538.修学旅行15 夜会
今回は、ちょっと短め……。
ラギール殿下主催の夜会会場に入ると、参加者からの視線が一気に私達に向く。その視線は、好意的なもの訝しげなものなど様々だ。中には、獣人の特性なのか鼻をヒクヒクさせている人もいる。
「っ!」
「ふっ。相変わらず注目されるの苦手なんだな。とりあえず微笑んでおけ」
「了解」
小声でカリムに言われたように、営業スマイルを絶やさず過ごしていると、爵位順に呼ばれて最後の入場となったティガー公爵家が入場してきた。入場されたのは、ティガー公爵夫妻とゴールダー、そしてゴールダーにエスコートされたラグナ。アニア国では今回のように王族主催の夜会などでは、よっぽどのことがない限り参加しなければならないらしい。その時は、ティガー公爵夫人のご実家の分家の娘であるラグナを同伴者としてゴールダーは参加しているらしい。
ティガー公爵家長男のガドラ様、次男のトルガ様は仕事の為不参加、長女のシア様は後ほど婚約者の第三王子のリジャルと共に登場予定だそうだ。
しばらくティガー公爵家のみんなと話していると、主催のラギール殿下とその婚約者、リジャル殿下とシアさんが入場された。
「今宵は、特別にエグザリア王国の王立学院の生徒も参加している。中々他国の人間と話す機会はないであろう。皆、有意義な時間を過ごしてくれ」
ラギール殿下の挨拶の後、ラギール殿下と婚約者、リジャル殿下とシアさんのダンスが始まる。それが終わると、令息令嬢が思い思いにホール中央でダンスを始めた。
「さっ、若い方々は踊って来なさいな」
マルタ様に促されて、私達もダンスを踊る。その後、三組で相手を入れ替わりダンスをした。
「鍛錬での手合わせはしたことあるが、ダンスは初めてだな」
「確かに。……なんか恥ずいね」
「おまっ!……それを言うなよ。俺だって……その、なんかいつもと違うジョアンが、その……」
「やっぱり騎士服の方が動きやすいよねー」
「……そう言うことじゃねぇよ」
「え?」
「いい。何でもねぇよ」
何かよくわからないけど、ゴールダーがブツブツ文句を言っている。でも公爵家令息だけあってなかなかリードが上手くて踊りやすい。立て続けにそれぞれ三人と踊った私達は、ダンスの輪から離れた。給仕から飲み物を受け取り喉を潤していると、ガロンがこちらへやって来た。
「ジョアン、俺とも踊ろうぜ」
「……もうちょっと誘い方あるんじゃない?」
「ん? あー……ジョアン嬢と踊れる栄誉をわたくしめにも頂けませんでしょうか?」
「ええ、よろしくてよ」
そう言って片手を出すガロン。私はガロンの手にそっと手を載せてガロンと目を合わせ……
「「……ぶふっ」」
「お前ら、そこで吹き出したらダメだろ」
「何で我慢できないかな〜」
「まぁ、コイツらだからな」
カリム、エド、ゴールダーにダメ出しを軽く返事してガロンと共にホールの中央へ行く。ガロンもゴールダー同様、なかなかリードが上手い。
「慣れてるねー」
「何なに? やきもち?」
「何で私が?」
「いやいや、俺達の仲じゃん?」
「仲って、手合わせで私に二勝一敗一分けっていう?」
「いや、この前のは俺が勝ったろ?」
「でも審判の判定では私が勝利だから」
「ジョアンに三勝しないとデート出来ないなんて……」
それは騎士学校と騎士科の先生達の飲みの席での雑談から始まったことで、担任達の悪ふざけがきっかけだった。
勝敗を変更しました。
マックガーデン様のMAGCOMIにてWEB連載中
『享年82歳の異世界転生!?〜ハズレ属性でも、スキルだけで無双します〜』
MAGCOMI公式サイト https://comic.mag-garden.co.jp/
漫画は、マヒロタバ先生です。
可愛いジョアンを見て下さい!




