84.街へ in ジョウ商会
ようやく街へ繰り出します。
イメージはドイツのクリスマスマーケットのような感じ( ^ω^ )
私は馬車の窓に齧り付くように外を見ていた。年末ということもあり、街はいつもより活気づいているようだった。
「ジョー、危ないからちゃんと座りなよ。」
ノエル兄様に注意されるが、一向に座ろうとしない。
「クククッ。無理だよ、座ったら見えなくなるもんなぁー。」
ジーン兄様が笑いながら言う。
そう言われて、頬を膨らませながらジーンを睨む。すると、アラン兄様がヒョイっと私を自分の膝の上に座らせる。
「これなら、見えるだろ?」
「ありがとう、アラン兄様。」
ニコッとお礼を言い、また窓の外を見る。
ようやく馬車が止まり、外へ出る。
「良い?絶対、僕たちから離れちゃダメだよ。」
「はーい。」
何度も言わなくて大丈夫なのに…。
そこまで信用ないのかしら?まぁ、返事しておけば良いわよね〜。
「信用はしてないぞ。ジョアンは気になったものがあったら1人で行きそうだからな。」
と、アラン兄様。
「えっ!?」
何で考えてる事わかったのかしら?
「ジョアンの考えてることなんてわかるよ。顔に出てるからな。返事すりゃあ良いと思ってるだろ?」
アラン兄様にバレてる…。
しかも、いつの間にか右手をノエル兄様、左手をアラン兄様に取られているわ。良く言えば両手にイケメンだけど…コレはどう見ても、捕らえられた宇宙人みたいよねぇ…。
「まずは…はい!ここ。ジョウ商会。」
「わぁ〜。可愛いお店ー!」
初めて来た商会は、周りの店とは異なり白い外壁で橙色の瓦屋根。明るい茶色の出入り口の扉の上にはストライプの雨除け。扉の横には、ウッドデッキもあり大きな窓の下にはベンチが置いてある。
まるで海外のカフェのようねぇ〜。
ウッドデッキのベンチは、イートインスペースかしらねぇ〜。
商会のドアを開けると、カランカランとドアベルが鳴る。内装も白い壁で、壁面の棚と店内中央のテーブルには見たことのある商品が並んでいる。カウンターでは男性が、店内では女性が接客中だった。
しばらく店内を見ていると、他のお客さんが帰り接客の終わった2人の店員がジョアンの側に寄って来た。
「お待ちしておりました。お嬢様。私は、ケイトと申します。こちらは夫のグレックです。」
「えっ?どうして私のこと知っているの?」
「姉から皆様が来店する事を聞いておりましたので。」
「姉?」
「お気づきになられませんか?」
そう言ってケイトさんは前髪を上げる。すると見たことのある笑顔が。
「あっ、ナンシー?」
「そうです。姉家族がいつもお世話になっております。」
ケイトさんとグレックさんが頭を下げる。
「あっ、いえ、こちらこそお世話になってます。」
私も頭を下げて礼を言う。
3人で頭を下げて礼を言い合っているのをノエル兄様達は微笑みながら見ている。
「で、こちらはケイトさん達が切り盛りをしてくれてるんですか?」
「はい、小物類はジョアン様が考えた物を孤児院の子供達が作り販売しております。調味料やお菓子は他の者が作って、ドリンクはここで作り販売しています。」
グレックさんが説明をする。
「ジョアン様の味が出ているか、飲んでいただけますか?」
そう言いながら、ケイトさんが5人にドリンクを渡す。
ゴクッ。
「「うっま。」」
とジーン兄様とヴィー。
「うん、美味しい。ジョーの味だね。」
ノエル兄様が言う。
「あぁ、同じ味がするよ。どう?ジョアン。」
アラン兄様も言う。
「はい、同じです。でも、この寒い時期には冷たいドリンクはあまり売れないんじゃないですか?」
「えぇ、確かに。冬の季になってからは売上が落ちました。」
申し訳なさそうにグレックさんが言う。
「じゃあ、温かいドリンクを売れば良いんだわ。」
「「「「「「えっ!?」」」」」」
「温かいハチミツリモンとかはどうかな?身体が温まるし、喉にも良いから風邪防止になるわ。」
「「ジョアン様!!」」
ガシッとケイトさんとグレックさんに手を握られる。
「は、はい。」
「一度作って頂けますか?」
グレックさんが言う。
「えっ、あっ、はい、わかりました。」
「では、2階で。」
そう言ってケイトさんが店の奥にある扉を開ける。そこには上に繋がる階段があった。2階はケイト達が住む住居になっているらしい。
「じゃあ、作りますね。カップに、ハチミツとリモンの搾り汁を入れて、そこに熱湯を注いでスプーンで混ぜる…はい、出来上がり。」
「えっ…もう出来たのですか?…簡単なんですね。」
ケイトさんが作り方が簡単な事に驚く。
「簡単ですよ〜。熱いから気をつけて飲んで下さいね。」
5人の前にハチミツリモンを出す。
ゴクッ。
「「「「「はぁ〜。」」」」」
ふふっ、温かいもの飲むと何でかホッとするわよねぇ〜。固まった身体が溶けるみたいな感じで。
「これは、良いですね。ぜひ売りたいです。でも、スポーツドリンクのように瓶では売れないですよね?」
確かにホットドリンクを瓶で売るのは危ないわねぇ。
紙コップなんてないし…タンブラーもないわよねぇ。
あっ…そう言えば、昔木製の湯飲みを孫達からプレゼントされたわね。じゃあ、木製のタンブラーを作って一緒に販売すれば良いんじゃないかしら?タンブラーを持って来たら割引きしたら、リピーターが増えるじゃないかしら?
そう考えていると
「ジョー、ジョー?大丈夫?」
心配したノエル兄様が話しかける。
「あっ、はい。売り方を考えてました。」
「で、何か思いついたのか?」
アラン兄様が聞く。
「木製のタンブラー…蓋付きのカップを作って、その中に温かいドリンクを入れて売るんです。で、次に買いに来た時に、そのカップを持って来たら割引きして売るのはどうですか?」
「蓋付きの木製のカップって、どんなの?」
ジーン兄様が聞く。
ストレージから紙とペンを出して、蓋付きのタンブラーの絵を描く。
「これなら、温かいドリンクも買えるし次回持ってくれば割引きの値段で買える。そうしたら何度も来てくれるかな?と思うんですけど、どうですか?」
「それ、面白いな。」
と、アラン兄様。
「ジョー、まずは母上に報告と相談だね。ケイトもそれからで良いよね?」
「はい、ノエル様。ありがとうございます、ジョアン様。」
ケイトさんとグレックさんに、お昼にでも食べてね。と、ストレージからサンドウィッチを何個か渡し、ジョウ商会を後にする。
さて、次はどこに行くのかしらねぇ〜。
誤字、脱字が多くてご迷惑おかけします。
懲りずに読んで頂けたら幸いです。




