545.修学旅行21 ベビーシッター
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『享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも、スキルだけで無双します〜 1』
長いと思っていた修学旅行も、アニア国に滞在するのは、あと一週間。帰りもまた、行きと同様に十泊十一日の移動となる。
この修学旅行では、色々と学ぶことが多かった。騎士学校では獣人ならではの戦い方や戦略を学び、空いた時間で冒険者ギルドに出向き依頼を受けた。依頼も所変われば品変わるで、エグザリア王国では通常あり得ないものもあった。
特に驚いたのは、ベビーシッターの依頼。もちろんエグザリア王国でも、ベビーシッターの依頼はある。ただ人族の場合、基本出産は一人。我が家のように、稀に双子ちゃんもいるけど。でも、アニア国になると、多出産の種族もいるので赤ちゃんの人数も多い。
私が受けた依頼は、兎人族のナッティ、ナッちゃんの家からの依頼だった。ラビーちゃんの従姉妹、ナッちゃんの家は、騎士爵を持つお父さんをはじめ武闘派一家として有名らしい。そして、今回はナッちゃんの次兄の奥さん、つまりナッちゃんの義姉の子供達なのだが、まさかの七つ子。名前に松がつく昭和の某アニメの兄弟よりも多い……。
義姉さんも騎士団所属で、産休明けで仕事復帰しているのだけど、いつも子供達のお世話をしている義姉さんのご両親が二人とも風邪と腰痛でダウン。通常勤務であれば無理矢理休めたらしいが、今回は最低一泊の討伐遠征らしい。ナッちゃんの両親も次兄も仕事から帰って来るのは夕方らしい。そこで、白羽の矢がたったのがナッちゃん。
さすがに七つ子をナッちゃん一人で見るのが無理があるということで、冒険者ギルドを通して依頼を受けた。一緒に受けたのは、もちろんいつものメンバー。弟妹がいるのは私、ソウヤ、ブラッド、ダガー。それ以外はナッちゃんも含めて、末っ子組。それに対して、七つ子ちゃんは三歳で男の子四人と女の子三人。
三歳といえば第一反抗期。俗に言う「魔の三歳児」。「魔の三歳児」とは、ニ歳児のイヤイヤ期が落ち着いたあと再びイヤイヤが復活し、さらにレベルアップした状態。特徴としては、言い訳をする、大人の真似をする、暴れる、癇癪など。つまり自己主張がはじまっている証拠。
対処法としては、子供の話を最後まで聞き、とことん付き合うこと。最後まで話を聞くことで、本人の意思を確認することができる。とことん付き合うことで、子供が自分でできたという成功体験は成長に大きくつながるから。
前世で子供二人、孫三人を育ててきた私として言えるのは子供に対してイライラしても、感情的になったり「出来ない」と否定することはしてはいけない。
もちろん私も子供二人の時は、イライラして感情的になったことは何度もあった。実母や先に出産していた妹に愚痴ったことも多々あった。円形脱毛症になったのも、今となってはいい思い出だ。
そして、ベビーシッターをした結果……疲れた。お祖母様の鍛錬よりも、スパルタンレースよりも疲れた。 正直、兎獣人の三歳児のパワフルさを舐めていた。子供にとことん付き合うといっても、走り回るのも飛び跳ねるのも人族にはついて行くの精一杯だった。
食事の時も、食べながら遊ぶから顔だけじゃなく服もビッチャビチャ。サンドウィッチのキューカンを瞼の上に貼り付けたり、イチベリージャムをお化粧と称して頬に塗ったり……。確かに、美肌効果のあるきゅうりパックとかあるけど、マヨネーズ付きのキューカンではベタベタになるだけ。しかも一人やったら、全員やるよね〜。
その後、どうにかこうにかお風呂に入れることになって、服を脱がす、洗う、流す、拭く、服を着せるを流れ作業でやったけど……それも大変だった。
服を脱がすにも嫌だと逃げ出すし、洗おうにも石鹸サッカーし始めるし、流す時は水が苦手で泣くし、拭くのも服を着るのも嫌がって裸で走り回るし。ようやく平穏が訪れたのは、子供達の電池が切れてお昼寝をした十三刻。
お昼寝している間にも、片付けや洗濯が残っていて私達がようやく遅めのランチをとろうとしたら、子供達が起きてきてしまった。その時の全員の絶望感といったらなかった。
それでも夕方に、ナッちゃんの両親と次兄が帰って来て私達が帰ると知ると子供達がギャン泣きしたのを見た時には、頑張って良かったと思ったし良い思い出にもなった。疲労感と空腹感は満載だったけど。
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