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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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58.お祖父様が来た

屋敷に戻って、埃っぽいので服を着替えてダイニングに急ぐ。ダイニングに行くと、みんな揃っている。

「た、大変お待たせしました」

「うん、大丈夫だよ。連絡は聞いてるから。まずは、座りなさい」

アーサーさんがグレイに、私兵団寮に行っていることを報告してくれていた。

「はい。あっ、おはようございます。お父様、お母様、ノエル兄様、ジーン兄様」


「「「「おはよう、ジョアン」」」」



ーーーー食後のモーニングティータイム。


「ありがとう。ジョアン」

「えっ?どうしたんですか?お父様」

「いや、私兵団寮のことだよ。父上達が来るのに屋敷のことばかりで、そっちまで全然気が回らなかった」

「もぉー、寮に行くなら僕かジーンを連れて行かないとダメだろ?」

ノエル兄様が言う。

「そうだぞ。何か変なことされなかったか?」

ジーン兄様も言う。

「ん?変なこと?何もないですよ。それに、エイブさんと一緒だったし。うふふ、お兄様たち過保護ですよぉ」


私兵団寮の事を話していると、珍しくお母様が会話に入らない。そう言えば朝食も残していた。気になってお母様を見ると、顔が真っ青だった。

「お、お母様、大丈夫ですか?顔が真っ青です」


「「「えっ!?」」」

お父様、ノエル兄様、ジーン兄様もお母様を見る。


「だ、大丈夫よ。ちょっと気持ちが悪いだけ……うっ」

「マギー、大丈夫か?グレイ、医者を呼べ!急げ!!」

グレイがリビングを走って出ていく。

「あぁー、もぉーいい、私が医者を連れて来る!」

そう言って、お父様もリビングを出て行った。その後をノエル兄様が追った。

「お母様、大丈夫ですか?吐き気だけ?」

お母様の横に座り、背中をさする。

「えぇ、今朝からずっとムカムカしてて……」

「ジーン兄様、お水をお願いします」

私に言われたジーン兄様は水を取りにリビングを出る。


昨日のアフターディナーティーでも普通にワイン呑んで、おつまみ食べてたけど、大した量は食べてなかったはず。もしかして……


「お母様、ちょっと聞きたいんですけど……月のモノ、最後いつ来ました?」

「っ!!そういえば……。あら、まさか?ジョアン」

「もしかしたら、……かもですね。お母様。まずは、お父様とお医者さま来てからでしょうけど」

「まぁ、それが本当だったら嬉しいわ。それにしても、ジョアン、よく気づいたわね。もしかして前世では子供が?」

「はい、2人いました。娘と息子が」

「そうなのね、どうりで。うふふふ。心強いわ」

そう言って、お母様は抱きしめてくれた。


その後、私の予想通り『おめでた』だった。


私に弟か妹が出来るのねぇ。嬉しいわ。

その子を守るためにも、強くならないといけないわねぇ。ナンシーに、来週から訓練を増やしてもらいましょ。



*****



アフタヌーンティーの少し前に、祖父母はやって来た。叔母家族は夕食の時に来る予定らしい。

(わたくし)としては、3年ぶり。私としては初めて会う。


「お久しぶりです。お祖父様、お祖母様」

キレイにカーテシーをとる。

「おぉ、久しいな、ジョアン。大きくなったな」

そう言って、祖父ウィル・ランペイルは私を抱き上げる。



【ウィル・ランペイル】

ランペイル領、先代領主。元魔物討伐団団長。

【雷】属性。



本当にエイブさんぐらい大きいわ。

そして口髭が真っ白で、まるでサンタさんみたいねぇ。


「あら、大きくなっただけでなく更に可愛くなって、ちゃんと挨拶もできるようになったわ」

頭を優しく撫でながら、祖母リンジー・ランペイルも言う。



【リンジー・ランペイル】

ランペイル領、先代領主夫人。元王妃付き近衛隊。

【火】属性。



とても優しそうで、上品ないかにも貴族って感じのご婦人ねぇ。本当に怖いのかしら?そんな風には見えないけどねぇ〜。ナンシータイプかしら?


「父上も、母上もお元気そうでなによりです。まずは、こちらへ」

お父様は、そう言ってリビングに案内する。


今日のアフタヌーンティーは、紅茶、ソルトバタークッキー、リップルパイだった。


本当は、私の作ったものを出したかったけど……お父様が、お祖父様たちに説明してからって言うからねぇ。残念だわ〜。

でも、お祖父様たちは私の【無】属性のこと、何て思うのかしら?


他愛もない話をしていたが、スタンリーが切り出す。

「父上、母上に報告したいことが2点あります」

「なんだ?改まって」

「まずは、マーガレットが4人目を懐妊しました」

「なんと!おめでとう」

「まぁ、おめでとう。マーガレット。無理しないようにね。何かあったら遠慮せずに言うのよ」

「ありがとうございます、お義母様」

「ありがとうございます、母上。何かありましたらお願いします。そして、もう一つは……おいで、ジョアン」

お父様は私を呼び、隣に座らせる。

私が知らぬ間にきつく握りしめた手を、そっと優しく包む。お父様に手を握られ、安心したのか震えが止まった。


「春の季にジョアンの属性がわかりまして……。【無】属性と判定されました。連絡せずに申し訳ありません」

「……そうか」

「まぁ、そうだったのね。だから、連絡がなかったのね。おいで、ジョアンちゃん」

お祖父様とお祖母様の間に座る。

「辛かったわね。大丈夫よ、私もあなたを守るわ」

お祖母様に優しく抱きしめられて、涙が溢れる。

お祖父様も不器用ながらも優しく頭を撫でた。


良かった。罵倒されなかった。

これは、お祖父様たちも受け入れてくれたと思っても良いのかしら?でも、前世の記憶や規格外のスキルのことは?



不安そうな顔でお父様を見ると、無言で頷く。

「連絡出来なかったのは、その理由だけじゃないんです。実はーーー」


その後、お父様は私が、洗礼式の後倒れたことで前世の記憶持ちとわかったこと、規格外のスキルのことを説明した。

そして、【無】属性のことについてジュリエッタ叔母様が研究していて、今日そのことを説明してくれることになってることを。



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