78.孤児院③
予定通り、3話同時更新の3話目です。
「さっきは、ごめんな。貴族だから俺らの事馬鹿にしてるなんて…勝手に決めつけて。」
頭を掻きながらルーが謝る。
「俺も…後ろから、卑怯な真似してごめん。」
デニスも謝る。
「2人を許すわ。でも、今度から勝手な思い込みや人の受け売りを信じる事はやめてね。あと、卑怯な真似もね。」
「「わかった。」」
「じゃあ、2人も友達ね?」
「「「「「えっ!?」」」」」
「ジョ、ジョアンちゃん!?何でそうなるの?」
メーガンが驚きながら聞く。
「えっ?ダメ?」
ルーに聞き、首を傾げる。
「えっ、あっ、いや、ダメじゃねーけど…。俺ら、お前に喧嘩売ったんだぞ?」
「うん、それを買ったんだから買った私に権利がある。」
「「「何が!?」」」
メーガン、タニ、コアが声を揃える。
「えっ?友達になる権利?あれ?」
あら?私も何を言っているかわからなくなってきたわ…。
「ぶっ!!お前、面白れーな。あっははははーー!」
またルーが笑い出す。
「もう!また、笑うしー!…まっ、いーや。で?友達なってくれる?」
「おう!俺で良いならな。」
「うん!じゃあ友達ね。」
「あ、あの…俺も良い?」
デニスが聞く。
「うん!友達ね。…あっ、改めまして、ランペイル家長女、ジョアンです。5才だよ。宜しくね。」
「おう、俺はルーだ。8才だ。ってか、5才に俺は喧嘩売ったのか…。しかも言い返されて、それに対して手を出して…悪かったよ。」
「俺はデニス。同じく8才。まさか5才だと思わなかった…本当にごめん。」
「うん、もう良いよ。これで、わかったでしょ?思い込みは間違うことあるって。」
「あぁ、わかったよ。これからは自分で見聞きしたものだけ信じるよ。…でさ、訓練ってどんな事やってんだ?」
「今はね、私兵団の人と一緒にやってるよ。走って、素振りしてとかかな?」
「それやったら、強くなれるか?」
「ルー君は強くなりたいの?」
「あぁ、強くなりたい…ってか、ルー君ってなんかむず痒い。ルーで良いよ。」
「わかった。ルーはどうして強くなりたいの?」
「俺は冒険者になりたい!稼いでここの生活費にしたいんだ。そしたら腹いっぱい食えるだろ?」
「冒険者って何才からなれるの?」
「10才だよ。だから、あと2年でギルドに入れるぐらいには強くなりたい!」
「ギルドに入るのに試験とかあるの?」
「あるよ。先輩冒険者に勝てたら、ランクが決まるんだよ。ランクに応じたプレートが貰えて、身分証明書にもなるんだ。だから孤児院の男は、ほとんど冒険者になったりするよ。」
とデニスが教えてくれる。
「じゃあ、私も冒険者なる!」
「「「「「えーーーっ!?」」」」」
「えっ?何で?驚くの?」
「だってお前、身分はちゃんとあるし、それに…女の子だろ?」
「女だって冒険者はいるんでしょ?冒険者なったら色々行けるだろうし、それに格好良い!!」
アーサーさんと師匠が元冒険者って聞いて、スゴい興味があったのよねぇ〜。
いかにもファンタジーじゃないの。誰でもなれるなら一度はチャレンジしないと後悔するものねぇ〜。
「まぁ〜受けるのは自由だけどな…。登録ギルドによっても色々あるからな。」
「何?色々って。」
「あー、ギルドの中でもランクとかあるんだよ。だからどこで登録したかによって、冒険者のレベルが違うって感じ…らしいぞ。俺も聞いた話だから、よくわからねーけど。」
「そっか〜。元冒険者に聞けば詳しくわかるかな?」
「知り合いにいるの?」
デニスが、聞く。
「うん、ウチの料理人に2人。今度詳しく話聞いてみるかなー。あっ、ルーとデニス君も一緒に聞く?」
「「聞きたい!!」」
「じゃあ、今度家においでよ〜。」
「「えっ!?」」
まさか領主邸に呼ばれるとは思わず、ルーとデニスは驚く。
「メーガンちゃん達も来る予定だし。…って言っても、年末はバタバタしてるから年明けだと思うけど。」
「話聞けるなら、お願いするよ。」
「…そう言えば、髪紐やランチバッグを売るっていってたけど、どうやって売ってるの?」
「えっと、商会に買い取ってもらうの。で、商会がお店で売るんだよ。」
メーガンが教えてくれる。
「へぇー、そういうお店があるんだ。」
「うん、【ジョウ商会】って言って、今人気のお菓子やソースみたいなの売ってるんだよ。」
「【ジョウ商会】!?」
あれ?もしかして【ジョウ商会】のジョウって私のジョーから来てたりするのかしら?まさかねぇ〜…。
そう考えながら、ちらっとマーガレットの方を見るとニコニコと笑いながらジョアンに手を振る。その隣ではリンジーとナンシーがいい笑顔だ。
あっ、やられた…。
間違いなく【ジョウ商会】の名前は私の愛称から取ったわね…。離れた所でこちらを見てるってことは、きっとナンシーが【身体強化】をかけて盗み聞きしてたわね。
「ジョアンちゃん、どうしたの?」
タニに聞かれる。
「ううん、何でもない。」
こうして、孤児院で5人の友達ができたジョアン。
帰宅してみんなに報告すると、驚きながらも喜んでくれたことに安心していた。
だがジョアンはこの時知らなかった。
そのあと5人の素性について事細かに調査され、ジョアンにとって害にならないか調べられていた事に…。
結果、何の害もない5人だった為ようやくスタンリー達は本当の意味での安心をし、年明けに5人を屋敷に招待する事を許可した。
ちなみに【ジョウ商会】は予想通り、ジョアンの愛称から取った名前で。今までジョアンが考えたもの、作った物を売っていることがわかった。
さすがにドライフルーツを売り出すには、色々と弊害があるので売ってはいなかった。だがマーガレットの知り合いには裏ルートで販売をしており、1番人気の商品と聞いて、ジョアンは驚いたのは言うまでもなかった。
なんとか、同時更新できました。
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