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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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75.スティーブ&ダニエル

 ガンさんとマーティンさんが実家へ行き、連れて来たのは2人の兄だった。

「初めまして、弟がお世話になっております。マーティンの兄、スティーブと申します」

「いつも弟がお世話になっております。ガンの1番上の兄でダニエルと申します。木工工房長をしております」

 わぁ、大好きだった海外ドラマの主人公とその相棒の名前と同じねぇ〜。身体つきも同じだし。これで性格も同じだったら面白いわねぇ〜。ドラマではスティーブは破天荒、ダニエルは慎重派。さぁ、どうかしらねぇ〜。


「忙しいところごめんなさいね。娘のジョアンが作ってもらいたい物があって、それについて相談させて欲しかったの」

「初めまして、ランペイル家が長女、ジョアンです。忙しい中ありがとうございます。素人の考えですので、無理なものは無理だとおっしゃって下さい。今日は宜しくお願いします」

 立ち上がり頭を下げる。

「「っ!!宜しくお願いします。」」

 挨拶がひと通り終わり、マーガレットが本題に入る。

「早速で申し訳ないけど、これを見て欲しいの」

 そう言って、先程書いたリストを2人に渡す。


「これを、全部お嬢様が?」

 リストを見終わったスティーブが聞く。

「はい、全て料理関係で申し訳ないのですけど」

「あの絵が描いてありますけど、どの様な物か説明して頂けますか?」

 ダニエルに言われ、一つ一つ何のための物なのか、どういう形状かどういう動きかなど、詳しく説明をして言った。

「…という感じです。長々すみません」

「「……。」」

 2人とも私の説明でいかに便利でいかに欲しいかという熱意に呆気に取られてしまったようだ。


「2人とも、返答は今でなくても大丈夫よ。ご自宅に戻って相談したいでしょうし、改めて可不可の報告を貰えるかしら?でも、このことは他言無用ですからね。そこだけは約束してくれるわよね?そうねぇ〜期限は…3日程で良いかしら?」

「「かしこまりました。」」


「あっ、あの、これ良かったら皆さんで食べて下さい」

 そう言って、ソルトバタークッキーと紅茶のパウンドケーキが入ったカゴを2人にそれぞれ渡す。

「えっ!?よろしいのですか?」

 話を聞きに来ただけなのに、お土産までもらって良いのか困惑しているスティーブさん。

「はい、もちろん。時間を割いて私の話を聞いてもらいましたので、お礼です」

「あっ、あのお嬢様、このカゴって何で出来ているんですか?すごく軽いので木ではないですよね?」

 木工工房のダニエルさんにとっては、カゴの方が気になっていた。

「あっ、えっと…紙です」

「「「紙ー!?」」」

 スティーブさん、ダニエルさんだけではなくお母様までが驚いた。

「はい、あの、私の字の練習をしてもう書けなくなった紙を編みました」

 前世で、よくチラシを使ってカゴを編んでみかんを入れていたおばあちゃんにとっては、簡単なことだった。

「この茶色に塗ってるのはどうやって?」

「あっ、タマオンの皮を煮出したものを塗りました。ただ編んだだけでは、私の汚い字が見えて恥ずかしくて……」

でも、よく見たら字が見えるのよねぇ〜。ただ、茶色になったから英字新聞っぽくてオシャレになった感じで、私は気に入ってるんだけどねぇ〜。

「はぁ〜参りました。ここまで色々な発想ができるなんて…。いや〜楽しくなってきました。では、良いお返事ができるように検討致します」

 と、スティーブさん。

「こちらも同じく検討させて頂きます。お嬢様、お菓子遠慮なく頂きます。」

 と、ダニエルさん。

 その後、2人はリストとお菓子を持って、行きと同じように屋敷の馬車で帰って行った。



「ジョアン、あなた事前に教えなさいな。ビックリするじゃない。……で、もう一度見せて貰える?」

 マーガレットは先程のカゴについて言う。

「ごめんなさい。そんなに驚くことだと思わなくて……」

 ストレージからカゴを出す。手持ち無沙汰の時によく作っていたからねぇ。暇な時に作っていたのよねぇ〜。

 タマオンの皮染めは、草木染めの要領でやってみたのよねぇ〜。他にもキャロジンやナッスーの皮で染めたハンカチもあるのだけど、今、出した方が良いわよねぇ〜。

「あ、あの、お母様?実はコレもあるんです」

 タマオンの黄色、キャロジンの橙色、ナッスーの紫色のハンカチを出した。


「まぁ〜きれいな色のハンカチね。これらは何で色付けたの?」

「タマオンの皮、キャロジンの皮、ナッスーの皮です」

「野菜の皮でこんなにきれいな色合いになるのね?作るのは難しい?」

「いえ、皮を煮出すだけなので簡単です」

「そう……明日、私と一緒に孤児院に行きましょう。そこで作って見せることはできる?」

「はい、材料さえあれば出来ます。でも、なんで孤児院で?」

「先程のランチバッグとこの野菜で染めたハンカチを子供たちが作って売るのは、どうかしら?自分たちで作った物が売れておかねになったら、子供たちの自立にも繋がると思わない?」


「うわぁ、すごく良いと思います。私、やります!あっ、孤児院にお菓子作って持って行ってもいいですか?」

「ええ、良いわよ。じゃあアニーも一緒に、孤児院に行きましょうか?全然顔を出してないらしいのよ。シスターが心配して手紙をくれたのよ」

「わかりました。私から伝えて一緒にお菓子作ります」

「よろしくね。明日の昼食後に行きますからね」

「はい。じゃあ、アニーちゃんの所にいってきます!」


ガチャ。タッ、タッ、タッ。


「はぁー、本当に色々とやってくれるわ。まさか紙でカゴを作ったり、野菜の皮で染めるなんて……。でも、コレでまた孤児院の子供たちにも仕事が与えられるわね」

ナンシーが新たに入れた紅茶を飲みながら話す。

「はい、奥様。以前聞きましたストレッチ編みの髪紐も何とか売れるものが出来上がり、商会で販売を始めました」

「だと今、商会で扱っているのはソルトバタークッキー、ネーギ塩リモンだれ、ガーニック塩だれ、スポーツドリンク、髪紐ね。それに加えて、ランチバッグと野菜染め。あとはスティーブとダニエルから良い返事がくれば最高ね」

「はい、巷でも【ジョウ商会】の商品が人気になっていますので、軌道に乗るのもすぐかと。あの、奥様?商会のこと、お嬢様には言わないのですか?」

「ええ、()()ね。まずは孤児院の子供たちに会わせてからね。きっと、あの子のことだからどの様にして販売するのか聞いてくると思うからね。驚くかしら?」

「そりゃあ、驚くと思いますよ?でも、そこまでして驚かせたいのですか?」

「だってぇー、いつも驚かされているのだから、逆に驚かしたいじゃない?でも、色々と感謝しているのよ。ジョアンには。この子を授かったのもジョアンのおかげのような気がするしね」

 そう言いながら、まだ膨らんでいないお腹を撫でるマーガレットと、それを優しく見守るナンシー。





次回は、3話同時更新予定です。

頑張ります( ̄^ ̄)ゞ

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