79.みんなでクッキー作り
モーニングティータイムで、お母様からスティーブとダニエルが先日の件の報告の為に訪問する事を聞いた。
でっきるっかな?でっきるっかな?さてさて、はは〜ん。さて、はは〜ん。
厨房に行くのにスキップをしながら鼻歌を歌う。
歌うは昔の子供向けテレビ番組の曲。
「「「「ぶっ!!!!あははははーーっ」」」」
えっ!?なに?
バッと後ろを振り返ると…ノエル兄様、ジーン兄様、アラン兄様、ヴィーが肩を震わせて笑っている。
「クックックッ…な、何その歌?」
ノエル兄様が笑いながら聞く。
その間も他の3人はお腹を抱えて笑っている。
「えっ、あっ…前世の歌」
赤面しながら答えると…。
「ぶはっ…『さて、はは〜ん』って…あははははーー。何だよそれ…あははははーーーー」
「えっ!?声出てた?」
「クックックッ…思いっきりな。あはははは」
アラン兄様に言われる。
どうやら楽しみ過ぎて、鼻歌だけではなくしっかり歌っていたらしい。
ヤバい。これは、恥ずかしすぎるわ…。
顔が熱い…。穴があったら入りたい…。
「だ、だって楽しみ過ぎて…。っていうか、みんな何でついてきたの?」
「あはは…だって厨房に行くような気がしたから…ふははははー」
ジーン兄様が答える。
「何か作るんだろ…あははは。食べたいし…はははは」
ヴィーが言う。
「あーそういう事。ってか、もう笑わないで!!」
笑っている4人を置いて、厨房に向かう。
しばらくして、ようやく笑いが止まった4人が厨房にやって来た。
「で、何作るんだ?」
ジーン兄様が聞く。
「スティーブさん達にお礼のお菓子を作ろうかと思って。この前クッキーとパウンドケーキを渡したから……何にしようかな?」
ストレージ内に何かないかソート表示で確認する。
えーっと、鶏がらスープ、ドライフルーツ、BLTサンド、卵サンド、髪紐、ランチバッグ、刺繍、ソルトバタークッキー、パウンドケーキ(ドライフルーツ、紅茶)、卵白etc。
ものの見事にほぼ食べ物ねぇ〜。
あっ、マヨネーズで使わなかった卵白があるからシガレットクッキーなんてどうかしらねぇ〜。
「よし!シガレットクッキーにする」
「「「「「「「シガレットクッキー?」」」」」」」」
ノエル兄様達だけではなく、アーサー、ベン、アニーちゃんまでが声を揃える。
「うん、薄いクッキーを焼き立てのうちにクルクルって巻けば、シガレット…タバコみたいな形になるの」
「「「「「「「へぇ〜」」」」」」」
「じゃあ、バターに砂糖を入れて混ぜて下さーい」
量を作るし、作りたい人が多かったので私は指導に徹した。ノエル兄様とジーン兄様組、アラン兄様とヴィー組、師匠とアニーちゃん組、アーサーさんは1人だ。
「白っぽくなったら、卵白を分けて入れまーす」
「ジョアンちゃん、コレは泡立てなくて良いんすか?」
「はい、泡立てなくて大丈夫でーす。卵白は何回かに分けていれて、その都度滑らかになるように混ぜて下さい」
「うわっ、ヴィー飛ばすな。丁寧にやれよ」
アラン兄様がヴィーに注意する。
「はーい」
口を尖らせながらも、返事をするヴィー。
「混ざりましたか?じゃあ、最後に薄力粉をふるいながら入れてサクッと混ぜまーす」
「ちょっとー、ジーンふるいが高いって!僕まで真っ白だよ〜」
「うわっ、ごめん。ごめんて。…はっ、はっ、ハックション!!」
「大丈夫?ジーン兄様?」
ジーン兄様にハンカチを渡す。
「あっ、あぁ、なんとか」
「……あのさ、僕はダメなんだけど」
ノエル兄様の方を見ると、ジーン兄様のクシャミによって全身薄力粉まみれになったノエル兄様がこちらを見てる。
「「ふっふふ、あはっははははーー」」
ジーン兄様と私はノエル兄様を見て笑った。
「笑ってないで助けてよ〜」
ノエル兄様が言うが、
「「「「あっはははははーーー」」」」
アラン兄様とヴィーまで加わり笑っている。
「ノエル様、ただ今…【クリーン】」
アーサーさんがスキルを使い、粉まみれのノエルをキレイにする。
「アーサーありがとう。それに引き換え、ウチの身内は……」
ちょっとしたハプニングはあったが、ようやく生地が出来た。
「じゃあ、水を付けたスプーンの背で楕円形又は円形に、できるだけ均一に薄〜く伸ばします。出来たらオーブンで焼きます。師匠お願いします」
「了解っす。…ってか、ジョアンちゃんその『師匠』って止めないっすか?その、俺の方がジョアンちゃんに教えてもらってばっかりだからさぁー。『師匠』って呼ばれると恥ずかしいくて、名前で呼んでくんない?」
天板をオーブンに入れながらベンが言う。
「わかりました、ベンさん」
「さん付けも、いらないっすよ」
「俺も呼び捨てでお願いします」
アーサーさんも言う。
「あの〜私も…」
アニーちゃんも言う。
「じゃあ、アーサー、ベン、アニー。…これで良い?」
「「「はい」」」
「ん〜良い匂いがして来た〜」
鼻をヒクヒクさせながらヴィーが言う。
「焼けたら、すぐ作業をしないといけないので先に説明しますね。焼けたら火傷に気をつけながら天板の上で丸めます」
菜箸があると楽なんだけどなぁ〜。
「はい、はーい、焼けたっすよ〜」
「はい、じゃあ急いで巻いて下さ〜い」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
シガレットクッキーは時間との勝負。だから、みんなで黙々とクッキーを巻いていく。
続々と焼き上がるので、みんなずっと巻きっぱなし。最初の方は上手く巻けなかった人も、数をこなすときれいに巻けるようになった。
これでチョコレートとかあれば、美味しいんだけどねぇ〜。ないもの強請ってもしょうがないわよね。
チョコレートがあれば、ラングドシャが出来たわねぇ〜。今度、タイキさんに聞いてみましょうかねぇ〜。




