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コミカライズ連載中【WEB版】享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも気にしない、スキルだけで無双します〜《第11回ネット小説大賞 金賞受賞》  作者: ラクシュミー


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544.修学旅行20 温泉に入ろう

更新がなかなか出来ずスミマセンでした。

 さすがに男湯にも囲いが必要だという意見が多くーー主に侍女さんたちからーー急遽、囲いを作った。そして、ようやく温泉に入ることに。


 マルタ様は、一度簡易的な服に着替えてくるというので私とアムちゃんは先に入らせてもらうことにした。


「はぁーー。露天風呂最高ー!」

「こんな感じに外でお風呂入るなんて信じられなかったけど……本当に最高だわ」

「でしょう? 何事もチャレンジよ」

「お姉様、きっと羨ましがるわ」

「そうだね〜。ベルからもズルいって言われそう」


 しばらくするとマルタ様が戻って来たが、マルタ様は苦笑し、お付きの侍女さんが何故か不服そう。どうしたのか聞いてみると、ここではお風呂上がりのお手入れが出来ないかららしい。


「じゃあ、今回はお風呂上がりに転移して別荘へ戻ればいいのでは?」

「「「「「あっ……」」」」」


 絞ったタオルを頭に載せながらそう言うと、皆んなが転移できることを忘れていたらしく呆然としている。ここまで来るのに転移したのにね。

 ということで、今回は湯上がり後マルタ様と侍女さんを転移させることが決定し、ようやくマルタ様も湯船に入る。


「はぁ〜。家で入るのとは違って、開放感がありますわね。それに、外で入るという背徳感が……」

「なかなか体験出来ないですよね?」

「ええ、本当に。ジョアン様、本当にありがとうございます」

「いえいえ、私こそ念願の露天風呂が堪能出来て、

ありがとうございます」


 入浴後、バスローブを羽織ったマルタ様と侍女さんを転移で別荘に送り届けた。

 私とアムちゃんは、タープテント内で整っている最中。ちなみに脱衣所用のテントは男湯の入り口付近に移動していた。


 夕食前にはティガー公爵とガドラ様、シアさんがベルデの転移で領地へやって来た。ティガー公爵とガドラ様は、領地に何がなんでも行きたいと仕事をいつも以上にスピードアップしたらしく、それを聞いて私達は苦笑した。そして夕食よりも先に入浴したいと、案内の為にゴールダーを引きずって行った。

 ちなみに夜の露天風呂には、篝火を設置しているのでそれはそれで幻想的だったりする。シアさんは、夕食後に行くというので、後で一緒に行こうと約束した。


 いつもより少し遅くなった夕食では、ティガー公爵とガドラ様が温泉に入った感想から、今後どう発展させていけば良いのか聞かれた。でも、私が答える前にマルタ様がそれはそれは良い笑顔で「後にしましょうね?」と言う。もちろん鋭い眼差しの為に、二人は同時に謝っていた。

 今回の夕食は、別荘近くの沢で獲った魚のムニエルや近くの山で採ったきのこをふんだんに入れたオムレツなどだった。春になると山菜が多く取れるようで、ここに温泉宿など建てるなら山の幸、沢の幸を使った料理なら喜ばれるような気がする。


 夕食後は、テラスルームに移動して先程の話し合いを再開させた。私は、前世で行った温泉地のことを引き合いに出した。


「ここの温泉の効能を使い保養地とするのであれば、さほど大きな宿は必要ないかと思います」

「ん? それは、この別荘も使用するということだろうか?」


 ティガー公爵は、東の国の温泉宿を訪れたことがあるらしく、宿を小さくすることに理解が出来なかったようで眉を顰めている。


「いえ、保養地を利用する人数を制限すれば良いのですよ。限定人数を決めることで、建築費を抑えられ、また宿のスタッフも少数で済み人件費も抑えることができます」

「しかし、そうなれば得る利益も減るのではない

か?」

「確かに、一度に得る利益は少ないでしょう。でも、限定人数を決めることで付加価値が付きます。なかなか予約の取れない宿、しかもそこの温泉に入ると様々な効能がある。特別感って、どの国の王侯貴族も好きでしょう?」

「なるほど……確かに、予約の取れないと言われると例え金額が高くても客は集まるか」

「それです! 王族を先に案内したら箔も付きますしね」


 前世でも、限定◯個やら期間限定とかの限定商品にはお客さんが集まる。量販店で働いていた時も、それ目当てのお客さんが多くいた。私自身も予約が取れにくいテーマパークの内のホテルを予約する為に、携帯電話と家の電話を駆使して頑張った覚えがある。


 ティガー公爵との話し合いが終わり、約束通りシアさんと一緒に露天風呂へ行くことにした。篝火に照らされた露天風呂はとても幻想的で、空には月まで見えている。

  

「母からも聞いていましたが、外でお風呂に入るのは何か不思議な感じがしますね」

「そうだよね。普段なら絶対しないだろうからね。じゃあ、こんなものはどう?」


 私が用意したのは、東の国で買った清酒の熱燗。テレビでしか見たことがなかったけれど、一度やってみたかったんだ。


「この匂いは、東の国のお酒ですか?」

「正解。さっ、お一つどうぞ」

「あ、ありがとうございます。……ん、飲みやすいですわね」

「くぅー。月見風呂に熱燗、はぁー最高!」

「うふふふ。本当に最高ですわ」


 こうして月見風呂を堪能した私達が、別荘に戻りみんなからズルいと文句を言われ、その後みんなの為に熱燗を用意するなんて、この時は思ってもいなかった。




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