541.修学旅行17 打ち上げ
『時を戻そう!』と、芸人のように言いたくなるけど、遡ってラギール殿下主催の夜会。
私は知り合いと踊ったり、並べられた料理に友人と共に舌鼓をを打った。夜会の途中でラギール殿下に認定証の話も出来て、殊の外喜んで貰えた。認定証の進呈は、再度受講者を集めて試験を行いそこで渡すこととなった。
ーーー数日後。
「では、これより認定資格試験を行う。試験内容は先日の料理教室にてご教授いただいた料理となる。制限時間は1刻30分。……始め!」
再び集められた受験者は、3日に分けて試験を行った。さすがに私が3日間付きっきりで試験を監督するのは難しかったので、料理教室でサポートをお願いしたエイブさん達にお願いした。私は、授業終わりにマジックバックに入れられた料理を受け取り寮で審査する。さすがに、全ての料理を食べるのはキツいので、一口ずつ試食しそれ以外はクラスメイト達が嬉々として手伝ってくれた。
そして試験の結果は封書にて受験者に報告され、合格者については認定証の授与式に参加しそこで進呈される。
ちなみに受講者のうち合格者は、23人。不合格になった人はコメの炊き方が失敗した者やメンチカツの衣を間違えた者が多数だった。ちなみに不合格者には、温情として一度だけ再試験を受けることが出来る。
認定証授与式も無事に終わり、担任達の悪ふざけもようやく落ち着いた頃、私とベル、ラグナ、ジュノはブライアン先生とアドルフ先生という財布を連れて食事に来ていた。ちなみに、アドルフ先生は狐人族でフサフサの尻尾がとても魅力的な先生。もちろん男性としてではなくモフモフ要員としての魅力だけど。
「では、遠慮なく……」
「「「「これ!」」」」
メニュー表を見せてもらい、私達は迷わず一番お高いコースをお願いした。
「お、おう……」
「す、少しは遠慮しても良いからな?」
担任二人がそんな言葉を呟いているけど、私達は右から左に受け流して、次はドリンクメニューを見ていた。
今回のお店は、王都でも人気の『キッチン・エイコーン』。そう、あのコッカー伯爵が興したレストラン。料理長になった、ベアルトさんは先日の認定資格試験で無事に合格し、“食の女神” の認定料理人となった。
「それにしても、よくこの店の個室を予約出来たなぁ〜。今、王都で人気でなかなか予約出来ないで有名なのに」
エールを飲みながら、アドルフ先生が不思議そうに言う。
「そうなんですか? ここはジョアンが予約を取ったから、俺もどういう経緯なのか……」
ブライアン先生とアドルフ先生が、同時に私を見る。
「あー、私がオーナーのコッカー伯爵と知り合いなんですよ」
「「えっ!?」」
「ほら、私、特命使者してたじゃないですか。あの時に、知り合ったんですよ(さすがに知り合った経緯は話せないけど……)」
注文した料理を食べデザートが運ばれてきた時、給仕と共に小柄な女性と大柄な男性も一緒に個室に入って来た。
「料理はお口に合いまして?」
「もちろん! お久しぶりです、コッカー伯爵」
「ジョアン様もお元気そうで。先日は、ベアルトに認定証を授けて頂きありがとうございます」
「いえいえ、ベアルトさんの腕が良いからですよ。今回のコース料理も美味しかったです。特に、あのご飯」
「ありがとうございます! 親父さんのスペアリブを炊き込んでみました」
「うん。口頭で炊き込みご飯の作り方を説明しただけなのに、凄いよベアルトさん」
「いやいや、質問したら即答できるジョアン嬢が凄いんですって」
その後、先生や友達をコッカー伯爵達に紹介しデザートと食後のコーヒーを飲んで食事会は終わった。コッカー伯爵が少し割り引いてくれたようで、先生達がホッとしていたのを見て私達は苦笑い。
*****
今日は雷曜日、授業終わりに私とエド、カリム、ソウヤ、ザックはティガー公爵家にお邪魔している。今回ベルは、ラグナの家へ、いつものメンバーの残りはガロンの家へお邪魔している。
「いやー、時間を取ってもらって申し訳ない」
応接室に通されると、既にティガー公爵夫妻が待っていた。挨拶をし席に座ると、侍女達がお茶を配り退室して行く。
「それで、領地の件なのだが……」
「まぁ、あなた。まだ、皆さん喉も潤していないと言うのに」
「えっ、あっ、これは失礼。……えーっと」
「アニア国にはもう慣れまして?」
ティガー公爵としては、私がゴールダーと見つけた温泉についてすぐにでも話したかったようだが、マルタ様がそれを許さなかった。アニア国に来て既に日程の半分が終わり、学校生活やアニア国での冒険者活動などについて話した。
一人掛けのソファーに座り、今か今かとマルタ様の顔色を伺っているティガー公爵は、主人に『待て』を貰った飼い犬のようだった。王城では、騎士団が恐る白虎の軍務大臣なのに……。
そして、ティガー公爵が待ちに待った温泉の話となった。
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