SS ジョアン六歳の誕生日の数日前……①
書籍第2巻、コミックス第2巻ともに好評発売中です!
それの記念SSを。
100話・六歳の誕生日のあたりのお話しです
もうすぐジョアンの六歳の誕生日。今年はいつもの誕生日とはちょっと違う。なぜなら洗礼式で【無】属性を判定され、さらに前世の記憶持ちとわかってから初めての誕生日だから。
ということで、ジョアンへのプレゼントを悩む人たちをご紹介!
《スタンリー&マーガレットの場合》
ーースタンリーの執務室にて
「そろそろジョアンの誕生日のプレゼントを決めないといけないわよね〜」
「ん? あぁ、そうだな。去年はジョアンの希望で真っピンクのドレスだったが。……そういえば、あれはどうした? 最近、着ていないようだが……」
執務室のソファーで刺繍をしていたマーガレットがジョアンの誕生日プレゼントについて呟いているのを聞いて、読んでいた書類を置き顔をあげた。そして、去年の誕生日プレゼントに贈ったドレスを暫く見ていない事に気づいた。
「あぁ、あれね……。あれは、色々なものに変わったわ」
「……は?」
私はマーガレットの言った意味がわからず、首を傾げた。
「洗礼式の後、サラから聞いたんだけど……今のジョアンがクローゼットの中にあったあのドレスを見て『うわっ、今い◯よのドレスがある。このセンスどやさぁ〜』って言ってたらしいのよ」
「どういう意味だ?」
「さぁ? でも、その後ジョアンに『あのドレス、リメイクしていい?』って聞かれたから許可したら、ポーチやらヘアアクセサリーやらクッションカバーになっていたわ」
「あのドレスがか?」
「あのドレスがよ」
「「……」」
無言でお互いを見て、そして声を揃えて言った。
「「ちゃんとしたドレスを贈ろう(贈りましょう)」」
すぐにマーガレットは、ナンシーを通じていつも利用している王都のオートクチュールの店のマダムを呼び出した。
↓
プレゼントは、ドレス
《side ノエル》
ーー学院の寮にて
んー、ジョアンへのプレゼント、どうしよう? 去年は、小物入れをあげたけど……。今年は、家で勉強も始めたし、本にしようかな? 6歳の女の子が好きそうな本だと、なんだろ? 王子様が出るような童話? いやいや、ジョアンなら鼻で笑いそう。本物の王子たちにも会ってるし……うん、絶対笑う。間違いなく。そうなると、ジョアンが好きもの? 料理の本? でもなー、本に載ってる料理よりジョアンの作る料理の方が絶対おいしいと思うんだよなー。
んー、あ、そうだ! 冒険者になりたいって言ってたから魔物の本ならどうだろう? よし! そうと決まれば、早速本屋に行こう!
↓
プレゼントは、『まもの だいじてん』
《side ジーン》
ーー学院の寮にて
サクッ……。
「……なー、エリック。6歳の女の子に誕生日プレゼントって何が良い?」
「ん? あっ、もしかしてジョアンちゃん? ……って、何食ってんだ?」
以前会ったエリックの従姉妹もジョアンと同じ歳だということを思い出して、ベッドに横になって本を読んでいるエリックにジョアンのプレゼントについてアドバイスを貰おうと話しかけた。
サクッ……。
「……ん? クッキー」
「俺も食う! ……うまっ。これ、ナババか?」
「……ああ。新作だってよ」
「へぇ〜。で、なんだっけ? 誕生日プレゼント? ジョアンちゃんにか?」
「そう。ほら、エリックの従姉妹、あの子には何あげた?」
「ベルに? あー、あれだ、木剣」
「は? あー趣味鍛練だったな、ってお前食い過ぎ! 減るだろ!」
「良いじゃん。アドバイス料ってことで」
「ったく。木剣かー、じゃあ、それにしよう。よし! 行くぞ」
「え? 今から? マジかよ」
ちょうどクッキーがなくなったことだし、買いに行くなら早い方が良い。俺は、エリックを急かして武器屋に行くために寮の部屋を出た。
↓
プレゼントは、木剣




