60.お祖母様にお願い
読んで頂きましてありがとうございます。
「父上、母上、落ち着かれましたか?」
お父様が2人に尋ねる。
「驚かせてごめんなさい。お祖父様、お祖母様」
「あぁー、大丈夫だ。すまん、取り乱した」
「ごめんなさいね、ジョアンちゃん。驚いてしまって」
その後、改めてみんなでお茶をする。
「うん、美味いな。この、ドライフルーツってやつは」
「えぇ、本当に。そのドライフルーツのクッキーも美味しいわ」
「本当にこんな美味いもんを食っただけで、効果がでるのか?」
「でますよ。明日の朝に期待をしてて下さい」
「えっ?お祖父様、泊まっていけるのですか?」
ノエル兄様が尋ねる。
「あぁ〜、そうだよ。今日どころか、年越しまで一緒に過ごすんだよ」
「「「やったーーー!!!」」」
私とお兄様達が声を揃えて叫ぶ。
「まぁあ、3人とも、嬉しいのはわかるけど落ち着きなさいね」
お母様は笑顔で言うが、目は笑っていない。
「「「ご、ごめんなさい」」」
年始までいるのなら、時間があるわよねぇ。
ダメ元でお願いしてみようかしら?
「あ、あのぉ〜お祖母様」
「なぁに?ジョアンちゃん」
「屋敷にいる間に、一度で良いので私に訓練をつけてもらえませんか?」
「「「「「「えっ?」」」」」」
なぜ、みんなで驚くのかしら?
「なぜ私なの?ジョアンちゃん」
「お祖母様が元王妃様付き近衛隊で、とても強かったと聞きました。私も、お祖母様のように強くなりたいんです!私兵団でも魔力なしの方が頑張っているんです。貴族だからとか【無】属性だからでは、甘えてるだけのような気がするんです。みんなに守ってもらうだけではダメだと思って。そんな理由ではダメですか?」
「ジョアンちゃん、やっぱり前世の記憶持ちなのね。5才なのにちゃんとした考えを持って、どう行動すれば良いのかわかっているのね。わかったわ。教えてあげるけど、私の訓練は厳しいわよ?」
「ちょ、ちょっと母上、本気じゃないですよね?」
「あら?スタンリー、本気に決まっているじゃない。可愛い孫娘のお願いを聞かないわけにはいかないでしょ?」
「いや、あの、でも母上の訓練はジョアンにはまだ早いかと……(あれは訓練じゃなく、地獄)」
「ナンシー、ジョアンちゃんの訓練はどこまでいってるのかしら?あなたでしょ?指導してるのは」
「はい、大奥様。お嬢様の訓練は、現在、演習場10周、腕立て100回、足上げ腹筋100回を3セット。それと片手剣の素振りを左右各50回でございます」
「「「「「「はっ!?」」」」」」
「ジョ、ジョアン、もう、そこまで出来るのか」
「はい、お父様。さすがに、まだ息は切れることもありますけど」
「「はーーーーっ!!」」
ノエル兄様とジーン兄様が声を上げる。
「そりゃあ、お兄様たちに比べたらまだまだですよー」
私が不貞腐れながら言う。
「いやいやいや、5才でそれはおかしいから。僕がそれ出来るようになったの学院入る直前だよ?」
「俺は、そこまでいかずに学院入ったけど?」
「えっ。だって、ナンシーがお兄様たちは5才で出来てたって……」
バッと3人でナンシーを見る。
「あっ、申し訳ございません。お嬢様がとても筋が良いので、つい力が入ってしまって……」
目を逸らしながらナンシーが言う。
「「「「ナンシー」」」」
大人4人は、呆れ顔だ。
「まっ、いいわ。ともかく基礎は出来てることがわかったから、明後日の光の日より始めましょう」
「ありがとうございます、お祖母様」
「どういたしまして。もちろんノエル、ジーンも一緒にやるわよね?もう冬季休みですものねぇ。
そうだわ!!私兵団の若い子も、まとめて指導しましょうね」
「えっ!?(なんで僕まで?)あっ、はい、わかりました。お祖母様」
「俺も?(マジか!?)……わかりました」
「やったー!みんな一緒だね(なんかお兄様たち、浮かない顔だけど、まっ、いいっか)」
私だけが喜んでいるなか、ノエル兄様とジーン兄様は肩を落としていた。
そして、何も知らない私兵団のjr.メンバーを思う。
((恨むなら、ジョーを恨めよ))
*****
タッ、タッ、タッ。
バンッ。「たのもーー!」
「おう、お嬢。何かご機嫌だな」
「うん、光の日からお祖母様に訓練つけてもらえることなったの〜」
「「「はーーーーっ!?」」」
エイブさん、アーサーさん、師匠が驚く。
「お嬢…まさかだけど、自分からお願いしたとか言わねーよな?」
「えっ?何でわかるの?正解だけど」
「「マジか!?」」
「お嬢……なんて怖いもの知らずなんだ」
「えっ?何で?」
「お嬢、悪いことは言わねー止めとけ。あれは、訓練じゃねー、地獄だぞ」
「でも、強くなりたいもん。多少キツいのはしょうがないんじゃないの?」
「キツいってもんじゃねーよ。あれは」
「ジョアン様、しかも大奥様とマンツーマンっすか?」
「違うよ。みんなと一緒だよ。お祖母様がお兄様たちと私兵団の若い子たちもって」
エイブさん達は顔を見合わせた。
「「「あーーーーー」」」
「死んだな」
「屍の山が」
「可哀想に」
「あっ、もしアーサーさんと師匠も訓練して欲しかったら私からお願いするよ?」
「「いやいやいやいや」」
アーサーさんと師匠は、顔を横に振りながら答える。
「そう?」
遠慮しなくても、お祖母様は怒らないと思うけどなぁ〜。
でも、楽しみねぇ。前世では、格闘技やりたくても機会がなくて出来なかったからねぇ。せっかく転生したんだもの、現世ではやりたいことやりましょう。
貴族令嬢だけど、まっ、なんとかなるでしょ。
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