン兄様。」
私の目は、感動でキラキラ。
「好きなのを買ったら良い。今日食べられなくても、ジョアンのストレージの中に入れておけば大丈夫だろ?でもヴィー達には内緒だぞ。」
と、アラン兄様が小声で言う。
「うふふ。じゃあ、サラとアニーにお土産にする。」
そう言って、リップル、アプリコッズ、イチベリー(いちご)の飴を選ぶ。
するとアラン兄様が店員に、3種類2個ずつ欲しいと伝える。
「サラ達が他の食べてたら、食べたくなるだろ?」
「ありがとう、アラン兄様。」
その会話を聞いていた店員が
「じゃあ、おまけでコレもあげよう。」
と、プルーベリーの飴を3つ追加で入れてくれる。
「わぁ〜ありがとう、おじさん。」
「おう、良いってことよ。いつもここら辺で売ってるからよ。また、買いに来てくれよな。」
「はい、また来ます!」
良い店員さんだわねぇ〜。
これは、また買いに来なきゃいけないねぇ〜。美味しければ、今度孤児院に差し入れしてみようかねぇ〜。
飴を買ってもらってニコニコしながら待っていると、ノエル兄様達が戻ってくる。手には先程見たケバブサンドのような物を持っていた。
「お待たせ〜。はい、アラン兄の分。ちょい辛口のソースだって。」
ジーン兄様がアランドルフに渡す。
「コレは何?」
ジョアンが聞く。
「これか?ジェットブルサンドってやつ。黒い牛の魔獣らしいぞ。ってか、サーチしてみたら?」
と、ジーンがサーチの部分だけ小声で言う。
「あっ、そっか。(【サーチ】)。」
[ジェットブルサンド 甘口ソース]
大型の牛型魔獣をケバブのように焼いて、薄く削ぎ落とした肉と野菜を挟んだサンドウィッチ。
ソースは店オリジナルの秘伝のソース
材質:牛肉。黒毛和牛に近いかな。
パンっていうよりピタパンかなぁ〜。
食用:もちろん可。
食べ方:口の周りが汚れることなんて気にしないで、
ガブっといっちゃって。
補足:ジーンは既にピリ辛ソース完食済み。
ほらジーンの口元見て、ソースついてる
でしょ?
「ジーン兄様、これ2個目なの?」
「それもわかるのか?」
「えっと、口元にソース付いてる。」
そう言って、ハンカチでジーン兄様の口元を拭いてあげる。
「あっ、ごめん。ありがとう。」
「「「「きゃーーー。」」」」
あっ、また見られてたのね…。
ファンの目って、目敏い…。
「後で食べるか。ジョアン、ストレージにしまってくれるか?」
と、アラン兄様が言う。
「はい。」
さすがに、大っぴらにストレージに入れる事は色々と問題があると考えて、4人に盾になってもらってササッとしまう。
「あっ、そうだ。マーティンとこ行こうぜ。ジョーも見たいだろ?鍛冶屋。」
ジーン兄様が提案する。
「見たい!見たい!!」
「よし、行くぞー!!」
「「おーー!!」」
ヴィーと共に片手を上げる。
ジーン兄様とヴィーに両手を握られて、鍛冶屋に向かう。
補足します。
ここでの、タレとソースは、料理に使う液状の合わせ調味料の一種のことです。
「タレ」は、料理中か食べる前につける。
「ソース」は、食べる前に上からかける。




